【現地レポート】宮城県丸森町、半数の世帯が被災 金山地区で支援

2019年10月の台風19号で被災した宮城県丸森町。丸森町中心部から車で15分、金山地区には宅地の一角に白いプレハブが立ち並んでいました。
この地区では約400世帯の約半数が床上浸水などの被害を受けました。被災から4カ月になる2月上旬でも、自宅の2階や仮設住宅で暮らさざるを得ない人たちがいました。被災した人が少しでも快適に過ごせるようにと、様々な支援が続いていました。
栄養ある食事 炊き出しで提供

夕方、金山保育園の前で炊き出しがありました。
床上浸水があった多くの家では、台所や風呂場などの水回りが使えなくなりました。台所が使えないため、コンビニやスーパーなどで弁当やカップ麺を買って食べる機会が増えています。
NPO法人「亘理(わたり)いちごっこ」とNPO法人「姫路発中高生のための東日本災害ボランティア」は、少しでも温かくて栄養があるものを食べてもらおうと、毎週金曜日、魚や野菜をふんだんに使って炊き出しをしています。
この日のメニューは魚の粕漬け、菜の花としめじのおひたし、牛肉の野菜煮込み。近くに住む加川寿一さん(70)は、この日初めて炊き出しの存在を知りました。被災するまでは自炊する習慣がありましたが、台所に泥が入って使えなくなってしまいました。今はスーパーで買ったカレーやラーメンなど偏った食事が増えました。炊き出しの食事を見て「こういうものが食べたかった。カップ麺とは比べようがない。本当にありがたいです」と喜んでいました。

午後6時までの約1時間で250食を配りました。配膳ボランティアに参加した隣接する山元町の中学3年、今村誠太さん(15)は「自分が人のために何かをするという機会はなかなかない。社会に出たときに生きる経験ができました」と笑顔で話しました。
仮設に棚を取り付け 暮らしを改善
翌日、19世帯が暮らす金山地区の仮設住宅では、狭い空間でも収納がしやすいように壁に棚をつける作業がありました。
1戸あたりの広さは4.5畳の1DK。決して広いとは言えません。
そこで、東日本大震災の後に仮設住宅に5年暮らした経験がある同県七ケ浜町の大工、渡辺功さん(61)と妻洋子さん(61)が、暮らしやすい住まいづくりをしようと、棚作りを企画。はじめに洋子さんが集会所で講演し、仮設住宅で快適に過ごすためのポイントを説明しました。そのあと、住民からの要望を聞き、功さんたちが棚を作っていきました。


功さんは、棚を設置する場所や大きさなどをヒアリング。日本財団災害復旧サポートセンターが用意した丸ノコなどを使って板を裁断しました。木の繊維でけがをしないよう丁寧にやすりをかけ、仮設住宅の壁に釘を使って固定していきました。

幅180センチ、奥行き30センチの棚が付いた佐藤徹さん(68)は「自宅と使い、勝手が違って困ることもありました」と感謝していました。洋子さんは「被災者はたくさんのストレスを感じています。縦の空間を生かすことで少しでも不便な暮らしが改善されればうれしいです」と話していました。
