【現地レポート】災害支援活動中における台風直撃への備え

※日本財団は熊本県球磨村からの要請を受けて、重機作業を中心とするボランティア部隊を派遣しました。
本レポートは、ボランティアの一員として参加した当財団職員が執筆しました。


被災地に迫る大型台風

令和2年7月豪雨から2カ月が経った熊本県球磨村に、大きな緊張感が漂いました。9月初旬、台風9号、台風10号と2つの大型台風発生を伝える報道がされたためです。特に台風10号については過去最強クラスと言われたため、台風上陸に備えた対応が急務となりました。

住民の方々が家屋の台風対策や避難を始めるかたわら、我々ボランティア部隊も、被害を最小限に抑えるための対応を取りました。具体的には、活動拠点における物資や資機材の移動及び固定、車両の安全な場所への移動、発電機などの非常用品の整理のほか、住民さんへの避難呼びかけなどを行いました。

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資機材用のコンテナが飛ばされてしまわないよう、ワイヤーで固定を行う
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重機が被害を受けてしまわないよう、安全な場所に避難させます

災害支援活動に精力を注ぐ中、我々自身が大きな被害を受けてしまっては元も子もありません。そのため、自身の安全を確保しつつ、かつ台風通過後に素早く活動再開できるよう、どのような対策を取る必要があるのか、どこに避難するべきなのかなど、メンバー間の協議は昼夜に及びました。

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台風対応について、情報収集を行いながら昼夜協議

台風の通過と支援活動の再開

重機や資機材、発電機などを身近に置いて有事に備えつつ、台風の通過を待ちました。結果的には、台風上陸時の勢力は予想されていたよりも弱まったため、球磨村における被害は限定的なものとなり安堵しました。それでも、他の地域では人的被害が出てしまったほか、球磨村においても強風により一部で倒木が発生するなど、台風の怖さを改めて実感させられることとなりました。

今回の台風上陸にあたり、ボランティア部隊は球磨村に留まることを決めましたが、情報収集と必要な対策を余念なく行った上での判断であったため、不安な気持ちはほとんどありませんでした。また、住民の方々からは「そばにいてくれたので頼もしかった」といった声も頂戴することができ、重機などを有していることで、災害支援活動に役立つのみならず、有事の際には住民の安心感にもつながるということが感じられました。
なお、台風通過後は、速やかに村内を周って被災状況を確認するとともに、避難させていた重機を活動拠点に戻して迅速に支援活動を再開させることができました。

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通行の支障になっていた倒木を処理します
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台風一過の球磨村。いざ、活動再開!

日本財団 経理部 財務チーム 信氏建人