グローバル・アピール2020開催ハンセン病患者と回復者に対する社会的差別撤廃に向けて安倍首相出席のもとパラアスリートとハンセン病差別撤廃を訴え

1月27日、日本財団は国際パラリンピック委員会と共にハンセン病差別撤廃を訴える「グローバル・アピール2020」を開催しました。240人が出席した宣言式典には、安倍晋三首相、加藤勝信厚生労働大臣らも出席。マセソン美季さんと池透暢さんらパラアスリートらがハンセン病差別撤廃に向けた宣言文を読み上げました。

式典の冒頭で日本財団会長の笹川陽平は、未だにハンセン病の差別が残っている現状を訴え「今年はオリンピック・パラリンピックイヤーです。東京でのパラリンピアンの活躍は、必ずや世界の人々に大きな感動を与え、インクルーシブな社会でならなければという重要なメッセージを発信する機会になると確信しております。この記念すべき年に、あらゆる差別とスティグマと闘い、全ての人々が尊重される社会を目指し、国際パラリンピック委員会と共に活動できることを嬉しく思います」とし、最後にハンセン病は治る病気であることを改めて強調しました。

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前列右から、マセソン美季氏、河合純一氏、加藤勝信厚生労働大臣、安倍晋三首相、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 森喜朗会長森喜朗氏、国際パラリンピック委員会ドゥエーン・ケール副会長、池透暢氏。後列右から橋本一郎氏、伊藤真波氏、日本財団パラリンピックサポートセンター 山脇康会長、日本財団会長 笹川陽平、全国ハンセン病療養所入所者協議会 森和男会長、インドハンセン病回復者家族代表 チャンドラ・プラカシュ・クマール氏、木下航志氏

また、ドゥエーン・ケール氏(国際パラリンピック委員会 副会長)は挨拶の中で「東京パラリンピックはすばらしい大会になると確信している。そして、2020年、他の人と違うということだけで差別されることを終わらせなければならない。世界中の誰もが尊厳と幸せを感じながら生きられる基本的な人権を持っている」と話しました。

安倍首相は、国として歴史を反省し回復者の方々への社会復帰支援を行ってきたことに触れ、「昨年には元患者のご家族の方々についても、長年強いられてきた苦痛と苦難に対してお詫びをし、補償を行うこととしました。今後も、元患者の方々とそのご家族の皆様のお声を聞きながら、差別や偏見の根絶に向けて、政府一丸となって、全力を尽くしてまいります。」と発言しました。

式典内では、和製スティービー・ワンダーと評される全盲のシンガーソングライター木下航志氏、パラアスリートでありバイオリニストの伊藤真波氏が初共演しました。

グローバル・アピール2020
~ハンセン病患者と回復者に対する社会的差別撤廃に向けて~

グローバル・アピール2020 宣言式典

日時 2020年1月27日(月)17:00~18:30
場所 ANAインターコンチネンタル東京 プロミネンス(B1フロア)
主催 日本財団 賛同団体:国際パラリンピック委員会(IPC)
協力 日本財団パラリンピックサポートセンター
プログラム
  • 17:00~ オープニング、主催者挨拶
    笹川 陽平(日本財団会長)
    ドゥエーン・ケール(国際パラリンピック委員会副会長)
  • 17:20~ ハンセン病当事者代表挨拶
    森 和男(全国ハンセン病療養所入所者協議会会長)
    チャンドラ・クマール(インドハンセン病回復者家族代表)
  • 17:40~ アーティストによる音楽パフォーマンス
    木下 航志(シンガーソングライター)
    伊藤 真波(バイオリニスト、パラリンピアン)
  • 18:00~ グローバル・アピール宣言
    池 透暢(車いすラグビー日本代表 キャプテン)
    マセソン 美季(日本財団パラリンピックサポートセンター)

グローバル・アピール2020 宣言文
~ハンセン病患者と回復者に対する社会的差別の撤廃に向けて~

ハンセン病は治る病気です。しかし単なる病気ではありません。

多くの人びとがこの病による不名誉な烙印を押され、差別を受け、
疎外されています。

人生において彼らの機会は制限され、完治した後でさえそれは続きます。

社会の偏見は、彼らの家族に対してもマイナスの影響を与えているのです。

国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラスポーツを通じ、
よりインクルーシブな社会の実現を目指しています。

IPCの目的は、障がいのある人に対する社会的なバリアを取り除くことで、
ステレオタイプに挑み、人々の行動に変革をもたらすことです。

多様性とインクルージョンは、IPCが守るべきものの中核です。

我々は、公平で公正な社会を創出することに全力を尽します。

パラリンピック・イヤーである2020年、我々は、
社会的烙印と差別の撤廃を求め、ハンセン病回復者と立ち上がります。

私たちは共に、すべての人に尊厳と基本的な自由が尊重される
社会の実現を追求していきます。

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宣言文を読み上げる池透暢氏(中央左)、マセソン美季氏(中央右)

参考

ハンセン病差別撤廃のためのグローバル・アピール

15回目となる今年は東京パラリンピック開催年であることから、共生社会を目指す国際パラリンピック委員会、パラアスリートやアーティスト、ハンセン病当事者と共に、差別撤廃を訴えた。
世界からハンセン病差別をなくそうと、日本財団が、「世界ハンセン病の日(1月最後の日曜日)」にあわせ、毎年、世界的に影響力のある個人、団体と共に、ハンセン病の差別撤廃を社会に訴える啓発活動。2006年に始まったこの取り組みは、社会を構成する一人ひとりがハンセン病について正しく知り、差別をしないよう、メディア等を通じ広く発信し、働きかけることを目指している。

日本財団のハンセン病問題に対する主な取組み

日本財団は、1960年代にこのハンセン病に対する取り組みを開始し、1975年からは世界保健機関(WHO)が実施する「公衆衛生上の問題としてのハンセン病制圧」活動のパートナーとして、世界のハンセン病制圧に取り組んできた。1980年代にMDT(多剤併用療法:複数の薬剤を併用するハンセン病治療法)が開発されてハンセン病が治る病気となったこと、その後日本財団が治療薬の無償配布を行い(1995年〜99年)、患者数が激減したことは、ハンセン病制圧の大きな転換点となった(2000年以降は製薬会社ノバルティスが治療薬の無償配布を現在まで引き継いでいる)。
1985年当時122カ国あったハンセン病未制圧国は現在では1カ国(ブラジル)に減少し、1700万人以上の患者が治癒したが、一方、患者、回復者およびその家族に対する差別は、未だに深刻な問題として世界中に存在している。

  • 人口1万人あたりの患者数が1人未満となることを指す。

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