東南アジア障害分野の研究者を調査専門人材育成へ、大学院の教授・講師を可視化
日本財団は、タイに拠点を置くアジア太平洋障害者センター(APCD: Asia-Pacific Development Center on Disability)に委託し、東南アジア7ヵ国(インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス)において、障害分野の課題解決に関する研究に取り組み、修士課程で指導を行う大学教授・講師を対象に調査を実施しました。
本調査は、日本財団による障害者への修士奨学金事業を強化するため、障害分野の研究を行い修士課程で師事可能な教授・講師の情報を整理・公開し、関心分野に適した指導者を見つけやすくすることで、課題解決に取り組む専門人材の育成を促進することを目的としています。
なお、東南アジアにおいて、障害分野の研究に取り組む大学教授・講師の情報を横断的に整理し、公開する取り組みはこれまで限定的でした。
調査概要
2025年7月から9月にかけて、東南アジア7ヵ国の高等教育機関において、障害分野の課題解決を研究し、大学院生の指導に関わる教授・講師を対象にオンライン調査を実施しました。
調査方法
Google Scholar(2015〜2025)の関連論文等から候補者を抽出してオンライン調査(英語)を行うとともに、回答者から候補者の紹介・転送を依頼するスノーボール方式も併用し、要件を満たす教授・講師の情報を整理しました。
主な調査結果
- 回答状況:調査票を送付した候補者は計624件、要件を満たした回答は33件で、域内・国別に研究者情報が散在している現状が示された。
- 研究分野の傾向:研究テーマは、インクルーシブ教育、健康・リハビリ、アクセシビリティ、就労、法制度、人権、社会科学等が多く、共通の傾向が見られた。
- 国別の分布:マレーシア13人、インドネシア9人、タイ7人、フィリピン2人、ベトナム2人、ラオス0人、カンボジア0人と国別の偏りがみられ、国によっては研究者が少ない、あるいは研究者情報の可視化が十分でない状況が示唆された。
- 大学の受け入れ体制:学内設備等のアクセシビリティや支援機器提供、奨学金・授業料免除、障害学生支援室や指導教員研修等の整備は大学間でばらつきがみられた。
- ※
本調査はオンライン調査への任意回答に基づく自己申告であり、大学の受け入れ・支援体制に関する記述も回答者個人の見解に基づきます。また、英語のみで実施した点や限られた調査期間等の制約があるため、結果は網羅的ではなく、国・分野別の偏りや情報の欠落等が生じ得ます。
今後に向けて
報告書では、障害分野の課題解決に取り組む大学教授・講師を可視化し、継続的に活用していくため、以下の点が提言されています。
- 一元的なデータベースの整備
- 大学からの情報入力の標準化・定期的な更新(年2回程度)
- 大学内の報告体制の強化(窓口・担当者の明確化)
- 多言語・アクセシビリティ対応(対象国の主要言語・英語、誰もがアクセスしやすい形式)
今後に向けて
日本財団は、本報告書で得られた結果を踏まえ、障害者への修士奨学金事業をさらに強化し、人材育成を通じた障害分野の課題解決へ向けて取り組みを進めていきます。
本調査の報告書サマリーと、要件を満たした大学教授・講師の一覧を公開します(いずれも英語のみ)。
関連リンク
お問い合わせ
日本財団 特定事業部 障害インクルージョンチーム
- 担当:和田、中川
- メールアドレス:100_shougai_inclusion@ps.nippon-foundation.or.jp