内航海運の船員確保に関する調査結果を公開内航海運における船員養成ならびに船員確保に関する実態調査

内航海運は国内輸送の4割を担う重要インフラですが、船員不足が深刻化しており、2015年には1.94であった有効求人倍率は、2025年には4.74へと急上昇しています。このような業界の状況を受けて、日本財団では、わが国の船員養成における課題を取り纏め、改善提言を行うことを目的に、我が国における船員養成の実態調査および有識者からなる委員会での検討を行い、その成果を「船員養成の改善方策提言」として2024年6月に公開しました。しかしながらこの調査および検討では、検討期間が短いことから、短期的に実施可能かつ実効性が見込める改善方策の抽出を行うこととし、内航分野についての整理や検討の多くが、未着手となっていました。

そこで、当財団では、2024年10月から2025年11月にかけて、内航海運における船員養成ならびに船員確保等の実態に関する調査を行い、供給側である養成機関、需要側である船社側それぞれの現状や課題、ニーズを明らかにすることを目指しました。

1. 内航貨物船業界の船員過不足状況

内航貨物船業界全体としてはわずかに船員不足状況にある。船社規模別に見ると、大規模船社は比較的充足している一方で、小規模船社は深刻な船員不足に直面している。

  • 小規模船社の中には、船員不足による一時的な休業等が発生している可能性がある。
  • 船社規模別にみると、小規模船社ほど予備員率が低く、船員の高齢化が進んでおり、船員過不足状況には偏りがあることが分かる。
船社分類および保有隻数別の船員データ。内航貨物船員総数:21,349人(小型船船員等1,033人含む)。総トン数20t以上・甲板部・機関部所属船員総数は20,316人(乗組船員15,588人、予備員4,728人、平均予備員率30%)。【1隻のみ保有の場合】500t未満のみ:乗組船員数9%、予備船員数10%、65歳以上21%。500t以上保有750t以上非保有:乗組船員数1%、予備船員数22%、65歳以上18%。750t以上保有:乗組船員数2%、予備船員数40%、65歳以上16%。【複数隻保有の場合】500t未満のみ:乗組船員数18%、予備船員数20%、65歳以上19%。500t以上保有750t以上非保有:乗組船員数11%、予備船員数30%、65歳以上18%。750t以上保有:乗組船員数35%、予備船員数41%、65歳以上12%。※国土交通省提供の事業状況報告データを基に分析。
内航貨物船業界の船員過不足状況

2. 各船員養成機関の就職ルート

・各養成機関種別の内航海運への就職者数は、大学から52名(6%)、高専から104名(13%)、各養成機関種別の内航海運への就職者数は、大学から52名(6%)、高専から104名(13%)、JMETSから296名(36%)、水産高校専攻科から134名(17%)、水産高校本科から141名(17%)、新6級養成機関からは86名(11%)である。
(R3〜5年の平均。記括弧内の数字は内航への就職者全体(対813人)における割合を示す)

各養成機関種別別の内航海運への就業者数(R3〜5年平均、全体813人)。内航就職者は、JMETSから296名(36%・就職率86%)、水産高校本科から141名(17%・就職率56%)、水産高校専攻科から134名(17%・就職率76%)、商船高専から104名(13%・就職率68%)、6級養成機関から86名(11%・就職率99%)、大学から52名(6%・就職率28%)。【その他の就職先】大学:陸上39名(21%)、外航16名(10%)。商船高専:陸上26名(17%)、外航68名(37%)。水産高校専攻科:官公庁系18名(10%)、水産系21名(12%)。水産高校本科:官公庁系24名(13%)。※数値はR3〜5年平均。
各船員養成機関の就職ルート
上図は令和3-5年度における船員養成機関ごとの就職実績をもとに作成しているが、水産系船舶、官公庁系船舶への就職者の一部が反映できていない可能性があるほか、一部の船員養成機関の就職実績(就職者総数の2~3%程度)が含まれていない
  • ※
    「陸上」は「船舶を保有しておらず、陸上業務のみを実施している企業」を、「外航」は「官公庁系船舶、内航船を保有しておらず、外航船(20t以上)を保有している企業」を、「内航」は「官公庁系船舶を保有しておらず、内航船(20t以上)を保有している企業」を、「官公庁系船舶」は「官公庁系船舶(20t以上)を保有している組織・企業」を、「水産系船舶」は「官公庁系船舶、内航船、外航船を保有しておらず、水産系船舶(20t以上)を保有している企業」をそれぞれ指す

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