日本財団ゼロエミッション船プロジェクトとは
本プロジェクトでは、2050年に内航分野におけるカーボンニュートラルを実現するため、世界に先駆けて水素を燃料とした船舶(ゼロエミッション船)を開発し、実証実験を行います。
プロジェクトロゴについて
120 以上の国と地域、そして多くの業界が掲げている目標「2050 年カーボンニュートラル」。
その船部門の代表として、クリーンエネルギーで海を航行する船をイメージしました。
海をイメージした青のグラデーションとクリーンエネルギーをイメージした緑を掛け合わせることで、いつまでもクリーンエネルギーで海と人が共存できる社会をめざします。
世界的脱炭素化の流れ
2015年パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)でパリ協定を採択し、それにより、世界的に脱炭素化に向けた動きが加速しています。
わが国においても、菅義偉前首相は2020年10月26日、成長戦略の柱として「経済と環境の好循環」を掲げており、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現)を目指すと所信表明演説で発表しています。
この表明を踏まえれば、海事分野においても、内航船からのCO2排出量を2050年までにゼロにすべく政策を進めていくことが必要となります。
その一つの手法が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」14分野の1つである、船舶産業の実行計画にも位置づけられたカーボンフリーな次世代燃料への転換(次世代燃料船の導入)です。
2050年までに内航船のゼロエミッション化を目指す
次世代燃料船には、様々なオプションがあり、既存の技術やインフラを活用できるものから、順次拡大していくと予測されます。
具体的には、LNG燃料やバッテリーで既に実用化が進んでいるものから利用拡大が進む予定です。
そして、LNG燃料の技術・インフラがそのまま利用可能なバイオメタンやカーボンリサイクルメタン※へと置き換わっていきます。
中期的には、利用時にCO2を排出しないアンモニアや水素の利用が期待されていますが、将来的には利用時に水しか排出しない究極的なクリーン燃料である水素の利用が拡大していくのではないかと考えています。
日本財団では水素を燃料としたゼロエミッション船の開発に焦点を当て、当該技術開発を支援しています。
- ※ カーボンリサイクルメタンとは、排出されたCO2を原料に、再利用して作られたメタンです。
各コンソーシアムが「ゼロエミッション船」実証実験を準備中
2023年6月現在、3つのコンソーシアムが実証実験に向けてゼロエミッション船を開発中です。今回の実証実験では、水素燃料電池を搭載した洋上風車作業船、および水素専焼エンジン搭載型のゼロエミッション船を開発・実証します。これらは、世界初の試みとなります。
1. 水素燃料電池洋上風車作業船コンソーシアム
~世界初の水素燃料電池×バイオディーゼルを活用した洋上風車作業船の実現~
プロジェクト概要と開発状況
洋上風力発電施設への人員輸送や関係者の現地視察・見学等に利用可能な水素燃料を動力とする洋上風車作業船を開発し、2024年に実証実験を行います。
コンソーシアムメンバー(2023年6月時点) | |
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1. (株)MOTENA-Sea(代表) 2. 関門汽船(株) 3. 商船三井テクノトレード(株) |
4. 大陽日酸(株) 5. 本瓦造船(株) |
2. 水素エンジンゼロエミッション船実証運航コンソーシアム
~海運におけるゼロエミッションの実現を目指して~
プロジェクト概要と開発状況
2026年を目標に水素専焼エンジンを搭載したゼロエミッション船の開発・実証実験を行います。併せて水素を供給するインフラ整備(水素ステーション)も行います。
コンソーシアムメンバー(2023年6月時点) | |
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1. ジャパンハイドロ(株)(代表) 2. 神原汽船(株) 3. 神原タグマリンサービス(株) 4. (株)キッツ 5. サムテック(株) 6. CMB.TECH NV |
7. (株)SPACE WALKER 8. 大洋電機(株) 9. ツネイシクラフト&ファシリティーズ(株) 10. 常石造船(株) 11. 日本コークス工業(株) 12. BEH2YDRO |
3. 舶用水素4ストロークエンジンと水素エンジン対応大型内航タンカーの開発・実証
プロジェクト概要と開発状況
水素を燃料とした水素専焼小形高速エンジン及び水素エンジンに対応した船舶を開発します。また、舶用水素燃料エンジン発電機の運用・運航に向け、安全面や教育面に関する各種準備を整えていきます。
- ※ 船体色につきましては、イメージです。
コンソーシアムメンバー(2023年6月時点) |
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1. ヤンマーパワーテクノロジー(株)(代表) 2. 上野トランステック(株) 3. (大)京都大学 4. 福岡造船(株) 5. 三井E&S造船(株) 6. (株)みらい造船 |
- ※ 所掌:4. 船舶の詳細設計・建造、5. 船舶の基本計画・基本設計、6. 水素エンジンコンテナの詳細設計・製造
ニュース
船舶の脱炭素化を推進する研究開発拠点「水素エンジンR&Dセンター」が完成
日本財団は、2022年1月よりCO2排出ゼロの船舶を開発する「ゼロエミッション船プロジェクト」を推進しています。その一環で、2024年9月4日(水)、ジャパンハイドロ株式会社(代表取締役:神原 宏達)が
世界初※ゼロエミッション運航実証に成功
日本財団は、「ゼロエミッション船プロジェクト」の一環で、2024年3月26日から4月4日の期間で、北九州市小倉港で水素燃料電池を搭載した洋上風車作業船「HANARIA(ハナリア)」による、CO2排出ゼロ
水素燃料電池船「HANARIA」が進水
日本財団ゼロエミッション船プロジェクト「水素燃料電池洋上風車作業船コンソーシアム(代表会社:株式会社MOTENA-Sea)」が開発を進める水素燃料電池船が2023年9月13日に進水し、また「HANARI
関連リンク
お問い合わせ
日本財団 海洋事業部 海洋船舶チーム
- 担当:野本、小嶋
- メールアドレス:Zeroemission2050@ps.nippon-foundation.or.jp