【現地レポート】福島県郡山市、障害者の生活再建 家電で支援

福島県の阿武隈川流域にある郡山市と二本松市、本宮市は台風19号の大雨によって各地で浸水しました。被災者には障害者や家族も含まれています。その生活再建に向けた支援が進んでいます。

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福豆荘で暮らす女性(左)とNPO法人しんせいの宇田春美さん

「障害者の生活再建はとても難しい」。本宮市や二本松市などで障害者を支援しているNPO法人オハナ・おうえんじゃーの藤本真理事長はそう話します。

藤本さんたちが普段支援している二本松市のダウン症の30代男性は、家の前に架かる唯一の橋が流されました。家に帰ることが困難になり、住み慣れた家での生活ができなくなりました。本宮市に住む発達障害のある男児(5)はアパートが浸水し、日常の環境から離れざるを得なくなったといいます。

浸水被害で家に帰ることができなくなった障害者が環境の変化に慣れることができず、落ち着くことができない様子を藤本さんは目の当たりにしました。プライベートな空間を確保しにくい避難所も生活しにくいため、市に雇用促進住宅などの支援を要請し、住居を確保しました。

郡山市のNPO法人「しんせい」が支援する障害者も、近くの川の増水によって、被災しました。障害者14人が入居している下宿「福豆荘」では、1階が床上浸水し、入居者の部屋と家財が被害を受けました。

写真:下宿の居室で真新しい家電製品に囲まれて笑顔を見せる女性
真新しい家電製品などが並び、下宿の居室で笑顔を見せる女性

福豆荘に住む女性(43)は「避難所は寒くて眠れなかった」と話します。水が引いた後、四畳半ほどの個室は泥の臭いがして入ることができませんでした。部屋にあった家電製品のほか、衣装ケースに入っていた衣類なども使えなくなりました。洗濯機も壊れ、コインランドリーでわずかな衣類を使い回して過ごしました。女性は布団やテレビ、掃除機の支援を受け、日常を取り戻すことができました。

しんせいの宇田春美理事(58)は「共同生活の部屋に入る家電製品は行政の支援が届きにくいです」と言います。女性は「全部気に入っています。やっと普通の生活になったような気がします」と笑顔を見せました。


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