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なぜ世界から貧困(ひんこん)はなくならない?

イラスト;路上に座り込む貧しい親子
服や薬が買えない、食べるものがない、学校へ行けない、とても貧(まず)しい人たちが世界に10人に1人いる

小学生のためのSDGs入門記事。第1回は、目標(もくひょう)1「貧困(ひんこん)をなくそう」について考えてみましょう。

貧(まず)しい暮(く)らしをしている人の中でも、1日270円以下(※)で生活しなければいけない状況(じょうきょう)を「絶対的貧困(ぜったいてきひんこん)」と呼びます。

  • 1.9ドル以下。1ドル139円で計算(2023年7月時点)

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貧困(ひんこん)が引き起こすさまざまな問題

これは人として十分な生活を送ることができないレベルの貧(まず)しさのことで、たとえば次のような問題を引き起こします。

  • 食べるもの・飲みものがない
  • 家や服がない
  • 電気や水道を使うことができない
  • 学校に行けない
  • 病気になっても薬が買えない

こうした、とても貧(まず)しい生活をしている人が世界に7億(おく)人以上います。その半分ほどがサブサハラ・アフリカ地域(ちいき)に住んでおり、その次に多いのがインド、パキスタン、バングラデシュ、ネパールなどの南アジア地域(ちいき)、カンボジア、ミャンマー、東ティモールなどの東アジア地域(ちいき)の国々です。

世界地図でみたサブサハラ・アフリカ地域(ちいき)、南アジア地域(ちいき)、東アジア地域(ちいき)。出典(しゅってん):外務省「ODA(政府開発援助)国別地域別政策・情報」(外部リンク)を加工(かこう)して作成(さくせい)
写真:ごみの山でごみ拾いをする子どもたち
貧(まず)しさのあまり学校へ通えず、ごみ拾いをして働(はたら)く子どもたちがたくさんいる

貧(まず)しい理由には、次のようなことがあります。

  • 戦争(せんそう)や災害(さいがい)が起こって仕事ができなくなった
  • 地やお金がないため農作物を育てたり、ヤギやニワトリなどの家畜(かちく)を飼(か)えない
  • 家族や親戚(しんせき)など助けてくれる人がいない
  • 十分な教育を受けられないため仕事が選(えら)びにくい

貧(まず)しい家に生まれた子どもは教育を受けられないため、選(えら)べる仕事が少なく、親から子どもへ貧(まず)しさが受けつがれてしまう「貧困(ひんこん)の連鎖(れんさ)」を生みます。

この貧困(ひんこん)の連鎖(れんさ)を止めることが大切なのです。

イラスト:
円の真ん中に「貧困の連載」

時計回りで…
「親の貧困」
↓
「十分な教育を受けられない」
↓
「学校や会社をえらぶのがむずかしくなる」
↓
「安定した仕事につくことがむずかしい」
↓
「親の貧困」から繰り返し
貧困(ひんこん)の連鎖(れんさ)

日本も「貧困(ひんこん)」が増えている

豊(ゆた)かに思える日本ですが、いま7人に1人の子どもが貧困状態(ひんこんじょうたい)にあります。

イラスト:
横に並ぶ7人の子どものうち真ん中の1人だけが色違いのピクトグラフ
日本にも貧困(ひんこん)問題はあります

日本の貧困(ひんこん)は、ほとんどの人ができている生活ができない貧(まず)しさを意味しています。

これを「相対的貧困(そうたいてきひんこん)」といい、新しい服やくつが買えない、塾(じゅく)や大学に行けない、旅行に行ったことがない子どもたちが増えています。

これらの経験(けいけん)は、子どもたちの心や将来(しょうらい)を大きく左右します。

この貧困(ひんこん)問題について私(わたし)たち一人一人ができることは何でしょう?

その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。

本や図書館、インターネットで調べてみよう!

  • 世界の貧困(ひんこん)と、その国でなぜ貧困(ひんこん)が起きているのかを調べてみよう
  • 貧困(ひんこん)が、子どもたちの生活やその国の未来(みらい)にどのような影響(えいきょう)があるか調べてみよう
  • 貧困(ひんこん)をなくすために、どのような取り組みが行われているか調べてみよう

「貧困(ひんこん)」について学べるおすすめの本

出版(しゅっぱん):評論社(ひょうろんしゃ) 作:ルイーズ・スピルズベリー 絵:ハナネ・カイ 訳(やく):大山泉(おおやま・いずみ)

『今、世界は あぶないのか? 貧困と飢餓(きが)』(外部リンク)

貧困(ひんこん)や飢餓(きが)って、どういうこと?どうして、そんなことになるの?どうしたら、変えていけるの?子どもたちにできることは?を考えます。

出版(しゅっぱん):少年写真新聞社 作:石井光太(いしい・こうた)

『地球村の子どもたち 途上国(とじょうこく)から見たSDGs (1) 格差(かくさ)』(外部リンク)

今、世界には困難(こんなん)な問題があふれています。貧(まず)しい国々の問題も、私(わたし)たちと無関係(むかんけい)ではありません。どんな世の中にしたいのか? 世界をよりよくするための目標(もくひょう)や行動を考えるきっかけとなる本です。

まわりの人に話を聞いてみよう!

  • お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どのころの生活や、貧困(ひんこん)問題について何ができるか意見を聞いてみよう
  • いろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう

自分にできることからやってみよう!

  • 調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう
  • 支援(しえん)する団体とつながる、着なくなった服を寄付(きふ)する、ボランティアに参加するなど、できることはたくさんあるはず

自分で解決(かいけつ)方法を見つけるのにおすすめ!

セーブ・ザ・チルドレン(外部リンク)

日本をはじめ世界中の子どもたちの保健(ほけん)・栄養(えいよう)、教育の支援(しえん)に取り組んでいます。世界各国での活動をスタッフブログなどで紹介しています。

Learning for All (外部リンク)

全ての子どもが自分の可能性を信じ、やりがいを持って生きられる社会を目指しています。貧困(ひんこん)問題を多くの人に知ってもらうための情報発信(じょうほうはっしん)やイベントを行っています。

カタリバ(外部リンク)

日本において、どんな環境(かんきょう)で生まれ育っても子どもたちが未来をつくり出せるよう教育を中心に支援(しえん)しています。活動を紹介するカタリバマガジンでは、10代のインタビューも充実(じゅうじつ)。

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加速(かそく)する教育環境(きょういくかんきょう)の「分断(ぶんだん)」。カタリバの今村久美さんと考える、ポストコロナ社会における子どもの学び(別タブで開く)

キッズドア(外部リンク)

日本において子どもの貧困(ひんこん)、教育格差(きょういくかくさ)の解決(かいけつ)に取り組んでいます。小学生から高校までを対象(たいしょう)にした無料(むりょう)学習会など行っています。

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イラスト:KIKO

[参考文献]

国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン「SDGs目標1「貧困をなくそう」とは? | 現状や取り組みを解説」(外部リンク)

国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン「開発途上国の貧困問題解決のため私たちにできる3つのこと」(外部リンク)

日本ユニセフ協会「SDGs CLUB」「貧困をなくそう」(外部リンク)

日本財団「子どもの貧困対策」(別タブで開く)

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