あえて児童館に併設。垣根なく子どもが集う、大分・杵築拠点。

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大分・杵築拠点の紹介です。クリスマス会のプレゼントを受け取る子どもたち。

子ども第三の居場所は、運営母体の特色を活かしながら運営しています。全国に37カ所ありますが、「食事の提供」「生活・学習支援の実施」「対象は小学校低学年から」などいくつかの共通項目をベースにしつつ、拠点毎の創意工夫も柔軟に実践されています。一つとして全く同じ拠点はなく、職員の強みや地域性を活かしたプログラムを実施しています。
今回ご紹介する大分県にある杵築拠点の特徴は、児童館に併設された複合型の居場所であることです。数ある拠点の中でも珍しい複合型のメリットや運営のポイントについてお伺いしました。

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明るい日差しが差し込む、杵築拠点。

児童館に隣接した子ども第三の居場所

お出迎えしてくれたのは、運営するNPO法人こどもサポートにっこ・にこの小畑たるみさんです。

「複合型になったのは、たまたまなんですよ。静かな場所で拠点を独立して開設することも検討しました。しかし、もともと子ども達が集まる児童館のそばなら、拠点を必要とする子ども達にリーチしやすいのではないかと考えました」

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拠点の立ち上げから尽力してきた小畑さん。地域からの信頼も厚い。

2018年、杵築拠点は児童館と渡り廊下で繋がる形で同じ敷地内にオープン。児童館を利用する子どもも、子ども第三の居場所を利用する子どもも、自由に行き来することができます。

取材に訪れた日は、子ども第三子どもの居場所合同のクリスマス会がオンラインで開催されていました。杵築拠点も、大きなスクリーンとカメラを設置して参加。クリスマス会の噂を聞きつけた、児童館の子ども達もいつの間にか集まり、30人を超える大勢で楽しいひと時を過ごしました。

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クリスマス会で行った各拠点を繋いだオンラインしりとりの様子。拠点を利用する子どもも児童館を利用する子どもも混ざり合って、楽しみました。

垣根を作らない慎重な運営体制

児童館へ。拠点へ。両者を繋ぐ渡り廊下を自由に行き来し、思い思いの時間を過ごす子ども達。その光景からは、建物が別であることや役割が異なることの垣根を感じることはありません。その背景には、長年子育て支援をしてきたNPOならではの慎重さがあります。

「児童館も第三の居場所も、市から委託を受けて私たちのNPOが運営しています。スタッフはそれぞれ配置しており、情報共有もしていますが、特定のスタッフに留めています。スタッフから情報が伝わることを防ぐためです。また、子どもの対応に関する研修は、拠点と児童館のスタッフが必ず一緒に受け、子どもがどちらに居ても同じケアを受けられるようにしています」

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放課後、子ども達が過ごす児童館。

経済的に困難な子どもが利用していることを、児童館を利用する子どもや保護者が耳にすれば、差別や分断が生まれ、子ども同士が自由に行き来しずらくなる可能性もあります。NPOでは、垣根なくのびのび過ごせるよう最大限配慮してきました。

開設から1年半、児童館を利用する子どもの保護者も、地域の方々も、今では親しみを込めて拠点の名前を口にするそうです。

児童館は社会、拠点は安心できる居場所

「子どもにとって児童館は社会、拠点は安心できる居場所なんだと思います。拠点で充電して、勇気を出して児童館へ行く。児童館で疲れたら、拠点でほっこりする。そんな風に無意識に使い分けている子どもが多い印象です。大人が役割を決めてあれこれ指示をするよりも、子どもの方がうまいですね」

児童館に併設したことで、拠点を利用する子ども達は、社会的なコミュニケーションを身に付けつつあります。

同時に、各家庭ではなかなか教えてもらう機会がなかった洗濯・掃除・食事の仕方についても身に付け、生活習慣の改善も見られます。

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洗濯機を使って洗った服を干して、タンスにしまうことができるようになりました。

「『どうせ』『だって』『もういい』が口癖の子ども達でした。しかし、生活に必要なことを学び、今では自分たちでクリスマス会を計画して準備をするなど、前向きに物事に取り組めるように変わってきました。拠点で過ごす時間が、何かしらプラスになっていると実感しています」

ビジョンを共有し、支援の輪を広げよう

全国でも珍しい児童館に併設した杵築拠点。児童館や地域とも良い関係を築きながら、運営できている秘訣を聞くと、このような答えが返ってきました。

「ビジョンが大事ですよね。きっと私たちの『子どものために』という思いが、市役所・社会福祉協議会・学校などに波及しているのだと思います」

社会福祉協議会とはフードバンク事業を実施し、拠点で作るおやつや夕食の材料にしています。また、子ども達が通う学校ともこまめに連絡を取り合い、子ども達のケアを。市役所とNPOは定期的に会議を開催し、児童館や拠点の未来について話をしてきました。

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おやつと夕食は、拠点のキッチンで手作りします。この日は、唐揚げにお好み焼き、スープと、ボリューム満点の食事でした。

「過去にも、発達障害の子どもへの対応や食材の確保など課題は数多くありました。でもその度に、市長や市役所の職員さんなどの支援を頂き、乗り越えることができました。第三の居場所と子ども達の支援者が、手を繋いで運営できているところが、杵築拠点の強みです」

杵築拠点には、市役所職員や市の議員も頻繁に足を運んでいます。開設4年目以降、日本財団の支援がなくなった後も、引き続き子ども達に安心できる居場所を提供できるよう、市をあげて資金の確保や運営方法を検討中です。

取材:北川 由依

寄付の状況 2021年1月末現在
5億4,072万999円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。