船舶の脱炭素化を推進する研究開発拠点「水素エンジンR&Dセンター」が完成日本財団 ゼロエミッション船プロジェクト

日本財団は、2022年1月よりCO2排出ゼロの船舶を開発する「ゼロエミッション船プロジェクト」を推進しています。その一環で、2024年9月4日(水)、ジャパンハイドロ株式会社(代表取締役:神原 宏達)が運営する「水素エンジンR&D(研究開発)センター」が広島県福山市に完成しました。本センターは、水素エンジンの開発から水素の貯蔵、船舶への充填までを一気通貫で実施できる施設です。

本センターでは、水素社会の構築に向けて普及が期待される水素エンジンの試験設備と、船舶用に特化した水素ステーション(25年1月完成予定)からなり、造船所内にこのような設備が整備されるのは世界初※です。また、本センターは、水素燃料船舶用のエンジン開発に加え、大型トラックや重機等の機械への水素エンジンの適用など、幅広い用途での活用が想定されています。我が国の水素エンジン開発の最先端拠点となる本センターは、2050年カーボンニュートラル社会の実現に貢献することが期待されています。

  • 日本財団調べ(2024年9月時点)。造船所に水素エンジンの研究開発センターを整備したこととして「世界初」
写真
完成した研究開発センター
写真
水素エンジンの性能テスト準備の様子

水素エンジンR&Dセンターの特徴

本センターは、水素燃料船の設計、水素エンジンの試験、認証取得、実船への水素充填を一気通貫で実施が可能な施設です。今後は、水素燃料によるゼロエミッション船開発への活用だけでなく、大型トラックや重機等の大出力が求められる機械への水素エンジンの適用など、幅広い用途での活用が想定されています。

画像:水素エンジンR&Dセンターの説明図。画面上部に「・水素エンジン開発と船舶用水素ステーションを完備した研究開発(R&D)センター」「・施設を他団体にも開放し、我が国における水素専焼エンジン開発の拠点となることを目指す」。画面中央に、R&Dセンターの敷地俯瞰図。画面右側に、水素エンジンR&Dセンターの写真。画面左側に、25年1月完成予定の船舶に特化した水素ステーションの写真。岸壁には船舶への水素充填設備も設置予定。

①水素エンジンの試験設備を完備

現在、水素エンジンの性能試験や認証取得が可能な試験設備(テストベンチ)を整備した施設です。
また、本センターは水素エンジン開発を目指す研究機関や企業も活用が可能であり、我が国の水素エンジン開発を推進することを目指します。

写真:試験設備の様子

②船舶用特化型の水素ステーション(25年1月頃完成予定)

水素エンジンを搭載した船舶には、自動車等への水素充填を目的とした既存の水素ステーションとは異なり、大容量かつ港湾に対応した設備が必要です。
本水素ステーションでは、2025年1月頃の完成を目指して、船舶用の大容量水素充填設備や船の係留設備、揺動対策がされた世界初の船舶用水素ステーションが完備される予定です。

写真:設備確認の様子

水素エンジンゼロエミッション船運航コンソーシアム 実施予定内容

ジャパンハイドロ㈱をリーダーとした「水素エンジンゼロエミッション船運航コンソーシアム」では、水素専焼中速エンジンを搭載したゼロエミッション船の開発に加え、浮体式の水素燃料供給システム、そして、今回の水素エンジンR&Dセンターを整備することで、内航海運のゼロエミッション化を推進することを目指します。

画像:水素エンジンゼロエミッション船運航コンソーシアムの活動内容についての説明。 画面上部に見出し「ゼロエミッション船(水素専焼中速エンジン・世界初)、燃料供給システム、エンジン研究開発環境の整備」の文字。 画面左側に、「1.ゼロエミッション船開発」「段階的な混焼率の上昇による水素専焼エンジン開発」の文字があり、ゼロエミッション船として開発予定の3隻の水素船の紹介。 左側上段に「旅客船 水素混焼高速エンジン搭載」、左側中段に「タグボート 水素混焼高速エンジン搭載」、左側下段に「世界初 ※1 レストラン船 水素混焼中速エンジン搭載」 画面中央に、「2.水素燃料供給システム」「浮体式の洋上水素ステーション 世界初 ※2」の文字があり、その下には浮体式の水素燃料供給システムの機能説明図。「水素バンカリングでは45MPaによる差圧充填」「機械室&制御室では水素混焼発電機搭載」「低圧水素受け入れ口では副生水素受取」「水素蓄圧器コンテナでは輸送/備蓄を考慮したコンテナモジュール」「水素圧縮機&水素制御ユニットでは低圧水素を45Mpaへ昇圧」 画面右側に、「3.環境整備(水素エンジンの研究開発)」 「水素エンジンの研究開発や認証を行う拠点」の文字。 その下に「水素エンジンR&Dセンター」の写真。画像下に、「水素エンジン研究開発施設が造船所内に設置されるのは『世界初』」の文字。
※1 日本財団調べ(2024年9月4日時点)。水素専焼中速エンジンを搭載したゼロエミッション運航として「世界初」。
※2 日本財団調べ(2024年9月4日時点)。浮体式の洋上水素ステーションの整備が「世界初」。

日本財団ゼロエミッション船プロジェクト 今後の予定

2026年度に水素専焼エンジンを搭載したゼロエミッション船2隻の開発実証を予定しています。

【実施済】水素燃料電池 洋上風車作業船コンソーシアム 【2026年度】水素エンジンゼロエミッション船コンソーシアム 【2026年度】水素エンジン搭載タンカーコンソーシアム
MOTENA-Sea他4社 ジャパンハイドロ他11社 ヤンマーパワーテクノロジー他5社
水素燃料電池を搭載した洋上風車作業船のゼロエミッション運航実証 写真:洋上風車作業船「HANARIA(ハナリア)」 水素専焼エンジンを搭載した旅客船による実証運航及び水素燃料供給システムの開発実証 写真:水素専焼エンジンを搭載した旅客船 水素専焼エンジンを搭載したタンカーによるゼロエミッション運航実証 写真:水素専焼エンジンを搭載したタンカー船体イメージ

日本財団ゼロエミッション船プロジェクト~温室効果ガス排出ゼロの未来の船を開発する~

本プロジェクトは、2050年に内航分野におけるカーボンニュートラルを実現するために、世界に先駆けて水素を燃料とした船舶(ゼロエミッション船)を開発し、実証実験を行います。既に、2024年4月に水素燃料電池を用いた洋上風車作業船「HANARIA」のゼロエミッション運航を成功させている本プロジェクトは、2026年度末までに、2つのコンソーシアム(※複数の民間企業体)で、実証実験を実施予定です。
ゼロエミッション船の開発は、世界中で喫緊の課題であるカーボンニュートラルの実現を強力に推進するだけでなく、日本が世界的に高い技術レベルを有する水素技術やエンジン技術などを活かすことができる「未来の産業」として期待がされています。

日本財団ゼロエミッション船プロジェクトのロゴ

関連リンク

お問い合わせ

広報に関するお問い合わせ

日本財団 経営企画広報部 広報チーム

  • 担当:滝澤
  • メールアドレス:pr@ps.nippon-foundation.or.jp

事業に関するお問い合わせ

日本財団 ゼロエミッション船プロジェクト事務局

  • メールアドレス:Zeroemission2050@ps.nippon-foundation.or.jp