瀬戸内海を囲む4県知事が参加 1,000人規模の一斉清掃上陸用舟艇や特殊車両・重機を活用し計26トンのごみを回収

日本財団は2025年7月5日、瀬戸内4県(岡山県・広島県・香川県・愛媛県)が連携して展開している包括的海洋ごみ対策プロジェクト「瀬戸内オーシャンズX」の一環として、4県が同日・時間帯に合同で清掃するイベント「瀬戸内4県 一斉清掃大作戦!」を実施しました。

画像:各地の清掃活動の様子。画像上段左より、旭川河川敷(岡山県岡山市)、荒代海岸(広島県江田島市)。画像下段左より、御所ヶ浜(愛媛県伊方町)、手島(香川県丸亀市)。

当日は、4県の知事や日本財団の笹川名誉会長をはじめ、漁業や企業関係者、中高生、市民ボランティア等、4会場で計約1,000人が参加し、離島や半島の海岸・河口部等、地形や気候の影響で県内でも特にごみが溜まりやすく回収が困難な場所で、上陸用舟艇(民間フェリー)や特殊車両、重機等も用いながら、1日で計約26トンのごみを回収しました。

4県では年間約388トンのごみが発生し、うち約302トンが公的機関等で回収されていることから、本プロジェクトでは2028年3月までに、年間86トンのごみを継続的に回収する仕組みを構築することで、瀬戸内海におけるごみを減少に転じさせることを目指しています。

  • 沿岸域学会誌(2023年)

この目標を達成するため、当財団は今回得られた知見をもとに、人の立ち入りが難しい離島や半島、河口・河川敷などに散乱するごみの効率的な清掃方法のモデル構築を引き続き進めていくとともに、海洋ごみ問題の周知啓発と削減にむけた機運醸成を推進します。

「瀬戸内4県 一斉清掃大作戦!」全体概要

日時

2025年7月5日(土)10:00~開会式・清掃活動

清掃場所

香川県

清掃場所:手島(丸亀市)

香川県沖に点在する島には、季節風や潮位の影響で都市部などから流出したごみが漂着しやすい海岸があります。手島も例外ではなく、当日は生活ごみや漁業関連ごみなど、島しょ部ならではのごみを回収しました。また、回収したごみが相当な量に上ったことから、フェリーで島に輸送したパッカー車(2台)やトラックに、直接積み込みました。

写真:手島(香川県丸亀市)での清掃活動の様子。
手島(香川県丸亀市)

岡山県

清掃場所:旭川河川敷(岡山市)

岡山市内には大河川や網の目状に走る水路があり、これらを伝って生活ごみなどが海に流れ込んでいます。今回の清掃を通じて、海洋ごみの多くは陸域から発生していることを改めて呼びかけました。

写真:旭川河川敷(岡山県岡山市)での清掃活動の様子。
旭川河川敷(岡山県岡山市)

広島県

清掃場所:荒代海岸(江田島市)

カキ養殖が盛んな広島湾には、養殖いかだに取り付ける発泡スチロール製フロートや、カキとカキの間に設置するプラスチック製パイプなどが漂着する海岸が数多くあります。当日は県内の漁業関係者と企業・団体、市民が連携した清掃活動を実施しました。

写真:荒代海岸(広島県江田島市)での清掃活動の様子。
荒代海岸(広島県江田島市)

愛媛県

清掃場所:御所ヶ浜(伊方町)

佐田岬半島北側の海岸には、生活ごみや漁業関連のごみが大量に漂着し、季節風で吹き上げられることによって、海岸の砂と混ざり堆積する場所があります。当日は、上陸船で輸送したふるい機能付き重機で、大量のごみと砂を選別し、プラスチックごみを効率的に回収しました。回収したごみが相当な量に上ったことから、ごみの移動時に、上陸船で輸送したクレーンやフォークリフトも使用しました。

写真:御所ヶ浜(愛媛県伊方町)での清掃活動の様子。
御所ヶ浜(愛媛県伊方町)

関係者コメント(一部)

笹川 陽平(日本財団 名誉会長)

瀬戸内海を世界で最も美しい海にしようと呼びかけ、岡山・広島・香川・愛媛の知事の皆さまの賛同を得て、「瀬戸内オーシャンズX」が始まりました。2028年3月までをめどに、瀬戸内海が世界の海のモデルになるよう、皆さまといっしょにこの運動を進めてまいりたいと思います。

池田 豊人(香川県知事)

離島に流れ着いた大量のごみを回収することは難しい。今回、日本財団と関係県と連携し、大がかりな回収を行ったが、こういう取り組みが今後も必要になる。香川県としては、生活系ごみ対策やアクセス困難な離島の漂着ごみ回収、人材育成等を一層強化してまいります。

伊原木 隆太(岡山県知事)

今回の旭川河川敷での清掃を通じ、海へ流れ出る前にごみを未然に回収することの重要性を再認識しました。岡山県では補助制度を活用し、継続的な活動体制の構築と高まった機運の持続を支援しています。用水路の多い本県では、ホットスポットが把握されており、地域の実情に応じた回収活動を県内各地で推進してまいります。

湯﨑 英彦(広島県知事)

4県連携の清掃活動は、参加者が思いを共有し、意識を高め合う貴重な機会となりました。広島県の海岸漂着ごみは約6割が漁業系で、特にかき養殖に由来する資材も多く、管理の徹底や発泡スチロール資材の回収を地元漁業者と連携して進めています。今後もプラ削減や流出防止に取り組み、瀬戸内全体で対策を強化してまいります。

中村 時広(愛媛県知事)

今回の御所ヶ浜での清掃を通じ、重機による効率的な回収を実感し、美しい瀬戸内海を次世代へ継ぐためには迅速な対策が必要だと再認識しました。南予地域では、日本財団と連携して上陸母船による巡回回収を進めており、今後は地元市町や漁協、ボランティアと協力し、回収後の海岸維持にも取り組んでまいります。

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