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結婚・子育てについて若者はどう考えているか? ~18歳意識調査アンケートより~

ウェディングドレスとタキシード姿の新郎新婦が、結婚式の祭壇の前で、上から降ってきた複数の重しに押しつぶされているイラスト。重しにはそれぞれ「時計」「割れたハート」「¥(円)」のマークが描かれており、若者が将来の結婚や子育てに対して抱く時間的・精神的・金銭的な負担(障壁)を表現している
不安に押しつぶされないように…

日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」(別タブで開く)は、将来の結婚・子育てについての若者の不安を明らかにしています。

「将来結婚したい」と回答した人は約7割でしたが、「実際に結婚すると思う」と回答した人は半数程度でした。

質問:あなたは、将来結婚したいと思いますか(事実婚を含む)。(選択式・単一)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは将来結婚したいと思いますか(事実婚を含む)」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=987)のうち、「したい」と答えたのは43.8%。「どちらかと言えばしたい」と答えたのは21.7%。「どちらかと言えばしたくない」と答えたのは8.2%。「したくない」と答えたのは9.2%。「わからない」と答えたのは8.7%。「考えたことがない」と答えたのは8.4%。
男性(n=506)のうち、「したい」と答えたのは45.3%。「どちらかと言えばしたい」と答えたのは21.1%。「どちらかと言えばしたくない」と答えたのは7.1%。「したくない」と答えたのは8.5%。「わからない」と答えたのは7.3%。「考えたことがない」と答えたのは10.7%。
女性(n=481)のうち、「したい」と答えたのは42.2%。「どちらかと言えばしたい」と答えたのは22.2%。「どちらかと言えばしたくない」と答えたのは9.4%。「したくない」と答えたのは10.0%。「わからない」と答えたのは10.2%。「考えたことがない」と答えたのは6.0%
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

質問:あなたは、実際には、自分は将来結婚すると思いますか(事実婚を含む)。(選択式・単一)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは、実際には自分は将来結婚すると思いますか(事実婚を含む)」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=987)のうち、「必ずすると思う」と答えたのは16.5%。「多分すると思う」と答えたのは34.5%。「多分しないと思う」と答えたのは15.6%。「絶対にしないと思う」と答えたのは7.0%。「わからない」と答えたのは18.7%。「考えたことがない」と答えたのは7.6%。
男性(n=506)のうち、「必ずすると思う」と答えたのは19.2%。「多分すると思う」と答えたのは32.6%。「多分しないと思う」と答えたのは14.8%。「絶対にしないと思う」と答えたのは7.3%。「わからない」と答えたのは16.0%。「考えたことがない」と答えたのは10.1%。
女性(n=481)のうち、「必ずすると思う」と答えたのは13.7%。「多分すると思う」と答えたのは36.6%。「多分しないと思う」と答えたのは16.4%。「絶対にしないと思う」と答えたのは6.7%。「わからない」と答えたのは21.6%。「考えたことがない」と答えたのは5.0%
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

将来結婚しないと思う理由について聞くと、男性では「恋人・パートナーがいないから/見つからないと思うから」、女性では「1人でいるほうが、精神的な負担が少ないから」と回答が最多でした。

また女性では「自由を失いたくない」「子どもを育てたいと思っていない」との回答も男性より多い結果となりました。男性よりも女性のほうが、結婚に対する不安を強く感じているのではないかと考えられます。

質問:自分が将来結婚しないと思う理由として、あてはまるものを全て選んでください。(選択式・複数)

18歳意識調査の横棒グラフ。「自分が将来結婚しないと思う理由として、あてはまるものを全て選んでください。」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
「恋人・パートナーがいないから/見つからないと思うから」と答えたのは、全体(n=223)のうち45.7%、男性(n=112)のうち47.3%、女性(n=111)のうち44.1%。
「1人でいる方が、精神的な負担が少ないから」と答えたのは、全体(n=223)のうち45.7%、男性(n=112)のうち39.3%、女性(n=111)のうち26.8%。
「自由を失いたくないから」と答えたのは、全体(n=223)のうち30.9%、男性(n=112)のうち26.8%、女性(n=111)のうち35.1%。
「子どもを育てたいと思っていないから」と答えたのは、全体(n=223)のうち27.8%、男性(n=112)のうち18.8%、女性(n=111)のうち36.9%。
「経済的に難しいと思うから」と答えたのは、全体(n=223)のうち22.4%、男性(n=112)のうち23.2%、女性(n=111)のうち21.6%。
「家庭を築くことよりも優先したいことがあるから」と答えたのは、全体(n=223)のうち20.2%、男性(n=112)のうち17.9%、女性(n=111)のうち22.5%。
「家事などの生活における負担が増えるから」と答えたのは、全体(n=223)のうち17.5%、男性(n=112)のうち16.1%、女性(n=111)のうち18.9%。
「結婚せず、自身の親や兄弟姉妹と暮らしたいから」と答えたのは、全体(n=223)のうち6.3%、男性(n=112)のうち6.3%、女性(n=111)のうち6.3%。
「周りの人にしない方がよいと言われるから」と答えたのは、全体(n=223)のうち4.5%、男性(n=112)のうち7.1%、女性(n=111)のうち1.8%。
「その他」を選んだのは全体(n=223)のうち2.7%、男性(n=112)のうち2.7%、女性(n=111)のうち2.7%。
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

子育てについても同様の傾向が見られます。約6割が「将来子どもを持ちたい」と回答していますが、「実際に子どもを持つと思う」と回答したのは4割台に留まりました。

女性では「将来子どもを持ちたくない」と回答した人が約15パーセントを占め、男性よりも約5ポイント多い結果となりました。

質問:あなたは将来、子どもを持ちたいと思いますか。(選択式・単一)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは将来、子どもを持ちたいと思いますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=984)のうち、「持ちたいと思う」と答えたのは35.7%。「どちらかと言えば持ちたいと思う」と答えたのは22.9%。「どちらかと言えば持ちたくないと思う」と答えたのは8.6%。「持ちたくないと思う」と答えたのは12.6%。「わからない」と答えたのは11.3%。「考えたことがない」と答えたのは8.9%。
男性(n=504)のうち、「持ちたいと思う」と答えたのは35.9%。「どちらかと言えば持ちたいと思う」と答えたのは25.2%。「どちらかと言えば持ちたくないと思う」と答えたのは7.7%。「持ちたくないと思う」と答えたのは10.1%。「わからない」と答えたのは10.3%。「考えたことがない」と答えたのは10.7%。
女性(n=480)のうち、「持ちたいと思う」と答えたのは35.4%。「どちらかと言えば持ちたいと思う」と答えたのは20.4%。「どちらかと言えば持ちたくないと思う」と答えたのは9.6%。「持ちたくないと思う」と答えたのは15.2%。「わからない」と答えたのは12.3%。「考えたことがない」と答えたのは7.1%。
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

質問:あなたは、実際には、自分は将来、子どもを持つと思いますか。(選択式・単一)

18歳意識調査の棒グラフ。「あなたは、実際には自分は将来子どもを持つと思いますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=984)のうち、「必ず持つと思う」と答えたのは12.4%。「多分持つと思う」と答えたのは33.2%。「多分持たないと思う」と答えたのは13.9%。「絶対に持たないと思う」と答えたのは9.1%。「わからない」と答えたのは22.5%。「考えたことがない」と答えたのは8.8%。
男性(n=504)のうち、「必ず持つと思う」と答えたのは14.7%。「多分持つと思う」と答えたのは31.9%。「多分持たないと思う」と答えたのは15.5%。「絶対に持たないと思う」と答えたのは7.3%。「わからない」と答えたのは20.0%。「考えたことがない」と答えたのは10.5%。
女性(n=480)のうち、「必ず持つと思う」と答えたのは10.0%。「多分持つと思う」と答えたのは34.6%。「多分持たないと思う」と答えたのは12.3%。「絶対に持たないと思う」と答えたのは11.0%。「わからない」と答えたのは25.0%。「考えたことがない」と答えたのは7.1%。
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

子どもを持つ上での障壁としては、男女とも「金銭的な負担」と「仕事との両立」がトップでした。女性では「時間的な負担」以外のすべての項目で男性を上回っており、結婚だけでなく子育てにおいても、女性のほうが負担感を強く感じていることが明らかになりました。

質問:あなたが将来、子どもを持つにあたって、特に障壁となる可能性が高いと思うものを、次の中からいくつでも選んでください。(選択式・複数)

18歳意識調査の横棒グラフ。「あなたが将来、子どもを持つにあたって、特に障壁となる可能性が高いと思うものを、次の中からいくつでも選んでください」という質問に回答した人の項目別割合(%)。

「金銭的な負担」を選んだのは全体(n=449)のうち69.0%。男性(n=235)のうち65.1%。女性(n=214)のうち73.4%。
「仕事との両立」を選んだのは全体(n=449)のうち54.3%。男性(n=235)のうち53.2%。女性(n=214)のうち55.6%。
「時間的な負担」を選んだのは全体(n=449)のうち41.2%。男性(n=235)のうち43.8%。女性(n=214)のうち38.3%。
「精神的な負担」を選んだのは全体(n=449)のうち29.8%。男性(n=235)のうち23.4%。女性(n=214)のうち36.9%。
「身体的な負担」を選んだのは全体(n=449)のうち27.8%。男性(n=235)のうち20.9%。女性(n=214)のうち35.5%。
「特にない」を選んだのは全体(n=449)のうち4.9%。男性(n=235)のうち7.2%。女性(n=214)のうち2.3%。
「その他」を選んだのは全体(n=449)のうち0.2%。男性(n=235)のうち0.0%。女性(n=214)のうち0.5%
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

また、自分の世代と比べて、今年(2022年)生まれる子どもの将来は「豊かになる」と回答したのは、男性では約3割、女性では約2割に留まっており、次の世代に対する希望よりも経済的な不安が結婚や子育てに影響を与えている可能性があります。

質問:今年生まれる子どもの将来は、現在18歳前後のあなた方の世代と比べ、経済的にどのようになると思いますか。(選択式・単一)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「今年生まれる子どもの将来は、現在18歳前後のあなた方の世代と比べ、経済的にどのようになると思いますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=1,000)のうち、「大いに豊かになる」と答えたのは8.7%。「少し豊かになる」と答えたのは17.9%。「変わらない」と答えたのは27.2%。「少し貧しくなる」と答えたのは29.6%。「大いに貧しくなる」と答えたのは16.6%。
男性(n=514)のうち、「大いに豊かになる」と答えたのは11.7%。「少し豊かになる」と答えたのは20.2%。「変わらない」と答えたのは25.5%。「少し貧しくなる」と答えたのは25.1%。「大いに貧しくなる」と答えたのは17.5%。
女性(n=486)のうち、「大いに豊かになる」と答えたのは5.6%。「少し豊かになる」と答えたのは15.4%。「変わらない」と答えたのは29.0%。「少し貧しくなる」と答えたのは34.4%。「大いに貧しくなる」と答えたのは15.6%
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

結婚・子育てに対して不安は、少子化の一因となっていると考えられます。日本財団の調査では、7割以上が少子高齢化に「危機感を感じる」と回答している一方で、現状の政府の対応については「不十分である」との回答が約8割を占めており、若い世代としても深刻な問題として捉えていると思われます。

質問:日本における出生数は2020年に84万人となり過去最少を記録する一方、65歳以上人口は2020年に28.9パーセントであり、増加傾向にあります。こうした状況を踏まえ、あなたは少子高齢化について、どう感じますか。(選択式・単一)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは少子高齢化についてどう感じますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=1,000)のうち、「非常に危機感を感じる」と答えたのは37.3%。「やや危機感を感じる」と答えたのは36.8%。「わからない/考えたことがない」と答えたのは18.3%。「あまり危機感を感じない」と答えたのは3.1%。「まったく危機感を感じない」と答えたのは4.5%。
男性(n=514)のうち、「非常に危機感を感じる」と答えたのは40.9%。「やや危機感を感じる」と答えたのは32.1%。「わからない/考えたことがない」と答えたのは17.9%。「あまり危機感を感じない」と答えたのは3.9%。「まったく危機感を感じない」と答えたのは5.3%。
女性(n=486)のうち、「非常に危機感を感じる」と答えたのは33.5%。「やや危機感を感じる」と答えたのは41.8%。「わからない/考えたことがない」と答えたのは18.7%。「あまり危機感を感じない」と答えたのは2.3%。「まったく危機感を感じない」と答えたのは3.7%
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

質問:あなたは、少子高齢化に対する現在の政府の対応をどのように考えますか。(選択式・単一)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは、少子高齢化に対する現在の政府の対応をどのように考えますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体(n=1,000)のうち、「十分である」と答えたのは3.7%。「どちらかといえば十分である」と答えたのは14.3%。「どちらかといえば不十分である」と答えたのは43.7%。「不十分である」と答えたのは38.3%。
男性(n=514)のうち、「十分である」と答えたのは4.9%。「どちらかといえば十分である」と答えたのは15.8%。「どちらかといえば不十分である」と答えたのは36.6%。「不十分である」と答えたのは42.8%。
女性(n=486)のうち、「十分である」と答えたのは2.5%。「どちらかといえば十分である」と答えたのは12.8%。「どちらかといえば不十分である」と答えたのは51.2%。「不十分である」と答えたのは33.5%
出典:日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」

本調査が行われた1年後の2023年12月、政府は「こども未来戦略」を閣議決定し、「若者・子育て世代の所得を増やす」「社会全体の構造や意識を変える」「すべてのこどもと子育て世代をライフステージに応じて切れ目なく支援していく」を基本理念として少子化対策を推進しています。

若者は、政府の対応についてどのように感じているのでしょうか。ジェンダー平等の実現に向けて活動し、若者のリアルな声に詳しい一般社団法人GENCOURAGE代表理事の櫻井彩乃(さくらい・あやの)さんにお話をお聞きしました。

自分の将来に希望が持てない状況で、「誰かと一緒に生きる」のを想像できない

日本財団の結果を拝見し、「そうだろうな」というのが率直な感想である。結婚へのネガティブな感覚は首都圏の若者特有のものだと思っていたが、さまざまな学校や地域に伺い話を聞く中で、地方も同様であることが分かっている。

話を聞いた若者からは、「未来に対して希望を抱くことができない」という声が多かった。結婚や子育てが、希望を抱けない一つの要素になっていると考えている。

特に女性の方が結婚や子育てについてネガティブなイメージを持っており、自由や時間が奪われたり、ケア労働の負担が女性の方が大きかったり、かつ、ケア労働を担いながら働かなくてはならなかったり、という状況を、家族やSNS、ニュース等で見ているからこそ、結婚や子どもは望むけど、実際には厳しいと言う人が多いのかもしれない。

つまり、子どもや結婚を望む人は一定数いるが、未来に対して希望を見い出せないという状況である。

別の声として、「結婚はまだしも、その先の子どもはコスト」や「子どもは人生最大のリスク」と言う人もいた。また、女性は特に、「子育てか仕事のどちらかを選ばなきゃいけない」と思っている人も多く、実際にも、まだまだ子育てと仕事を天秤に掛けざるを得ない状況だと思う。

20歳代、30歳代に年齢が上がるにつれて、その状況を実感する人が増えると思うが、そういう現実をSNSで目の当たりにして、「やはり子育ては難しいんだ」「やっぱり自分の人生を生きられなくなる」「子育てはお金がかかりすぎる」と思ってしまっている。

結婚や子育てを難しいと考える背景の一つとして、奨学金の問題が大きい。返し終わる時期と子育ての時期が重なるため、借金を抱えながらの子育てとなり、時間やお金、心の余裕がなくなるのではないか、と若者が思っているということが、本調査の結果に表れているのかもしれない。

これまでは、結婚や出産が当たり前だったが、それが当たり前でなくなってさまざまな選択肢が出てきている、もしくは、選択できなくなっている、ということかもしれない。

「働いて、結婚して、子どもを持つ」というのを当たり前だと思っている大学生でも、「奨学金があるから無理」や「結婚や子どもは選択肢から外している」と言っている人がいて驚いている。学歴にも相関があるのかもしれないが、日本全体として価値観の変化が生じているように感じる。

そもそも自分個人の将来に希望が持てない状況で、「誰かと一緒に生きる」や「家族が増える」、というのが想像できないのは仕方のないように感じる。

若い世代の価値観やニーズに合わせたサポートが不足している

最近、就職活動中の男性から「男性でも子育てができる会社をどうやって選んだら良いか」という相談を受けることが多い。「お父さんみたいに生きたくない」と思う男性学生が多いようだ。

お父さんが仕事を頑張ってくれたおかげで今の生活がある、ということは認識しつつも、「何かの瞬間に立ち会っていない」「子育てに関わっていない」といった意識から、「自分はそういう生き方をしたくない」と考えているようだ。

また、ワークショップでも、「自分がケアワークを担うんだ」という意識を男性から感じることもある。「子どもを望むのであれば、ケアワークを女性に任せるのではなく自分もやる」という意思の表れであり、上の世代と比較し良い変化である。さまざまなメディアで男性育休が取り上げられている効果かもしれない。

しかし、男性の「ケアワークに関わりたい」というニーズと、社会側の準備状況がまだまだマッチしてないのが現状である。

さまざまな政策担当者と話をするなかで、「子育て支援により子育て世代がいきいきと子どもを育てることができれば、若い人も希望を持てるだろう」という人もいる。

確かに、今18歳の人は希望を持てるかもしれないが、すでに結婚や子育てにネガティブなイメージを持っていて、結婚等を選択できていない、いわゆる”適齢期”の人たちにとっては、子育て支援策だけだと不十分である。

働き方や経済的な問題に加えて、特に男性は、「自分が養わなくてはいけない」と思っている人もいるため、非正規雇用から正規雇用に変更できる仕組みづくりや、キャリアか子どもかを選ばなくても良いような支援が必要となる。

「共働き・共育て」といった耳触りの良いワードは打ち出されているが、まだまだ実態を伴っていないと思う。「子育てが本当にできるのか」と思っている人に対して、政府として「こういうサポートがある」「こんな未来がある」と示すことはできていないのである。

「2030年までがラストチャンス」と国は言っているが、のんびりしており危機感のない目標である、と感じている。もう少し、子育て世代のニーズを汲み取りつつ、子育てしていない人のニーズも洗い出して、丁寧に分析しながら、新たな取り組みを検討する必要がある。

若者のライフスタイルや価値観も多様化している。さまざまな生き方の選択肢の提示を

若者のなかでも差が生まれている気がする。雇用、学歴、男女差、地域に加えて、交差性的な障害などの要素によって、得られるチャンスは全く異なるものになり、生き方にもグラデーションが出る。今後もその差は開き続けると思っている。

さまざまな人生の選択肢を選べるようになったと同時に、一方でそれができない人もいる、という状況である。地方でさまざまな選択肢を選べないと感じた人は、首都圏に出て行くことが多い。

ジェンカレのサービスを提供するなかでも、地域による機会格差は非常に感じている。国の男女共同参画局では、「男性側にバイアスがあるのではないか」という仮説のもと、地方と首都圏で差が出ると想定して調査をしたのだが、結果的には首都圏と地方で差は出なかった。

地方の方が「自分は働いて、パートナーは家事」のようなステレオタイプが多いのかと想定したが、そうではなく、首都圏のお金持ちや自営業の人の方が、上記ステレオタイプに当てはまる人が多い結果となった。それ以外の人々は、「一緒に働き、一緒に育てる」という感覚を持つ人が多く見られた。

SNSで良い影響を受けることができれば、若者も選択肢が広がるのかもしれない。男性も子育てや育休など、さまざまな生き方の選択肢があるはずで、オンラインツールを活用してうまく届けられると良い。

中学生や高校生に子育て体験をしてもらう、というプログラムを国がやっている。アメリカの調査だと、本プログラムにより意図しない妊娠が増える、という結果もあるので、良いのかどうかは一概にいえないが、「さまざまな人生がある」「そしてそれを選択できる」と示すのは良いことである。

「ライフ・キャリア」をより充実させていくのは重要であり、現在国や自治体が進めるキャリア教育は、固定的な性別や役割分担意識が強めな部分もあるので、そのあたりが改善されていくと良い。

少子化対策のスコープを“若者”にも広げ、若者の声を聞き、深く理解することが重要。若者自身も声を上げてほしい

こども未来戦略会議にも参加しているなかで、国が打ち出している少子化対策は、いわゆる”若者”を対象にしているかというとそうではなく、子育て支援がメインとなっている。なので、少子化対策のスコープを広げていくことが重要と以前から伝えている。

結婚や妊娠を考える前の人々に対して、奨学金の問題や、育ちのなかで受けるジェンダー差別の問題など、社会に出るまでに希望を持てなかったり、生きづらさを感じたりする要因が複数あるので、その不安を取り除くことが、将来のお金の余裕を生み出し、結婚や子どもも視野に入れることができるようになるのではないかと考えている。

若い人は何を求めていて、なぜ望んでいるけどできないのかを、改めて分析していくことが重要である。これだけやれば良い、という施策はないが、子育て支援以外の、もっと若い人向けの政策を充実させないと難しいのではないかと思う。

個々の施策として、出産費用の補助や保育園費用の補助などが打ち出されており、子どもを持とうとする人にとっては有難いと感じるかもしれないが、結婚や子育てを考えていない段階の人からすると、その補助で「結婚したい」や「子どもを持ちたい」とはならない。

「これで結婚できる」「これで子どもを持てる」と思える若者向け施策を増やすことが急務である。

こども家庭庁の基本法11条に、政策を作る際には子どもや若者の声を聞くこと、と定められている。自治体や学校現場は「若者はこうだよね」と若者像を決めがちなので、当事者を入れて話を聞く、ということが重要になる。

先日参加した国連の会議でも、「これから世界、社会をつくっていくのは若者世代であり、そういう人々を真んなかに据えていこう」と強調されていた。国だけでなく、企業も含めて、若い人をステークホルダーに入れていく、ということが重要となる。

若者自身も、「どんなふうに生きたいか」「何を望んでいるのか」を国・自治体・学校に伝えるべきである。国の担当者に調査等で得た若者の声を届けても、「それを思っているのは一部の人だけでは?」と反論されてしまうことがよくある。SNSで呟く人もいるが、自分の要望をしっかり届けることが重要だ。

こども家庭庁の「こども若者★いけんぷらす」といった、声を届ける仕組みはいろいろあるし、それ以外にも「こういう社会になってほしい」や「若者の声を聞いてほしい」といった声を上げることはできるはず。

黙っていたら政府の人たちが若者の意見を汲み取ることは難しいので、何かしらの方法で汲み取れる状態にできると、若者が感じていることを政策に反映できるようになるかもしれない。そのために、若者の意思表示が必要なのである。

以上

  • 掲載情報は記事作成当時のものとなります。