情報不足や周囲の理解不足が招く、「子どもの食物アレルギー」問題とは!?

執筆:日本財団ジャーナル編集部

この記事のPOINT!

・約2割の家庭で家族の誰かが食物アレルギーを持っている

・5割以上の人が最も信頼する情報源は「主治医/医師」と回答

・外食に関して2人に1人がアレルギーに関する情報不足を感じている

・子どものアレルギー疾患に対し、配偶者の8割が理解を示す一方で、積極的にサポート行う配偶者は6割に満たない

・子どもの成長に伴い、食物アレルギーに対する関係機関の理解度は下がる


特定の食品を食べるとアレルギー症状が現れる「食物アレルギー」を持つ子どもが増加傾向にあると言われているが、その実情はあまり知られていない。日本財団では食物アレルギーのある子どもを持つ親の実態や意識を把握するとともに、「小児食物アレルギー」における課題点をあぶり出し、どのような支援が必要とされているかを探るために、2018年8月に「小児食物アレルギー調査」を実施した。専門家の話も交えつつ、調査結果をもとに子どもの食物アレルギーにおける現状をひもといた。

食物アレルギーを持つ家族がいる家庭は約2割

まずはスクリーニング調査で行われたアンケートの結果を見てみよう。子どもがいる20代~40代の女性のうち、およそ2割の家庭で、家族の誰かが食物アレルギーを持っていることが明らかになった。

図表:食物アレルギーのある家庭の割合 ※単数回答

食物アレルギーのある家庭の割合を示す円グラフ(※単数回答)。食物アレルギーを持った家族がいる20.4%、食物アレルギーを持っている家族はいない/自分は食物アレルギーを持っていない79.6%。
約2割の家庭で家族の誰かが食物アレルギーを持っている

食物アレルギーを持つ家族・親族の内訳を見ると、「0歳~中学生」の子どもが43.6%と最も多く、続いて母親「ご自身」が39.5%、「配偶者・パートナー」が24.4%と上位を占めている。

図表:食物アレルギーを持つ家族・親族の割合 ※複数回答

食物アレルギーを持つ家族・親族の割合を示す棒グラフ(※複数回答)。ご自身39.5%、配偶者・パートナー24.4%、0歳~中学生43.6%、高校生以上8.3%、父母・義父母1.5%。
「0歳~中学生」の子どもが43.6%で1位。母親「ご自身」が39.5%、「配偶者・パートナー」が24.4%と続く

また、子どもの食物アレルギー症状の重さを聞いたところ、「0歳~中学生」の子どもがいる家庭のうち、症状を「軽い」と思っている人が42.8%(「やや軽い」を含む)、「普通」と思っている人が27.8%に対して、「重い」(「やや重い」を含む)と思っている人が29.4%と、約3.3人に1人が重い症状を抱えていると認識していることが分かった。

図表:「0歳~中学生」の子どもがいる家庭の症状の重さ(意識) ※単数回答

「0歳~中学生」の子どもがいる家庭の症状の重さ(意識)を示す円グラフ(単数回答)。重い7.1%、やや重い22.3%、普通27.8%、やや軽い23.6%、軽い19.2%。
アレルギーを持つ「0歳~中学生」の子どもの症状を「重い」と感じている人が約3.3人に1人いる

最も信頼する情報源は「主治医/医師」。子どもの成長に伴い、情報に触れる機会が減少

子どもの食物アレルギーと向き合う上で、親は何を情報源にしているのだろうか。「0歳~中学生」の子どもがいる家庭について、参考にすることが最も多い情報源を見ると、「主治医/医師」を挙げる人が52.5%と群を抜いて多かった。専門的な知識を持つ医療従事者への信頼は厚く、その影響力の高さがうかがえる。

図表:最も参考にすることが多い情報源 ※単数回答

最も参考にすることが多い情報源を示す円グラフ(※単数回答)。主治医/医師52.5%、参考にしている情報源はない9.4%、主治医/医師以外38.1%。
参考にしている情報源の中で最も数値が高いのは「主治医/医師」の52.5%

参考にしている情報源すべてを対象とする回答を見ても、67.9%の「主治医/医師」がトップに。続いて45.7%の「テレビ」、28.2%の「ニュースサイト/(スマホなどの)ニュースアプリ」、27.2%の「書籍」が上位を占める。ニュースサイトやニュースアプリを情報源として活用する人が多いのもインターネットが普及した現代ならではの特徴と言える。

図表:参考にすることが多い情報源 ※複数回答

参考にすることが多い情報源を示す棒グラフ(※複数回答)。主治医/医師67.9%、テレビ45.7%、ニュースサイト/ニュースアプリ28.2%、書籍27.2%、食物アレルギーの子どもを持つ友人などから直接聞く口コミ25%、雑誌21.9%、保育士・教師・養護教諭17.9%、病院・薬局・学校で配布される資料15.7%、ソーシャルメディア(※NPO/NGOの公式ページ以外)12.3%、新聞11.7%、食物アレルギーの子どもを持つ友人などのSNS・ブログなどの口コミ10.2%、知人以外(著名人や医師、専門家など)のSNS・ブログなどの口コミ9.5%、病院・薬局・学校内のポスター9.2%、行政関連のホームページ8.3%、行政関連の人5.4%、イベント(食物アレルギーに関する講演会・相談会など)5.1%、ラジオ2.5%、NPO/NGOのソーシャルメディア公式ページ2.2%、NPO/NGOのホームページ2.1%、NPO/NGOの人1.3%、インターネットその他1%、その他0.6%、参考にしている情報源はない9.4%。
「主治医/医師」、「テレビ」に続いて「ニュースサイト/(スマホなどの)ニュースアプリ」が続くのもネットが普及した現代ならではの特徴

また、幼い「未就園」の子どもの親が多くの情報源に触れていることもポイントだ。「参考にしている情報源はない」の回答が3.8%と最も低かったことからも、幼い子どもの食物アレルギーをなんとか解決しようと情報収集に懸命な母親の様子が垣間見える。一方で、子どもが成長し「中学校」に上がると、「参考にしている情報源はない」の回答は16.4%と約4倍に跳ね上がる。

図表:学齢別で見た最も参考にすることが多い情報源 ※単数回答

学齢別で見た最も参考にすることが多い情報源を示す帯グラフ(※単数回答)。未就園は、主治医/医師58.5%、参考にしている情報源はない3.8%、主治医/医師以外37.7%。保育園は、主治医/医師59.9%、参考にしている情報源はない9.3%、主治医/医師以外30.8%。幼稚園は、主治医/医師59.4%、参考にしている情報源はない8.3%、主治医/医師以外32.3%。小学校は、主治医/医師47.6%、参考にしている情報源はない11.2%、主治医/医師以外41.2%。中学校は、主治医/医師36.2%、参考にしている情報源はない16.4%、主治医/医師以外47.4%。
子どもの学齢が上がるに連れて、情報に触れる機会が減っていく傾向にある

食物アレルギーに関して最も情報不足を感じるのが「外食」

子どものためにさまざまな方法で情報を集め、より生活しやすくなるよう努力している家庭が多い。しかし中には、調べても十分な情報が得られないと感じられている分野があることも調査で判明した。

「0歳~中学生」の子どもがいる家庭において、「医療機関について」、「食品表示について」、「食材について」、「調理(レシピ)について」、「症状や緊急時の対応について」、「治療の仕方について」、「栄養について」、「外食(アレルギー対応しているレストラン等)について」の8つの調査項目のうち、「外食(アレルギー対応しているレストラン等)について」必要な情報が得られていると感じている人は全体の44.9%で、半数を下回った。

図表:食物アレルギーに関する情報の内容×量の満足度 ※複数回答

食物アレルギーに関する情報の内容×量の満足度を示す棒グラフ(※複数回答)。医療機関について68.9%、食品表示について68.6%、食材について66.9%、調理(レシピ等)について61.6%、症状や緊急時の対応について60%、治療の仕方について55.9%、栄養について53.4%、外食(アレルギー対応しているレストラン等)について44.9%。
「外食(アレルギー対応しているレストラン等)について」必要な情報を得られていると思う人は全体の44.9%と、他の情報内容と比べて満足度が低い

ただし、「幼稚園」の親に限って言えば、「外食(アレルギー対応しているレストラン等)」は52.5%と、他の学齢と比べて情報が足りていると感じている。「幼稚園」の子どもを持つ家庭の外出頻度が高いことから、事前の情報収集や選ぶお店・メニューの準備がなされていることが予測される。

図表:子どもの学齢別で見た「外食」に関する情報の内容×量の満足度 ※単数回答

子どもの学齢別で見た「外食」に関する情報の内容×量の満足度を示す帯グラフ(※単数回答)。未就園は、得られている/やや得られている42.1%、どちらともいえない28.2%、得られていない/やや得られていない29.7%。保育園は、得られている/やや得られている40.9%、どちらともいえない35.6%、得られていない/やや得られていない23.5%。幼稚園は、得られている/やや得られている52.5%、どちらともいえない28.5%、得られていない/やや得られていない19%。小学校は、得られている/やや得られている46.8%、どちらともいえない33.1%、得られていない/やや得られていない20.1%。中学校は、得られている/やや得られている43.2%、どちらともいえない38.6%、得られていない/やや得られていない18.2%。
「外食」に関して、「幼稚園」の親は他の学齢と比べて情報が足りていると感じている

図表:学齢別で見た食物アレルギーのある子どもを持つ家庭の外食、中食頻度 ※単数回答

学齢別で見た食物アレルギーのある子どもを持つ家庭の外食、中食頻度を示す帯グラフ(※単数回答)。未就園は、ほとんど毎日1%以上、週に3~4回1%、週に1~2回12.4%、月に2~3回32.1%、月に1回18.5%、それよりも少ない34.7%。保育園は、ほとんど毎日2%未満、週に3~4回1%以上、週に1~2回14%、月に2~3回36.4%、月に1回20.9%、それよりも少ない25.7%。幼稚園は、ほとんど毎日1%以上、週に3~4回1%未満、週に1~2回22.3%、月に2~3回42.2%、月に1回20.9%、それよりも少ない12.5%。小学校は、ほとんど毎日1%未満、週に3~4回0%、週に1~2回16.7%、月に2~3回38.6%、月に1回29.1%、それよりも少ない15.1%。中学校は、ほとんど毎日1%、週に3~4回1%未満、週に1~2回6.5%、月に2~3回22.3%、月に1回36.7%、それよりも少ない33%。
「幼稚園」では、2割以上の家庭が週に1回以上外食している。他の学齢に比べて高め

子どものアレルギー疾患に対し、配偶者の理解度が高い反面、関与度が低い

食物アレルギーのある子どもを育てる上で、周囲のサポートは欠かせない。中でも配偶者とは二人三脚で乗り越えるべき問題がたくさんあるだろう。そんな「パートナー」とも言える配偶者のサポートを、世の母親は十分に受けられているのだろうか?

子どもの食物アレルギーに関する配偶者の理解度を見てみると、84.3%の家庭が「理解している」(「やや理解している」を含む)と回答。一方で、関与度については58.9%の家庭が「積極的に関与している」(「やや積極的に関与している」を含む)と答えており、裏を返せば約4割の家庭で配偶者のサポートが受けられていないことになる。配偶者の理解度の高さに対し、実態がかけ離れていることが分かる。

図表:子どものアレルギー疾患に対する配偶者の理解度合いと関与度合い ※単数回答

子どものアレルギー疾患に対する配偶者の理解度合いと関与度合いを示す円グラフ(※単数回答)。理解度は、理解している44%、やや理解している40.3%、どちらともいえない6.5%、あまり理解していない5.5%、理解していない3.7%。関与度は、積極的に関与している23.9%、やや積極的に関与している35%、どちらともいえない17.1%、あまり積極的には関与していない14.9%、積極的には関与していない9.1%。
子どものアレルギー疾患に対し、配偶者が「理解している」家庭が8割以上。一方で「積極的に関与している」家庭は6割に満たない

子どもの成長に伴い、食物アレルギーに対する関係機関の理解度は下がる傾向に

最後に、子どものアレルギーに対する関係機関の理解度を見てみよう。子どもの学齢別に見ると、「理解している」(やや理解している)を含む)の回答が「保育士」は9割以上、「幼稚園の先生」は約8割を占めており、子どもを預ける親から高い信頼を得ていることが分かる。一方で小学校、中学校になると、「学級担任の先生」は6〜7割に、「養護教諭」は5割前後に減少。「保育の質」から「教育の質」へと、関係機関に求められる「質」や役割が変わっていくことが影響しているものと思われる。

図表: 「保育士」の食物アレルギーに対する理解度 ※単数回答

「保育士」の食物アレルギーに対する理解度を示す円グラフ(※単数回答)。理解している51.5%、やや理解している40.9%、どちらともいえない4.5%、あまり理解していない2.1%、理解していない1%。
「保育士」に対する「理解している」(「やや理解している」を含む)の回答は92.4%と最も高い

図表:「幼稚園の先生」の食物アレルギーに対する理解度 ※単数回答

「幼稚園の先生」の食物アレルギーに対する理解度を示す円グラフ(※単数回答)。理解している34.2%、やや理解している45.6%、どちらともいえない15.4%、あまり理解していない3.5%、理解していない1.3%。
「幼稚園の先生」に対する「理解している」(「やや理解している」を含む)の回答も79.8%と高い数値を示す

図表:「学級担任の先生」の食物アレルギーに対する理解度 ※単数回答

「学級担任の先生」の食物アレルギーに対する理解度を示す円グラフ(※単数回答)。小学生は、理解している27.1%、やや理解している41.8%、どちらともいえない23.2%、あまり理解していない5.7%、理解していない2.2%。中学生は、理解している21.2%、やや理解している36.3%、どちらともいえない30.5%、あまり理解していない8.7%、理解していない3.3%。
「学級担任の先生」に対する「理解している」(「やや理解している」を含む)の回答は「小学校」で68.9%、「中学校」で57.5%と減少する

図表: 「養護教諭」の食物アレルギーに対する理解度 ※単数回答

「養護教諭」の食物アレルギーに対する理解度を示す円グラフ(※単数回答)。小学生は、理解している23.3%、やや理解している31.5%、どちらともいえない35.3%、あまり理解していない6.7%、理解していない3.2%。中学生は、理解している18.4%、やや理解している30.4%、どちらともいえない39.5%、あまり理解していない4.8%、理解していない6.9%。
「養護教諭」に対する「理解している」(「やや理解している」を含む)の回答は「小学校」で54.8%、「中学校」で48.8%と減少する

調査結果を受けて専門家の意見は?

以上のアンケート調査結果について、専門家の方に一部コメントをいただいた。

【特定非営利活動法人FaSoLabo京都 小谷智恵(おだに・ともえ)さん】

・最も参考されている情報源が「主治医/医師」という調査結果について

未就園児の親御さんの中には、子育て支援施設(※)を利用したい方も多いのですが、運営やイベントの実施に細かな配慮が欠けて参加できなかったり、所属する子育てアドバイザーに対する食物アレルギーなどの研修がなく、子育てアドバイザーから親御さんへ不確かなアドバイスが多いのも課題です。私がいる京都でも保育士には頻繁に研修が実施されていますが、子育て支援施設の職員にはありません。子育て支援施設が最も情報源として信頼されている医師・医療機関につなげるための仕組みが必要ではないでしょうか。

  • 地域で子育てを支えるため、当事者相互の交流を図り、子育ての不安や悩みを相談し、助言や援助を受けられる厚労省の地域子育て支援拠点事業

【NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク 赤城智美(あかぎ・ともみ)さん】

・最も参考されている情報源が「主治医/医師」という調査結果について

医者と相談するときにどんな内容を相談しているか、相談できるとしたらどんな相談したいかも今後調査できると、より子どものアレルギー対策に有効な答えが得られるかもしれません。

・最も情報不足を感じているのが「外食(アレルギー対応しているレストラン等)」という理由について

私が食物アレルギーの人が入れるレストランをマッピングした際に、お店側からWEBなどに情報を載せるのはNGと言われたことがあります。理由は敢えて食物アレルギー患者に来てもらいたくないからだそう。そのような外食産業の課題は解決しなければいけませんが、厨房の管理など公的なアレルギー対応に関するルールがないので、ハードルが高いと言えます。

〈調査概要〉

  • 調査タイトル:小児食物アレルギーに関する基礎調査
  • 調査実施主体:日本財団
  • 調査手法:定量調査、スクリーニング調査5問/本調査30問
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査時期:2018年8月3日(金)~2018年8月7日(火)
  • 調査内容:食物アレルギー患者である子を持つ親の困りごとなど実態・意識、対応・サポートなど
  • 調査対象 :
    • 【A:スクリーニング調査】全国20代~40代の子どものいる女性(人口構成比に合わせて回収)10,000サンプル
    • 【B:本調査】上記のうち以下にあてはまる全国20代~40代の子どものいる女性女 1,030サンプル(※)
      • 0歳~中学生の食物アレルギーのある子どもの母親
        1. 子どもが何かしらのアレルゲンで「過去に症状が出たことがある「症状は出たことはないがアレルギーだと診断されている」
        2. 子どもの食物アレルギーの対応・サポートに自らが関与している(「積極的に関与している」~「やや積極的に関与している」)