【現地レポート】福島県いわき市、被災者を元気に 公民館でサロン

台風19号の被害が大きかった、いわき市平窪地区。そこでは、被災者の相談を受けたり、話を聞いたりするサロンが運営されています。

写真:プレハブ小屋にあつまった参加者たちがストレッチしている様子
サロンで運動をする参加者たち

サロンを始めたのは、近くの学習塾で指導員をする鈴木さおりさん(50)を含めた3人の女性でした。鈴木さんたちが声をかけ合って集まったメンバーで、床上約30センチまで浸水した公民館を3日間かけて掃除。10月23日にオープンしました。

鈴木さんは「他愛もない話をして笑ったり、愚痴を言ってストレスを発散したり。そんな場になっています」と話します。

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おやつを食べながら話をするボランティアと被災者たち

住職も参加、支援の経験生かす

サロン運営の支援には、近くにある長源禅寺の副住職、栗山周桂さんも参加しています。栗山さんは東日本大震災以来、「支援P(災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)」の一員になり、各地の活動に参加してきました。

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被災した地域の人たちと話す栗山さん(中央)

栗山さんのお寺の檀家だった90代の女性は、家族の目前で水に流されて亡くなっています。栗山さんは被災後、災害支援でボランティアセンター運営支援などをする「防災団体 Bousaring」の一員として、いわき市災害ボランティアセンターの運営を助けていました。学生ボランティアに向けては、法話を聞かせる機会を作っています。

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ボランティアに来た学生と話をする栗山さん

毎日開催、癒やしの場に

2月中旬の昼下がり、おやつと飲み物を楽しみながら交流できるサロンの運営を、栗山さんが手伝っていました。そこにはお年寄りや子ども連れのお母さんなど、様々な人が顔を出していました。

サロンに来た人たちからは「床上浸水した自宅で水を含んだ床や柱はどうしたらいいか」「壁の断熱材などにカビは発生しないか」といった質問が挙がったそうです。男の子を連れてサロンを訪れた山登ユカさんは「最初は相談するために来ていた。似た境遇の人が集まっているので癒やされて、いつの間にか、学校帰りに来るのが当たり前になっています」と言います。

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サロンに参加している子どもたち

サロンは当初週3日の開催でしたが、一般社団法人「Teco(てこ)」が引き継いでからは、毎日開かれています。鈴木さんは「いい空間になりました。サロンに来られる人はいいですが、家に閉じこもっている人をどうやって見つけて、(地域社会と)つながっていけるかが課題です」と話しています。


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