事業初となる“最期の願い”を叶える遺贈寄付を用いた、埼玉県みぬま拠点を新設オープン。

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遺贈寄付を用いて新設された、埼玉県さいたま市みぬま拠点をご紹介します。

「遺贈寄付」という言葉を聞いたことはありますか?
遺贈とは、遺言によって特定の個人や団体に財産を遺すこと。遺言書を作成する際に、寄付したい人物や団体、その使途について記載すると、希望するところに財産を残せる仕組みです。

日本財団では2016年4月から「日本財団遺贈寄付サポートセンター(以下、サポートセンター)」を立ち上げ、遺贈を希望される方のお手伝いをしてきました。

2021年3月、子ども第三の居場所プロジェクトは全国38番目となる埼玉県さいたま市見沼区にある「みぬま拠点」を、遺贈寄付によって新設しました。

遺贈寄付を用いた拠点開設は初。遺贈寄付チーム・木下園子さん、そして埼玉県さいたま市見沼区にある「みぬま拠点」マネージャー・武原忠志さんに、遺贈によって背景や拠点のこれからについてお伺いしました。

年間2,000件近い相談が寄せられる、サポートセンター

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(左)みぬま拠点マネージャー・武原忠志さん、(右)遺贈寄付チーム・木下園子さん

2016年の設立からサポートセンターには年間2,000件近い相談が寄せられています。これまで遺贈寄付について相談する方々は、「相続人のいらっしゃらない方」や「お子さんのいらっしゃらないご夫婦」、「相続税対策のため財産の一部を寄付したい方」、「社会貢献のために遺産を遺したい方」が多いということです。

ご相談や寄贈先はさまざま。サポートセンターに相談が寄せられると、木下さんが所属する遺贈寄付チームが窓口になり、様々なお悩みや終活のご相談と共に、遺贈先や使途のご希望について伺いながら遺贈者ご自身の人生を振り返り、大切にしてきたことや未来への願いを明確にしながら、一緒に遺贈先を決めていきます。

遺贈先は主に、「子どもの支援」「障害者の支援」「災害復興支援」などの分野から選ぶ場合、「海外」「国内」など貢献したい地域から選ぶ場合があり、遺贈者一人ひとりのご希望に沿った事業や地域にお金を使わせていただけるよう管理しています。

木下さん「お預かりした資産は、遺贈基金に入ります。受入れ口は一つです。しかし私たちは、『遺贈には一人ひとりの思いが入っている』と考え、金額の多寡に関わらず、基金の中で個別管理しています。金額が10万円であっても1億円であっても、遺贈者が何を望まれていたかを記録し、思いに沿った使い道を選ぶことを大切にしています」

3名からの遺贈寄付金で新設した「みぬま拠点」

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2021年3月に新設オープンした「みぬま拠点」、通称「あそぼっくすみぬま」。コンテナを組み合わせた建物で、外と内の行き来がしやすい。

遺贈寄付を使わせていただいた子ども第三の居場所オープンは、「みぬま拠点」が初となります。

木下さん「みぬま拠点は3名から頂いた寄付金で開設しました。それぞれ『恵まれない子どものために活動して頂きたい』『子ども支援のために使ってほしい』などと遺言書にかかれていました」

遺贈者の中心は70代から80代。使途を「子ども支援」に指定する方には、戦争を経験された方も多くいます。

木下さん「子ども時代、貧しかった経験をされている方もいらっしゃるので、学習支援や食育などに取り組む子ども第三の居場所事業に使ってほしいと、ピンポイントでご指定いただくこともあります」

自分の夢を、子ども第三の居場所に託す

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本棚とこれから通う子どもたちの荷物が入る棚が設置された、みぬま拠点の内観。

遺贈者の思いも加わり無事に開所を迎えた、みぬま拠点。マネージャーの武原忠志さんは、「年齢が近い分、遺贈者の気持ちはよくわかる」と話します。

武原さん「65歳なので、私は戦争を知りません。しかし、私が育った時代はまだこの国が豊かではなかった時代で、食べるものも着るものも今の様に豊ではありませんでした。でも、努力すれば豊かになっていく、個人の努力が報われる希望があった時代でした。その経験があるから、子ども第三の居場所に関わっている面もあるんです」

そうしたご自身の思いも踏まえ、今後拠点を利用する子ども達には、遺贈寄付によって作られた建物であることを伝えていく予定です。

武原さん「伝え方はまだ決められていませんが、子ども達にわかりやすく伝えないといけないと考えています。説明するよりも、『自分が大人になった時、お金がたくさんあり、一人で暮らしていたらどうする?』と質問しながら、対話していきたいですね」

遺贈者から直接相談を受け伴走してきた木下さんも、折を見て子ども達と話をすることを楽しみにしています。

木下さん「遺贈寄付は、ご自身が叶えられなかった夢を託す行為でもあります。『君たちの将来を楽しみにしている人達がいるんだよ』と伝えたいですし、良い環境で子ども達が過ごすことができたら、遺贈者も天国から喜んで見守っていらっしゃると思います」

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子ども達が楽しく過ごせるよう、手作りのイラストやクイズがあちこちに展示されています。

遺贈寄付によって新設された子ども第三の居場所、第一号となったみぬま拠点。現在、大阪・箕面市においても、遺贈寄付によって新たな拠点の開設準備が進められています。
遺贈寄付にご関心をお持ちの方は、日本財団遺贈寄付サポートセンターまでご連絡をお願いします。

日本財団 遺贈寄付サポートセンター(外部リンク)
電話:0120-331-531(通話料無料、平日9:00-17:00)

取材:北川由依

寄付の状況 2021年4月末現在
5億8,449万9,634円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。