高齢者施設等への無料PCR検査事業 中間報告 インタビュー編 Vol.1特別養護老人ホーム陽光苑 施設長 恩田美智子様より

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特別養護老人ホーム陽光苑 外観

日本財団では、2021年2月24日より東京都、3月からは埼玉県、千葉県、神奈川県の高齢者福祉施設等の従事者を対象に、高齢者の方々の命を守ることを目的に、また、従事者の皆様に安心して仕事をしていただけるように、無料のPCR検査事業を実施してまいりました。
先日、中間報告として、これまでの検査実施実績を報告いたしました。

今回は、無料PCR検査事業を利用している施設の声が届きましたので、ぜひご覧ください。


新型コロナウイルスの感染拡大で、高齢者施設においては、より一層の感染対策が必要とされてきました。かつて経験したことのない感染症への長期にわたる対応に戸惑いながらも、施設を利用される方々へのケアは継続しなければなりません。
利用者とそのご家族からの信頼を得ながら、働く職員の方々が納得し不安なく働ける体制づくりが必要となる中で、『日本財団PCR検査』を取り入れ、リスク管理の一環として活用されている『特別養護老人ホーム陽光苑』の恩田美智子施設長にお話を伺いました。

コロナ禍で直面した課題と取り組み、
高齢者施設への大きな影響、利用者を守るという責任を痛感

松戸市西部地区に位置する『陽光苑』は、要介護の方々が長期入所される特別養護老人ホームとして、また、短期入所や通所介護サービスを提供する高齢者施設です。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府が緊急事態宣言を出された2020年4月当初のことを振り返り「緊急事態宣言が初めて出されたことに大きな不安を感じました」と恩田施設長は語ります。高齢者を預かる施設としてするべきことは数多く、その対応に追われながらの日々だったと言います。

「ご家族の面会やボランティアの受け入れ、公共交通機関を利用する職員への対応、納入業者への対応や日々の業務をどうすべきかなど多くの検討が必要であったため、会議を頻回に行い対処してきました」
「実質的な感染予防対策とあわせて、ご家族に不安を与えないよう情報発信を強化して、信頼関係を深めるための努力をしました。面会が出来ない状況が続いたので、入所者の近況を伝える写真付きのお手紙をご家族に送付し、大変喜ばれました」

一方で、「感染予防体制の強化による業務の増大や費用が増加していきました。また、在宅サービスの利用控えが出てきたため、経営への不安もありました」と運営を担う施設長の立場としての気がかりもあったと言います。

こうした不安や心配な気持ちを抱えながらも「どんなことをしても入所者の生命を守らなければならないという責任を痛感していました」という恩田施設長。「もし、陽性者が一人でも出た場合は、最低限度の感染者数で抑え込まなければならないという使命感で緊張の日々でした。また、外部からの持ち込みをさせないためにどうすべきか、悩み続けました」

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特別養護老人ホーム陽光苑 施設長 恩田美智子さん

PCR検査を導入後、必要性をあらためて痛感

1回目の緊急事態宣言解除後もコロナ収束とはならず長期戦に突入。他の高齢者施設等でクラスター発生の報道も頻繁に聞かれるようになりました。「コロナ収束が見えない現状に不安が増大していきました」と恩田施設長。

国内では、2020年10月頃より、各行政機関が幼稚園や小中学校、介護、高齢者施設などを対象にPCR検査の提供を始めていますが、濃厚接触者が出た場合など限定的なものであったり、単発のものであったりと効果的な頻度では提供されていませんでした。

陽光苑では、当初該当する行政からの提供される検査が月1回であったこと、また自費による検査を定期的に実施すると多大なコストが掛かってしまうこと、幸いにもまだ感染者や濃厚接触者が施設内から出ていなかったなどの理由もあり、嘱託医とも検討したものの導入には至っていませんでした。

その後、2021年2月より開始となった日本財団PCR検査を導入し、PCR検査の必要性をあらためて感じたと恩田施設長は次のように語っています。

「3月に介護スタッフの1人が家庭内感染により陽性となりました。これにより、全職員に緊張が走りました。クラスターを発生させないためにできる事を全て実施しましたが、この時、PCR検査の必要性を痛感しました」

ワクチン接種と併用してPCR検査を継続
職員や利用者家族への安心感にも繋がる

陽光苑では、4月~6月のワクチン接種により、入所者98%、職員96%の方が2回接種を終えています。

現在も引き続き、財団が推奨する週1回の検査を行っているとのこと。その理由については「ワクチンを2回接種しても感染を完全に防げるわけではありません。その上でPCR検査を併用することで安心感が高まります。検査の継続については、収束が見えるまで絶対に必要だと感じています」と恩田施設長。

PCR検査を行うことへの職員や利用者のご家族からの反応はどうだったのでしょうか。

「職員にはグループLINEを利用しPCR検査の報告を行っており、スピーディな伝達により業務への安心感に繋がっています。これにより職員間の絆も深まったと感じています。職員の家族からも家庭内感染も心配なので、定期的な検査の実施はとても安心できるという声を聞いています」

「入所者のご家族には、毎週全職員が検査を実施していることを報告しており、大変ありがたいとの声をいただいています。また、ワクチン接種の際、入所者ご家族の同意を得るために、PCR検査の実施が理由となったケースがあり、『施設が毎週検査してくれているので、家族も協力しなければいけないですよね』という声がありました」

費用の負担軽減や手軽な検査方法などの活用利点、
週1回の定期的な検査で感染対策としての安心感

最後に日本財団PCR検査を活用する利点についてお聞きしました。

「費用面での負担軽減はとても大きいです。また、週1回の検査のため、より速やかに感染を確認できるので感染対策としてより安心感があります。検査方法についても唾液採取のため、手軽にでき職員の負担も大きくはありません。加えて、これまでは、拠点施設へ持参していましたが、8月から直接回収に来ていただけるようになり大変ありがたく思っています」

重症化をかなりの程度で防ぐと言われているワクチン接種が進んできたこともあり、世間の風潮としてコロナに対する不安感や緊張感が軽減されてきた感があります。しかし、感染性と伝染力が強いと言われる変異株の出現もあり、引き続き予断を許さない状況であることには変わりありません。
日本財団はPCR検査を通じて、恩田施設長を始め、職員やスタッフの皆様が安心して利用者様へのケアを継続できる環境づくりの一助となるべくこれからも努めてまいります。

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特別養護老人ホーム陽光苑 スタッフの皆様

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