英国の次世代日本研究者が集結

2026年5月29日、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)において、グレイトブリテン・ササカワ財団(The Great Britain Sasakawa Foundation:GBSF)主催の「Sasakawa Studentship and Alumni Day 2026」が開催されました。日本財団からは高橋清美、菊地里帆子が参加しました。
GBSFは1985年の設立以来、日本研究、日本語教育、芸術・文化、青少年交流など幅広い分野で日英関係の発展を支えてきました。40年にわたり、英国各地の大学や研究機関との協力関係を築き、日本研究講師ポストの設置、大学院生支援、研究助成などを通じて英国における日本研究の発展に貢献してきました。その功績が評価され、2025年には日本国政府より外務大臣表彰を受賞しています。
日本財団は2014年より、GBSFが実施する「Sasakawa Japanese Studies Postgraduate Studentship Programme」を支援しています。本事業は、英国の大学で日本研究に取り組む修士課程・博士課程の学生を対象に研究活動費を支給するもので、これまでに200名を超える学生を支援してきました。英国における日本研究の持続的な発展を支えるとともに、次世代の日本研究専門家の育成に貢献しています。
英国の大学は長年にわたり、日本研究において国際的に重要な役割を果たしてきました。日本に関する深い知識と専門性を持つ研究者、教育者、翻訳者、政策専門家、文化関係者を数多く輩出し、日本への理解を深めるとともに日英関係の発展に寄与しています。一方で、大学院レベルで日本研究を継続するための資金的支援は限られており、若手研究者を支援するプログラムの重要性は高まっています。

日本研究の多様な展開を示した研究発表
イベントでは、まず奨学金の支援を受ける博士課程学生による研究発表が行われました。
発表テーマは、東アジアにおける地域協力と制度形成、日本文学におけるゴシック表象、1923年の関東大震災後に生まれた文学作品の翻訳、戦争の記憶と記念施設の比較研究、古典文学のマンガ化と翻訳など多岐にわたり、現代日本研究の学際性と広がりを示す内容となりました。
発表後には英国各地の大学教員による講評が行われ、理論的枠組みや比較研究の視点、研究方法論について活発な議論が交わされました。多くの研究が日本でのフィールドワークや資料調査に基づいており、日英間の学術交流が研究活動を支えていることも示されました。

大学院研究から多様なキャリアへ
卒業生によるキャリアセッションでは、日本研究を通じて培われた専門性が多様な分野で活かされていることが紹介されました。
大学教員や研究者に加え、翻訳、出版、文化発信などの分野で活躍する卒業生が登壇し、自らの経験を共有しました。
本事業の長期的な成果の一例として紹介されたのが、作家・研究者のDr Nick Bradley氏です。Bradley氏はUniversity of East Angliaで博士研究を行う際に本奨学金の支援を受け、日本文学における猫の表象について研究しました。
その研究と並行して執筆された小説『The Cat and the City』は東京を舞台とし、複数言語に翻訳されるなど国際的な評価を受けています。この事例は、日本研究を通じて得られた知識や視点が、学術研究だけでなく文学や出版、文化交流にも活かされていることを示しています。
研究者コミュニティを支える交流の場
午後のプログラムでは、日本財団奨学生・卒業生ネットワーク(TNF Scholars Association:TNFSA)の紹介に加え、大和日英基金、国際交流基金、日本学術振興会(JSPS)などによる研究支援制度の紹介も行われました。
レセプションには、GBSFのPaul Madden会長、英国日本大使館の前田修司公使(広報・文化担当)をはじめ、大学関係者や研究支援機関関係者が参加しました。
日本研究は専門性の高い分野であるため、研究者や学生が所属機関を超えて交流する機会は非常に重要です。Studentship and Alumni Dayは研究成果を共有する場であると同時に、支え合う研究者コミュニティを育む場としても重要な役割を果たしています。

英国における日本研究と日英交流の未来に向けて
過去10年以上にわたり、Sasakawa Japanese Studies Postgraduate Studentship Programmeは、日本に関わる研究者・専門家のコミュニティ形成を支えてきました。卒業生は現在、大学、政府機関、出版、博物館、文化機関など多様な分野で活躍しています。
Sasakawa Studentship and Alumni Day 2026では、現役奨学生の研究成果と卒業生の活躍が共有されるとともに、本事業を通じて育まれてきたネットワークの広がりが示されました。研究者、卒業生、大学、支援機関がともに築いてきたつながりは、英国における日本研究を支えるとともに、日英両国の相互理解と交流の促進にも貢献しています。
日本財団は今後も本事業への支援を通じて、次世代の日本研究専門家の育成と、日本研究および日英交流を支えるネットワークの発展に取り組んでいきます。
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お問い合わせ
日本財団 国際事業部 グローバル・イシューチーム
- 担当:高橋、菊地
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