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求む地元愛!高校生による高校生のためのフォト&ビデオコンテスト開催中。高校生の力で日本をもっと元気に

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「地元に全集中! 高校生フォト&ビデオコンテスト」の応募作品
この記事のPOINT!
  • 新型コロナウイルスの影響で外出や旅行をする機会が減り、地域の活気が失われつつある
  • 日本財団では、高校生による高校生のためのフォト&ビデオコンテストを開催中
  • コンテストを通して高校生に地元の魅力を再発見してもらい、地域に活力を蘇らせる

取材:日本財団ジャーナル編集部

いまだ終息の兆しが見えない新型コロナウイルスの感染拡大。自由な外出や旅行が難しくなり、日本全体が活気を失いつつある。こんな時だからこそ、これまで気付かなかった自分の暮らす地域の魅力を再発見してほしい。

そんな想いから、日本財団が主催する「地元に全集中!高校生フォト&ビデオコンテスト」(別ウィンドウで開く)は、開催されることになった。

写真:高校生フォト&ビデオコンテストイメージ画像。画面中央に文字「最優秀賞にはQUOカード3万円分!」「高校生フォト&ビデオコンテスト#地元に全集中!」「応募期間 2021年3月1日(月)~4月4日(日)」
「地元に全集中! 高校生フォト&ビデオコンテスト」の公式サイト

このコンテストを企画・運営しているのは「高校生地域活性化プロジェクト委員会」を構成する5人の高校生たち。運営メンバーの一人であり、リーダー的な役割を務める、かえつ有明高等学校2年生の溝畑理沙(みぞはた・りさ)さんに、コンテストを実現するまでの道のりと、全国の高校生に伝えたい思いについて話を伺った。

紆余曲折を経て実現した高校生のためコンテスト

――溝畑さんはどのような経緯でこのコンテストに関わることになったのですか。

溝畑さん:私はもともと地域の活性化に興味があり、2020年の夏には「観光甲子園2020」(別ウィンドウで開く)にも参加しました。

観光甲子園とは、「SDGsで探求する日本と世界の豊かな未来」をテーマに全国の高校生が180秒の観光動画を制作し、競うコンテストです。2020年は300もの学校が参加しています。

その観光動画を制作する中で、日本の良さを再発見すると共に、観光によって地域を活性化していくことの楽しさを知り、もっと何かやりたいという思いが強くなったんです。

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オンラインで取材に応じてくれた、かえつ有明高等学校2年生の溝畑さん

溝畑さん:観光甲子園が終わった後、学校の先生を通じて日本財団さんと出会い、高校生を対象としたコンテストを企画しようとしていることを知りました。ぜひ参加してみたいと思い、企画立案から携わり始めました。

――コンテストを運営する高校生地域活性化プロジェクト委員会は、どのようなメンバーで構成されているのですか。

溝畑さん:メンバーは5人から成り、私と同じ学校からもう1人参加していて、その他2人は鳥取、もう1人は伊勢(三重県)から集まりました。2020年の12月から週に1回のペースで日本財団の方も含めた打ち合わせを行い、それ以外にも私たち高校生メンバーだけのミーティングを行いながら構想を固めてきました。

――開催に至るまで大変だったことは?

溝畑さん:このご時世なので、打ち合わせは全てオンラインで行ったのですが、同じ学校の1人を除いては、どんな人かもどんな価値観を持っているのかも分からない初対面の高校生たち。はじめはどう接してよいのか分からなくて、なかなか話も進みませんでした。

でも時間が経つに連れ、初対面だからこそ、周りの友達には恥ずかしくて言えないような熱い思いや本音もぶつけることができるようになっていきました。そうして徐々に、チームにまとまりが出てくるようになりました。

また、今回はゼロから立ち上げに携わったので、コンテストの名前や、実施スケジュール、ホームページにどのような情報を掲載するかまで、ありとあらゆることを自分たちで決めなければいけませんでした。

日本財団さんが「あくまでも高校生のためのコンテスト」だからと私たちの意見を尊重してくれたのですが、最初は「え、私たちが決めていいの?」と戸惑ってしまい、緊張感の方が強かったですね(笑)。ただ、進めていくうちに自分たちで考え、決めていくことの楽しさを感じられるようになり、積極的に行動できるようになったと思います。

――全国の高校生に興味を持ってもらうために、工夫した点はありますか。

溝畑さん:まず、高校生にとってこのコンテストがより身近に感じられるよう、ハッシュタグ作りに工夫をしました。最初、日本財団さんから例として挙げられたハッシュタグが「お国自慢コンテスト」だったのですが、高校生が使うとなるとちょっと違うかなと(笑)。自分たちで意見を出し合って、最終的に「#地元に全集中」に決まりました。

また参加してもらうためのメリットもつくろうということになり、出てきた案が、本選前の3月21日に開催する応募者の方たちの交流会です。運営メンバーの中からは「みんながみんな熱い思いを持って参加するわけじゃないから、やる意味はないんじゃないか」という意見も出ましたが、せっかくコンテストに参加してもらうのに5月5日の本選1回限りの関係で終わってしまうのはもったいない。参加者同士の新たな出会いも生まれますし、別の地域の人と話すことによって地元の魅力の再発見につながるんじゃないかと考え、交流会の開催を決意しました。

交流会は、3月21日14時からの開催直前まで公式サイトから申し込みできますので、ぜひ高校生の皆さんに参加いただけるとうれしいです。

地元に全集中!高校生フォト&ビデオコンテスト(別ウィンドウで開く)

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「地元に全集中! 高校生フォト&ビデオコンテスト」の応募作品。被写体やアングルなど、個性豊かな作品が並ぶ

参加者たちのつながりを生む交流会

――交流会では、どんなプログラムが行われるのですか。

溝畑さん:当日はゲストに、京都在住の写真家エバレット・ケネディ・ブラウン(※)さんをお招きし、「⽇本の魅⼒、地域の魅⼒」をテーマに講演をしていただく予定です。長きにわたって日本をテーマに写真を撮られてきたエバレットさんが、日本をどのように見ているのかを聞き、日本の魅力を再発見できる時間になるんじゃないかと思っています。

  • 湿板光画と呼ばれる古い技法を使い、日本の伝統的な写真を撮影し続けている京都在住の写真家。幕末に来航したペリー提督の随行写真家の一族でもある

また、エバレットさんの講義の後に、自分たちの地元の魅力について話し合ってもらうグループワークを行います。グループワーク後は、それぞれのチームの発表をエバレットさんにも聞いてもらい、コメントもいただこうと考えています。

――それでは、5月5日に開催される本選はどのような形で行われるのでしょうか。

溝畑さん:まず4月18日に予選を行い、高校生地域活性化プロジェクト委員会による審査によって選ばれた10組に、5月5日の本選に出場していただきます。本選では作品と併せて地元の魅⼒をプレゼンしてもらい、写真部門、映像部門ごとに最優秀賞1作品、優秀賞3作品、審査員特別賞1作品を選出します。

本選には、まだ詳細をお伝えできないのですが特別ゲストも参加し、かなり盛り上がる会になるんじゃないかと思っています。

――溝畑さんご自身は、地元にどのような思いをお持ちですか。

溝畑さん:私は幼い頃から親の仕事の都合で世界中を転々とし、一番長く住んだのがイギリスの4年間です。だから、地元と呼べる場所が明確にはありません。そういった場所がないからこそ、地元がありながらも、その良さに気付いていない人を見ると、もったいないなと感じてしまって…。

イギリス時代も旅行でヨーロッパをまわり、日本に住んでからもよく旅行をしてきましたが、地元に住んでいる人じゃないと気付けない、その土地の魅力があると思うんです。今はコロナ禍で自由に旅行ができませんから、その土地で暮らす人の地元愛が、地域を元気にしてくれるのではないかと思っています。

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「地元に全集中! 高校生フォト&ビデオコンテスト」の応募作品。季節を感じさせる心が浮き立つような作品も

賞品は地元のために使ってほしい

――最優秀賞は3万円分のQUOカードになりますが、こんなふうに使ってもらいたいという思いはありますか。

溝畑さん:ぜひ、地元で使っていただけたらと思っています。最初は賞品をネットで使えるギフトカードにしようという案もあったのですが、運営メンバーの中から「それでは地元にお金が落ちない」という意見が出て、QUOカードに変更になりました。この賞品によって、地元のお店との結び付きも生まれたらうれしいですね。

――参加する高校生の方たちには、このコンテストをどのように活用してもらいたいですか。

溝畑さん:普通に暮らしていると、地元を見直す機会というのはあまりないと思うので、そんなきっかけになったらいいなと思っています。また、交流会に参加していただくことで、他の地域の方とつながり、自分の地元を客観的に見られる機会にもなると思うので、そこでも地元の素晴らしさを再発見していただけたらと思います。

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コンテストに参加する高校生に向けて思いを語る溝畑さん

溝畑さん:このコンテストを通して日本各地の魅力を再発見することができ、さまざまな地域で暮らす人たちの交流が生まれるよう、いろいろな都道府県の高校生の方に参加していただきたいです。

また。コンテストの応募作品はインスタグラム(別ウィンドウで開く)ツイッター(別ウィンドウで開く)から「#地元に全集中」で見ることもできますので、気になる場所を見つけたら、コロナが収まった後、ぜひ遊びに出かけていただけるとうれしいです。私自身、交流会やコンテストの参加作品を通して、自分の知らない文化に触れ、新しい気付きを得られるのではないかと、楽しみにしています。

高校生フォト&ビデオコンテストは、3月21日(日)にオンライン交流イベントを開催(定員50名の申込制)。その後、4月4日(日)が作品の応募締め切りとなり、4月18日(日)に予選、5月5日(水)に本選が開催される。

地元に全集中!高校生フォト&ビデオコンテスト(別ウィンドウで開く)

写真:「地元に全集中! 高校生フォト&ビデオコンテスト」応募から本選までの流れ。ステップ01.日本財団のツイッターまたはインスタグラムアカウントをフォローする。ステップ02.撮影した写真または動画に以下内容をつけて投稿する。[本文]投稿タイトル、アピールする地域の都道府県名、地域のアピールポイント。[ハッシュタグ]「#地元に全集中」※インスタグラムの場合はメンション又は写真へ「@zenshuchu_contest」のタグ付けも行う。ステップ03.[予選の開催]4/18(日)に予選審査し、発表します。[本選の開催]5/5(水)にオンライン出場し、プレゼン。審査を経てその場で結果発表します。
「地元に全集中! 高校生フォト&ビデオコンテスト」応募から本選までの流れ

いつもと同じ通学路、家の近くの公園、まだあまり知られていない文化やお気に入りの料理…。そんな地元の風景の中にあふれる魅力を高校生の感性で見つけ出し、撮影をしたらぜひご応募を。その写真やビデオによって、元気付けられる人はきっと多いはず。

高校生が切り取る日本各地の風景。そこから、どんな日本の魅力を再発見できるのか。今から本選が待ち遠しい。

稀世の写真家が映し出す日本の「地域」に高校生たちは何を感じとる?高校生のためのフォト&ビデオコンテスト参加者交流会

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