元気よ届け!HIKAKINが難病の子どもたちに「ぬいぐるみ」を贈るその訳は?

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ハチキンくんのぬいぐるみを手に、おなじみのポーズで応えてくれたHIKAKINさん

取材:日本財団ジャーナル編集部

この記事のPOINT!

  • 難病に苦しむ子どもの数は全国で14万人以上。子どもとその家族への支援が不足し、疲弊する人も少なくない
  • 動画と、動画に出てくるぬいぐるみを届けることで、子どもたちにより元気を届けることができる
  • 困っている人がいたら少しでも役に立ちたい。動画クリエイターだからこそできる活動がある

現在、難病に苦しむ子どもの数は全国で14万人以上いると言われている。治療や療養のため、自由に外に出られない子どもたちにとって、場所や時間を選ばず、自分の好きな動画を見られるYouTubeは大きな心の支えとなっていることも多い。

そんな中、人気YouTuberのHIKAKIN(ヒカキン)さんが、日本財団を通じて、難病の子どもたちに3,000個のぬいぐるみをプレゼントすることを発表。その動画、ヒカキンTV「難病の子供たちに3000個ぬいぐるみを送ります!」(別ウィンドウで開く)を2019年の8月2日に公開(2019年10月1日時点で約276万回再生)し、話題となった。

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公開後、瞬く間に話題となったヒカキンTV「難病の子供たちに3000個ぬいぐるみを送ります!」

これまでも災害に対する募金活動や、ワールドカップ後の渋谷でのゴミ拾いなど、積極的に社会活動を行ってきたHIKAKINさん。そんな彼に、今回の取り組みの背景について話を聞いた。

30歳の節目に、自分を支えてくれる子どもたちに「元気」を贈りたい

――HIKAKINさんが難病の子どもたちに3,000個のぬいぐるみをプレゼントしようと思った理由について教えてください。

HIKAKINさん(以下、敬称略):2019年4月に30歳の誕生日を迎え、改めて自分の活動や人生について考えました。現在、YouTuberとして活動できているのは、僕の動画を見てくれる、視聴者やファンの皆さまのおかげ。そんな方々に何か恩返しができないかな、と思ったのがきっかけです。以前から、視聴者の中に病気を抱えた子どもたちが少なからずいることは知っていました。そういう子どもたちに何かしてあげたい、そう悩んだ結果、ぬいぐるみを贈ることにしたんです。3,000個という数字は、30歳の「3」に掛けています。

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2019年4月に30歳を迎えた、HIKAKINさん。YouTuberとしての活動歴は13年にも及ぶ

――数ある支援方法の中から、ハチキンくんのぬいぐるみを贈ることを選んだ理由は何ですか?

HIKAKIN:実際に手に取ることのできる物を贈ることが、子どもたちを一番元気づけられるんじゃないかと思ったんです。社会活動の中で何か物を贈るということはやったことがなかったので、新しく作るところから挑戦してみようと思ったんです。

――どこでも買えないレアアイテムということで、受け取った子どもたちにとっても、喜びは格別だったと思います。作る上で、こだわったポイントはありますか?

HIKAKIN: もともとハチキンくんは、黄色、ピンク色、水色の3種類しかなかったのですが、一番元気が出そうなオレンジ色を新たに作りました。太陽の色でもありますし、オレンジ色のイメージがあるハチ、スズメバチは強いというイメージもあったので。試作段階では、色味の違うオレンジ色の布のサンプルをいくつか取り寄せ「この中でも一番元気が出るものは?」と、延々と悩んだり(笑)。“元気が出る”ことにこだわりたかったので、なかなか決められませんでしたね。

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新たに作られた新種のハチキンくん。HIKAKINさんこだわりのオレンジ色が目を引く

3,000個のぬいぐるみにダイブ!ワクワク感と手渡し感を伝えたくて

――この動画を公開することに悩まれたそうですね。

こういったことに対してはいろいろな受け止められ方をすると思いましたので、動画自体を作ろうかどうしようか悩みました。でも、ぬいぐるみをプレゼントすることは心に決めていたので、突然ぬいぐるみが子どもたちの元に届くより、動画で紹介した上でプレゼントした方が、少しでも「手渡し感」を感じてもらえるんじゃないかと思ったんです。「あの動画に出ていたハチキンくんが今ここにあるんだ」と思ってもらえれば、より元気を届けられるんじゃないかと思って。

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「ヒカキンパワー」を注入するために、ハチキンくんのぬいぐるみの海にダイブするHIKAKINさん。ヒカキンTV「難病の子供たちに3000個ぬいぐるみを送ります!」より
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楽しい動画を公開することで子どもたちに笑顔になってほしかったと語るHIKAKINさん

――動画の中で、「ヒカキンパワー」を注入するために、ハチキンくんのぬいぐるみの中にダイブする姿が印象的でした。

HIKAKIN:結構、体にこたえましね(笑)。動画を見て笑顔になってもらいたい気持ちと、ワクワクした気持ちでぬいぐるみが届くのを待っていてくれたらという思いがあって、思い切り体を張りました。難病の子どもたちにプレゼントするということで、真面目な動画も考えましたが、それでは楽しんでもらえない。3,000個のぬいぐるみが並ぶ壮観さや、そこから飛び出すオープニングなど、動画自体も子どもたちに楽しんでもらい元気付けられるような仕掛けを盛り込んだつもりです。

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ハチキンくんのぬいぐるみの中から元気良く飛び出すHIKAKINさん。ヒカキンTV「難病の子供たちに3000個ぬいぐるみを送ります!」より
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部屋の中一面に敷き詰められたハチキンくんのぬいぐるみ。ヒカキンTV「難病の子供たちに3000個ぬいぐるみを送ります!」より

――ハチキンくんのぬいぐるみを受け取ったお子さんや、その親御さんからの反響はいかがでしたか?

HIKAKIN:普段の動画より反響が大きく、こちらが勇気付けられるコメントもたくさんいただいて、ありがたかったです。日本財団さんを通して長文のメールも多くいただくなど、本当に「やって良かったなと」思いました。一番うれしかったのが、とある看護師さんからTwitterでいただいた反応です。その看護師さんは病気の子どもを元気付けるために、いろいろなおもちゃを使って工夫していたそうなんですが、ハチキンくんのぬいぐるみを渡したところ、そのどれもかなわないくらい大喜びしてくれたそうで。「嫉妬しました(笑)」と書かれてありましたが(笑)。病気と闘う子どもたちの心の支えになれたら、これほどうれしいことはないですね。

動画クリエイターとして、目の前に困っている人がいたら少しでも役に立ちたい

――HIKAKINさんが、人気YouTuberとして、社会や子どもたちと接する上で何か心掛けていることはありますか?

HIKAKIN:「言葉」には気を付けるようにしています。長年YouTuberをやっていて、自覚のない一言が人を不快にさせるということが分かったので、誰よりも神経質かもしれないです(笑)。見ている全員の方が不快にならない動画を作るというのはとても難しいことですし、自由に発言できないことで動画が面白くなくなってしまったら意味がないのですが、同じような言葉でも少し工夫するだけで不快に思う人は減るはずだと考えています。もともと子ども向けに作っていた訳ではないので、動画では敬語でしゃべっているんですが、子どもにとってはそれが新鮮みたいで。僕の動画を見て、お子さんが敬語の使い方を覚えたという親御さんの声も聞いています。たまに「子どもが変顔するようになったからやめてほしい」と言われることもありますが、それはすみません…という気持ちですね(笑)。

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動画を見た子どもたちのうれしい反響について語るHIKAKINさん

――HIKAKINさんは、今回のぬいぐるみプレゼント以外にも2017年7月の九州北部豪雨、2018年7月の西日本豪雨への募金やワールドカップ後の渋谷のごみ拾いなど、社会貢献活動を盛んに行ない、動画でも発信されています。

HIKAKIN:ぬいぐるみを作った動機ともかぶるんですが、僕自身は、今まで大きな病気や災害にあったことがなく、ありがたいことに活動も順調に行っています。ただ、それは当たり前のことじゃないということを、いつも忘れないようにしたいんです。動画の登録者数が増え、コメントやファンレターなどでファンの方との交流が増えるにつれて、困難な状況にいる人がたくさんいることを知りました。困難は、いつ誰に降りかかるかは分かりません。だから、動画クリエイターとして目の前に困っている人がいたら少しでも役に立てる自分でいたいと思っています。

――最後に、難病と闘う子どもたちへメッセージをお願いします。

HIKAKINさん:みんな毎日、本当にがんばっていると思います。なので、ゲームでも、YouTubeでも何でもいい。自分が好きなこと、楽しいと思ったことを存分にやってほしいです。僕も、みんなが楽しめるような動画をこれからも作り続けていきます!!

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ハチキンくんを持っておなじみのポーズ!サービス精神旺盛なHIKAKINさん

動画作りも社会活動も、さまざまな人の立場に立って、細やかな配慮をしているHIKAKINさん。トップYouTuberになってもその上にあぐらをかくことなく、常に目の前の人を笑顔にしたいという思いのもと、活動を続けている。そういった一つ一つの積み重ねが、より多くの子どもたちの笑顔につながっていくことだろう。

撮影:十河英三郎

〈プロフィール〉

HIKAKIN(ヒカキン)

1989年4月21日生まれ。高校生の頃からYouTubeを始め、「Super Mario Beatbox」の動画で世界中から注目を集める。その高い技術から、これまでに世界的スターとの共演も果たしている。YouTubeの4つのチャンネル登録者数は1,400万人を超え、日本の動画クリエイターを牽引する存在。社会貢献も積極的に行っている。

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