官民の立場を越えてつくる「子ども第三の居場所」4年間の成果を国・自治体・有識者と議論

日本財団は、様々な困難に直面する子どもたちに学習や生活の支援を行う「子ども第三の居場所」を全国各地に拡げており、2016年に開始以来2021年1月時点で全国37拠点を展開しています。ここをハブとして、行政、NPO、市民、企業、研究者の方々と協力し、誰一人取り残されない地域子育てコミュニティをつくることで、「みんなが、みんなの子どもを育てる社会」を目指しています。
2021年1月、これまで4年間各地で実践を重ねてきた「子ども第三の居場所」の成果を報告するとともに、全国展開を加速するために必要な施策について官民の立場を越えて意見交換することを目的として、中央省庁・自治体・有識者等の関係者を招いて「子ども第三の居場所官民合同会議」をオンラインで開催しました。
冒頭に、日本財団会長の笹川陽平より、「かつて日本は『子どもは社会の宝』と言われる社会だったが、いまは子どもたちの7人に1人は非常に困難な生活を送っているというのは驚くべき状況。少子化の中で未来を背負う子どもが一人でも多く健全に育つ環境をつくるということは、日本財団の取り組むべき最大の使命であると考えている」と述べました。

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オンラインで参加者と対話する日本財団会長の笹川陽平

「子ども第三の居場所」の事業報告として、まず2016年11月に全国初の拠点を開設した埼玉県戸田市の市長菅原文仁氏より、「開設から3年半が経過した令和2年度より事業移管で市の事業となり、小学校低学年向けの居場所に加えて小学校高学年から中学生までを対象とした学習支援も実施することで、小学校1年生から中学校3年生まで継続的に支援している。運営するNPOのスタッフが開設当初から地域の運動会にも積極的に参加するなど地域密着で取り組んでくれている」と現在までの取り組みを述べたうえで、「教育・福祉分野における部署間の連携も強化しながら、『タテ・ヨコ・ナナメ』の全体的な支援の輪を広げるとともに、学力の推移といった定量面、現場の実感といった定性面の両面から事業評価をすることで子どもたちへのより良い支援を検討したい」と今後の抱負を述べました。

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戸田市長 菅原文仁氏

次に、「子ども第三の居場所」を2拠点設置する広島県尾道市の市長平谷祐宏氏より、「支援を必要とする世帯は自ら困り感を表明できないことが多いため、公募型ではなく様々な機関のネットワークを使ってアウトリーチを行い、プッシュ型支援をしている」「『家庭』と『子ども』への両輪の支援を行うことで、昼夜逆転の生活を送っていた母子世帯が改善した事例がある」と成果を報告したたうえで、「親と子どもを両方支援できる居場所づくりに特化した新たな支援制度の創設を国にお願いしたい。また、ひとり親家庭等生活向上事業や生活困窮者自立支援事業等の現行制度の補助率を拡充いただくことも大きな力になる」と国への財政支援を要望しました。

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尾道市長 平谷祐宏氏

両市からの報告を受け、「子ども第三の居場所」を取りまとめる日本財団子どもサポートチームリーダーの本山勝寛より、「自己肯定感、人や社会と関わる力、学習習慣や生活習慣の改善など、全国の拠点から成果があがってきている。第三の居場所では、既存の学童や学習支援事業、子ども食堂では届かない問題にアプローチすることを大切にしている。今後は地域の実情に応じたモデルを展開することで、全国の拠点数を大幅に増やしていきたい」と今後の事業発展の意気込みを述べました。

続いて、関係省庁から、内閣府政策統括官(政策調整担当)付参事官(子どもの貧困対策担当) 飯田剛氏、厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長 唐木啓介氏、そして文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長 ⽯塚哲朗氏の3氏より、国における子どもの貧困対策や居場所づくりに関する政策について説明していただきました。

そして、各出席者から発言があり、
「全国470か所の海洋センターを通じて築いた各自治体との強いネットワークを生かして今後も第三の居場所を増やしていきたい(B&G財団理事長 菅原悟志氏)」
「小学校の子どもへの支援ニーズが大きい中で予算措置が限られている。特に学習・生活支援事業の補助率の増加を検討していただきたい((特非)Learning for All代表理事 李炯植氏)」
「もっと自治体に根づき、全国に広がっていくには安定した財政措置が必須だが、その際志がある若い人が仕事として選べる水準の補助が必要。日本の社会保障における子ども関係分野は遅れてきたので、財源の確保も含めてドラスティックな展開を期待する((一社)共生社会推進プラットフォーム理事長 藤井康弘氏)」
「尾道市の発表にもあったが、子どもへの支援によって生まれた親との接点は親の就労支援など様々な支援の糸口になるため大変貴重なもの(同志社大学社会学部教授 埋橋孝文氏)」
「生まれた環境のハンデを持った子どもたちも豊かな環境を与える中で貧困の連鎖は乗り越えられることを実感する一方で、中途半端な対策では効果は薄い。自治体が手を挙げる現在の方式では自治体のやる気次第で救えない子どもも出てきてしまっているため、全国の自治体で貧困の連鎖が防げる施策が実現するように連携したい((特非)新公益連盟代表 白井智子氏)」
「行政の縦割りの問題が大きい。子どもを支えている団体に直接お金を下ろしていくというやり方を検討してほしい(特定非営利活動法人さいたまユースサポートネット代表 青砥恭氏)」
などと活発な意見交換が行われました。

最後に、日本財団常務理事の笹川順平より、「この問題は1つの切り口で解決することはできない大きな問題だが、『走りながら解決する』というモットーのもと、走りながら皆さまと課題などを共有しあいながら前に進んでいきたい。日本財団は今年この問題を最も重要な課題と位置づけて本気で取り組んでいくので、これからもお力添えをお願いしたい。」と述べ、閉会しました。

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会議全体の様子
寄付の状況 2021年1月末現在
5億4,072万999円
日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。