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100年以内(いない)に地球の資源(しげん)のほとんどがなくなる?

イメージ:プラスチックの大量生産・大量廃棄、森林伐採、食品ロス、工場からの二酸化炭素の排出で苦しむ地球のイラスト
人間は地球の資源(しげん)を必要以上(ひつよういじょう)に使い、無駄(むだ)にしている

小学生のためのSDGs入門記事。第5回は、目標(もくひょう)12「つくる責任(せきにん) つかう責任(せきにん)」について考えてみましょう。

私(わたし)たち人間は、地球にある資源(しげん)やエネルギーを利用(りよう)してたくさんものを作り、それを使って生活しています。

例(たと)えば、コピー用紙やトイレットペーパーといった「紙」は、「木」から作られます。世界中でたくさん紙が作られ、使われることで、2015年~2020年のわずか5年の間に1,000万ヘクタールの森林がなくなってしまいました。これは東京ドームの214個(こ)分の広さに当たります。

このように、たくさん作って、たくさん使うことを大量生産(たいりょうせいさん)・大量消費(たいりょうしょうひ)と言います。

みんなが今のままの生活をしていると、どんな問題が起こるのでしょうか?

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世界中の人が日本人と同じ生活をしたら、地球が3つ必要(ひつよう)に?

人間は、水や植物、石油といった地球にある資源(しげん)やエネルギーを使って生活しています。

しかし1970年代以降(いこう)、私(わたし)たちの生活が便利で豊(ゆた)かになると共(とも)に、地球全部で1年に生み出すことができる資源(しげん)の量(りょう)より、人間が1年間で使う量(りょう)の方が多くなる状態(じょうたい)が続(つづ)いています。

世界中の人たちが今までどおりの生活を続(つづ)けたら、消費(しょうひ)する資源(しげん)は地球1.7個(こ)分。そして、もし世界中の人たちが日本人(※)と同じ生活をしたら、地球2.9個(こ)分もの資源(しげん)が必要(ひつよう)になります。

  • 世界の平均(へいきん)の1.7倍の資源(しげん)を消費(しょうひ)

このままでは近いうちに、人間が地球の資源(しげん)を使い切ってしまうおそれがあり、とくに石油や天然(てんねん)ガスなどのエネルギー資源(しげん)は50~100年以内(いない)になくなってしまう可能性(かのうせい)があるのです。

資源(しげん)の無駄(むだ)づかいをやめないといけないのですが、そのためには世界の次のような問題を解決(かいけつ)しなければいけません。

まだ食べられるものを捨(す)ててしまう「食品ロス」問題

地球にはおよそ80億(おく)人が生活していますが、そのうち途上国(とじょうこく)と呼(よ)ばれる貧(まず)しい国に住むおよそ8億(おく)人、世界の10人に1人は十分な食べ物がなく、栄養(えいよう)が足りなくて困(こま)っています。

しかし世界では、1年間でおよそ25億(おく)トンのまだ食べられる食べ物が捨(す)てられています。これは、世界全体で作られる食べ物の量(りょう)の40パーセントに当たります。この問題を「食品ロス」と言います。

イメージ:食べ残しをゴミ箱に捨てる様子
家庭での食べ残(のこ)しは食品ロスの大きな原因(げんいん)の1つ

世界中で食べ物が不足(ふそく)する可能性(かのうせい)も

先進国で食品ロスが起こる原因(げんいん)は、大きく分けて2つあります。

1つはスーパーやコンビニなどで売れ残(のこ)ったり賞味期限(しょうみきげん)切れになった食品、レストランでの食べ残(のこ)し、傷(きず)がついてしまった野菜(やさい)・果物(くだもの)など、お店や生産者(せいさんしゃ)から出る食品ロス。

もう1つは家での食べ残(のこ)しや、買ったけれど使わなかった食品といった家庭から出る食品ロスです。

また、途上国(とじょうこく)でも食品ロスは起こります。

例(たと)えば、畑などで食べ物を収穫(しゅうかく)する技術(ぎじゅつ)や、収穫(しゅうかく)しても保存(ほぞん)する技術(ぎじゅつ)が低(ひく)かったり…。先進国とは異(こと)なる原因(げんいん)です。

食品ロスの開発途上国と先進国の理由を表現したイラスト。
左:開発途上国。収穫した野菜を捨てる農夫
右:先進国。食べ残しをごみ箱に捨てる人
先進国と開発途上国(かいはつとじょうこく)では食品ロスの原因(げんいん)が大きく異(こと)なる

これから世界の人口はどんどん増(ふ)えて、2050年には97億(おく)人になると言われています。それまでに、世界全体の食べ物の生産(せいさん)を増(ふ)やさなければいけないのですが、食べ物を作るための土地や水といった資源(しげん)には限(かぎ)りがあります。

このままだと世界の国々で食べ物が不足(ふそく)する可能性(かのうせい)があるのです。

[関連記事]
世界で捨(す)てられる食べ物の量(りょう)、年間25億(おく)トン。食品ロスを減(へ)らすためにできること(別タブで開く)

資源(しげん)をたくさん使う「プラスチック」問題

プラスチックは、私(わたし)たちにとって身近な素材(そざい)です。熱(ねつ)や圧力(あつりょく)を加(くわ)えると自由に形が変(か)えられるほか、軽くて丈夫(じょうぶ)。ペットボトルやストロー、レジ袋(ぶくろ)のような日用品のほか、自動車の部品や建物(たてもの)などあらゆる場所で使われています。

しかし、石油から作られるプラスチックは、加工(かこう)されるとき、ごみとして燃(も)やされるときにたくさんのエネルギーが使われます。また同時に、たくさんの二酸化炭素(にさんかたんそ)を発生(はっせい)させます。

この二酸化炭素(にさんかたんそ)は、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の原因(げんいん)にもなっており、被害(ひがい)が大きい気象災害(きしょうさいがい)を引き起こすなど、世界中で大きな環境(かんきょう)問題になっています。

縦棒グラフ:
1970年-1979年 711件
1980年-1989年 1410件
1990年-1999年 2250件
2000年-2009年 3536件
2010年-2019年 3165件
世界における1970年から2019年までの気象災害(きしょうさいがい)が発生した件数(けんすう)。出典(しゅってん):WMO Atlas of Mortality and Economic Loss from Weather, Climate and Water Extremes (1970–2019)

プラスチックを上手に使うために必要(ひつよう)な取り組み

では、私(わたし)たちはプラスチックをどのように利用(りよう)すればよいのでしょうか。それは次の4つの方法を心がけて、プラスチックをこれ以上(いじょう)増(ふ)やさない工夫(くふう)をしながら、できるだけ捨(す)てずに資源(しげん)に変(か)え、再利用(さいりよう)することです。

●Refuse(リフューズ):いらないものは買わない、もらわない

例(たと)えば、ストローやスプーンなど使い捨(す)て製品(せいひん)は買わない、もらわない。買い物をするときにエコバックを活用して、レジ袋(ぶくろ)を断(ことわ)る。

●Reduce(リデュース):物を大切にしてできるだけごみを減(へ)らす

例(たと)えば、物は大切にし、修理(しゅうり)するなどしてできるだけ長く使う。洗剤(せんざい)やシャンプーなどはつめかえられる商品を買う。

●Reuse(リユース):使える物はごみにしないでくり返し使う

例(たと)えば、おもちゃや家電(かでん)など、使わなくなったプラスチック製品(せいひん)は、リサイクルショップやフリーマーケットでほしい人に使ってもらう。

●Recycle(リサイクル):資源(しげん)にもどして再利用(さいりよう)する

例(たと)えば、ペットボトルなどリサイクルできるプラスチック製品(せいひん)は、市区町村(しくちょうそん)のルールを守って分別(ぶんべつ)し、ごみ出しする。

Refuse、Reduce、Reuse、Recycleのサイクル(時計回り)の例を表現したイラスト。
右上:Refuse。買い物で紙袋を断る女性
左上:Reduce。詰め替え用のシャンプー
右下:Reuse。フリーマーケットで私物を売る女性
左下:Recycle。新聞、ビン、缶、ペットボルなどの資源ごみ
物を大切にし、ごみを減(へ)らす行動が、地球の資源(しげん)を守ることにつながる

[関連記事]
日本人のプラごみ廃棄量(はいきりょう)は世界2位。国内外で加速(かそく)する「脱(だつ)プラスチック」の動き(別タブで開く)

日本財団(にっぽんざいだん)の取り組み

ALLIANCE FOR THE BLUE(アライアンス・フォー・ザ・ブルー)(外部リンク)

プラスチックごみは、海洋ごみの大きな原因(げんいん)にもなっています。日本財団(にっぽんざいだん)ではたくさんの会社と協力(きょうりょく)し、これ以上(いじょう)海洋ごみを増(ふ)やさないための商品・サービス・仕組みの企画(きかく)・開発・支援(しえん)に取り組んでいます。

これまでに漁師(りょうし)さんが使えなくなった漁網(ぎょもう※)を素材(そざい)にしたかばんなど、資源(しげん)をリサイクルすることで環境(かんきょう)の負担(ふたん)を減(へ)らす商品の開発も実現(じつげん)しました。

  • 魚を取るための網(あみ)
使えなくなった漁網(ぎょもう)から生まれたリュックやトートバッグ、ショルダーバッグなど

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【増(ふ)え続(つづ)ける海洋ごみ】海ごみを価値(かち)ある製品(せいひん)に変(か)える。廃棄漁網(はいきぎょもう)由来のかばん作りから見えた問題解決の糸口(別タブで開く)

この資源(しげん)の無駄(むだ)づかいの問題について私(わたし)たち一人一人ができることは何でしょう?

その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。

本や図書館、インターネットで調べてみよう!

  • 地球の資源(しげん)やエネルギーに関(かか)わる問題や、それを引き起こしている原因(げんいん)について調べてみよう
  • 資源(しげん)の無駄(むだ)づかいの問題が、私(わたし)たちの生活や世界の国々の未来(みらい)にどのようなえいきょうをあたえているか調べてみよう
  • 資源(しげん)の無駄(むだ)づかいの問題をなくすために、どのような取り組みが行われているか調べてみよう

「資源(しげん)の無駄(むだ)づかいの問題」について学べるおすすめの本

出版(しゅっぱん):大月書店 編(へん):藤田千枝(ふじた・ちえ) 著(ちょ):新見景子(にいみ・けいこ)、鈴木有子(すずき・ゆうこ)

『いくらかな?社会がみえるねだんのはなし』(外部リンク)

スーパーのレジ袋(ぶくろ)1枚(まい)いくらか知っていますか?

世界ではレジ袋(ぶくろ)を使用禁止(しようきんし)にする国もあります。自然界(しぜんかい)で分解(ぶんかい)されないプラスチックだからです。

山のトイレ、原発(げんぱつ)の廃炉(はいろ)、天ぷら油の廃油(はいゆ)、中古の電車……環境(かんきょう)にかんするねだんを伝えます。

出版(しゅっぱん):旬報社(じゅんぽうしゃ) 作(さく):井出留美(いで・るみ) 

『捨(す)てられる食べ物たち 食品ロス問題がわかる本』(外部リンク)

「食品ロスってそもそもなに? なぜ生まれるの?」「世界には食べ物が余(あま)っているの?」「日本の子どもは給食(きゅうしょく)を年間7キロ食べ残(のこ)してるってほんと?」

食品ロス問題の第一人者が、食品ロスの現状(げんじょう)、世界と日本の食糧事情(しょくりょうじじょう)などを、イラスト付きで分かりやすく解説(かいせつ)します。

まわりの人に話を聞いてみよう!

  • お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どものころ、残(のこ)った食べ物はどうしていたのか、使い捨(す)てのプラスチック製品(せいひん)の代わりにどんな物を使っていたか、資源(しげん)の無駄(むだ)づかいの問題について何ができると思うかなど、意見を聞いてみよう
  • いろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう

自分にできることからやってみよう!

  • 調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう
  • 資源(しげん)の無駄(むだ)づかい問題の解決(かいけつ)に取り組む団体(だんたい)とつながる、ごはんは食べられる分だけよそって残(のこ)さないようにする、洗剤(せんざい)やシャンプーはつめかえ商品を買ってプラ容器(ようき)をくり返し使う、エコバッグやマイボトルを持ち歩く、などできることはたくさんあるはず

自分で解決方法(かいけつほうほう)を見つけるのにおすすめ!

小学生のための環境(かんきょう)リサイクル学習ホームページ(外部リンク)

私(わたし)たちが出しているごみのことを知り、どうすればごみを減(へ)らしたり、リユースやリサイクルしたりできるのか、考えるための情報(じょうほう)が集まっています。

イラストや動画、クイズを使って分かりやく学べるほか、食品ロスを減(へ)らす料理法(りょうりほう)など楽しいコンテンツがいっぱいです。

ウォーカープラス|全国のフリーマーケット情報(じょうほう)(外部リンク)

全国各地で行われているフリーマーケットの日時や場所がまとめて確認(かくにん)できます。

家や学校の近くにあるフリーマーケットに参加(さんか)して、自分が使わなくなった物をほしい人に売ったり、だれかが使っていた物を買ったりと、リユース体験(たいけん)ができます。

ロスゼロ(外部リンク)

製造(せいぞう)メーカーや生産者(せいさんしゃ)から集められた、まだ食べられるのに売ることができない食べ物を買うことができる、食品ロスゼロマーケットです。

例(たと)えば、形が悪い果物(くだもの)や、見た目を良くするために切り落としてしまうカステラのはしっこ、バレンタインデーや母の日といった季節(きせつ)のイベントで売れ残(のこ)ったスイーツなど、捨(す)てるなんてもったいない食べ物ばかり。なぜ余(あま)ってしまったのかという背景(はいけい)や、作り手の思いも知ることができます。

ラスト:KIKO

[参考文献]

WWF「森林保全と持続可能な紙利用」(外部リンク)

環境省「地域循環共生圏を支えるライフスタイルへの転換」(外部リンク)

経済産業省 資源エネルギー庁「一次エネルギーの動向」(PDF/外部リンク)

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