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地球温暖化(ちきゅうおんだんか)が進めば、いまの場所に住めなくなる人がたくさんいる?
小学生のためのSDGs入門記事。第15回は、目標(もくひょう)13「気候変動(きこうへんどう)に具体的(ぐたいてき)な対策(たいさく)を」について考えてみましょう。
近年、世界中で異常(いじょう)な暑(あつ)さや大雨、干(かん)ばつなどによる自然災害(しぜんさいがい)が増(ふ)えています。
これらは地球温暖化(ちきゅうおんだんか)による気候変動(きこうへんどう)といわれていますが、どうしてこのようなことが起こっているのでしょうか? また、それが私(わたし)たちの暮(く)らしにどんなえいきょうを与えるのでしょうか?
連載(れんさい)【小学生SDGsジャーナル】記事一覧(きじいちらん)
そもそも気候変動(きこうへんどう)ってなに?
気候変動(きこうへんどう)とは、ある地域(ちいき)の天気や気温が、何年も何十年もかけて変(か)わっていくことで、例(たと)えば次のようなものがあります。
- 夏がもっと暑(あつ)くなる
- 冬に降(ふ)る雪の量(りょう)が少なくなる
- 台風が増(ふ)える
- 雨の降(ふ)り方が変(か)わり、大雨や干(かん)ばつなどが増える
この気候変動(きこうへんどう)の原因(げんいん)には自然(しぜん)が引き起こすものと、人が引き起こすものの両方があります。
自然(しぜん)が引き起こすものには、太陽の活動が活発になったり、火山の噴火(ふんか)で灰(はい)が空にただよったりすることなどがあります。
これらは昔(むかし)から起きていたことですが、ごく最近(さいきん)の気候変動(きこうへんどう)は、人間の活動がえいきょうしているものが大きいといわれています。
人間が引き起こす地球温暖化(ちきゅうおんだんか)
人間の活動による気候変動(きこうへんどう)は、二酸化炭素(にさんかたんそ)やメタンガスといった温室効果(おんしつこうか)ガスが主な原因(げんいん)といわれています。
そもそも地球の気温は、温室効果(おんしつこうか)ガスが熱(ねつ)をためこむ性質(せいしつ)を持っているので一定に保(たも)たれています。ところが、人間の活動によって温室効果(おんしつこうか)ガスが増(ふ)え過(す)ぎると、熱(ねつ)をためこみ過(す)ぎて気温が上がってしまうのです。
こうして温室効果(おんしつこうか)ガスが増(ふ)えて、地球の平均気温(へいきんきおん)が長い時間をかけて上がっていくことを地球温暖化(ちきゅうおんだんか)といいます。
このような地球温暖化(ちきゅうおんだんか)を進める主な人間の活動には、次のようなものがあります。
- 石油や石炭など化石燃料(かせきねんりょう)を燃(も)やすこと → 二酸化炭素(にさんかたんそ)が大量(たいりょう)に発生(はっせい)する
- 森林(しんりん)を切り開(ひら)くこと → 二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸収(きゅうしゅう)してくれる木が減(へ)る
- 牛や豚など家畜(かちく)を育(そだ)てること → 家畜(かちく)のゲップやフンからメタンガスが発生する
- ごみを燃(も)やしたり、うめたりすること → 燃(も)やすと二酸化炭素(にさんかたんそ)が発生(はっせい)し、うめると分解(ぶんかい)されるときにメタンガスが出る
気候変動(きこうへんどう)がもたらす問題
気候変動(きこうへんどう)は、世界中のさまざまな場所でいろいろな問題を引き起こしています。そして、将来(しょうらい)さらに深刻(しんこく)になると予想されています。
●気温の上昇(じょうしょう)
気象庁(きしょうちょう)によると、2023年の世界の平均気温(へいきんきおん)は、20世紀(せいき)の平均気温(へいきんきおん)と比(くら)べて約(やく)0.54度上昇(じょうしょう)し、過去最高(かこさいこう)となりました。
このまま気温が上がり続(つづ)けると、2100年には最大(さいだい)で2.5度も上昇(じょうしょう)すると予測(よそく)されています。
●自然災害(しぜんさいがい)の増加(ぞうか)
2023年には、世界中で記録的(きろくてき)な熱波(ねっぱ)や大雨などの異常気象(いじょうきしょう)が起こりました。
こうした自然災害(しぜんさいがい)が増えているのも、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の影響(えいきょう)といわれています。暴風雨(ぼうふうう)や冷夏(れいか)、暖冬(だんとう)のほか、数カ月続(つづ)く干(かん)ばつも異常気象(いじょうきしょう)の1つです。
例(たと)えば、アメリカ・ハワイのマウイ島ではとても大きい森林火災(しんりんかさい)が起きました。
この背景(はいけい)には、気候変動(きこうへんどう)による高い気温やかんそうのえいきょうがあるといわれており、実際(じっさい)にハワイでは1年間に森林火災(しんりんかさい)が起こる面積(めんせき)がこの数十年で4倍になっています。
●海の温暖化(おんだんか)と海面の上昇(じょうしょう)
海の水の温度が上がることで、海の生き物たちの生態系(せいたいけい)が乱(みだ)れたり、サンゴが白くなって死んでしまう「白化現象(はっかげんしょう)」が世界中の海で起こっています。日本では、沖縄県(おきなわけん)の石垣島(いしがきじま)や宮古島(みやこじま)などでこの現象(げんしょう)がかなり進んでいます。
また、気温が上がって氷河(ひょうが)が解(と)けたり、海水が温められてふくらんだりすることによって海面が上昇(じょうしょう)しています。
1901~2018年の100年あまりの間に、世界の海面の高さは20センチメートルも上昇(じょうしょう)しました。このことで島国や海岸沿(かいがんぞ)いの地域(ちいき)が海水でおおわれてしまい、近い将来(しょうらい)、水の中にしずんでしまう危険(きけん)も高まっています。
南太平洋にあるツバルという島国は、海抜(かいばつ)が低く、最(もっと)も海にしずんでしまう危険(きけん)があるといわれています。
関連(かんれん)記事:海ごみに温暖化(おんだんか)…近い未来(みらい)、魚や貝が食べられなくなる?(別タブで開く)
●生物の種類(しゅるい)の減少(げんしょう)
気候変動(きこうへんどう)のえいきょうで、森林や海の環境(かんきょう)に変化(へんか)が起こり、そのことで多くの生き物たちの住む場所がなくなったり、食べ物が減(へ)ったりしています。
そのため、絶滅(ぜつめつ)の危機(きき)にさらされる生き物が増(ふ)えています。
関連(かんれん)記事:世界では1分間で東京ドーム2つ分の森林が失(うしな)われている?(別タブで開く)
●食料不足(しょくりょうぶそく)
気温の上昇(じょうしょう)や異常気象(いじょうきしょう)によって、農作物の収穫量(しゅうかくりょう)や、とれる魚(さかな)が減(へ)ってしまい、食料(しょくりょう)が不足(ふそく)する地域(ちいき)が出ています。
関連(かんれん)記事:100年以内(いない)に地球の資源(しげん)のほとんどがなくなる?(別タブで開く)
●貧困(ひんこん)と移住(いじゅう)の問題
気候変動(きこうへんどう)のえいきょうは、特(とく)に開発途上国(かいはつとじょうこく) と呼(よ)ばれる貧(まず)しい国で深刻(しんこく)です。
これは、途上国(とじょうこく)が気候変動(きこうへんどう)に対応(たいおう)するためのお金や技術(ぎじゅつ)が不足(ふそく)しているためです。
また、こういった国々(くにぐに)では、農業や漁業(ぎょぎょう)など自然(しぜん)にたよる産業(さんぎょう)が主(おも)な場合が多く、気候変動(きこうへんどう)のえいきょうを受けやすいのです。
また、大雨や火災などの自然災害(しぜんさいがい)で家や農地を失(うしな)ったり、海面の上昇(じょうしょう)で住む場所がなくなったりして、別(べつ)の場所にいやいや移(うつ)らなければいけない人々が増(ふ)えています。
日本財団(にっぽんざいだん)の取り組み
日本財団(にっぽんざいだん) 海洋酸性化(かいようさんせいか)適応(てきおう)プロジェクト(別タブで開く)
地球温暖化(ちきゅうおんだんか)のえいきょうにより引き起こされているのが海の酸性化現象(さんせいかげんしょう)です。海が酸性化(さんせいか)することで海に住む生き物たちの命が危機(きき)にさらされています。
このプロジェクトでは、日本の沿岸海域(えんがんかいいき)で海の酸性化(さんせいか)がどのくらい進んでいるかを調(しら)べています。
また、なぜ酸性化(さんせいか)が起こるのか、将来(しょうらい)海の生き物たちにどのようなえいきょうをあたえるのかを予測(よそく)し、その対策(たいさく)のための方法(ほうほう)を考えています。
日本財団(にっぽんざいだん)ゼロエミッション船プロジェクト(別タブで開く)
2050年までに船から出る二酸化炭素(にさんかたんそ)排出量(はいしゅつりょう)をゼロにすることを目指(めざ)したプロジェクト。そのために、水素(すいそ)を燃料(ねんりょう)とした船を世界に先がけて開発し、実験(じっけん)を行っています。
この気候変動(きこうへんどう)の問題について私(わたし)たち一人一人ができることはなんでしょう?
その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。
本や図書館、インターネットで調べてみよう!
- 地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の原因(げんいん)とえいきょうについて、もっとくわしく調べてみよう
- 日本で起こっている気候変動(きこうへんどう)のえいきょうにはどんなものがあるか、調べてみよう
- 気候変動(きこうへんどう)に対(たい)して、世界や日本ではどんな取り組みが行われているか、調べてみよう
気候変動(きこうへんどう)の問題について学べるおすすめの本
『こども気候変動(きこうへんどう)アクション30』(外部リンク)
「なるべくプラスチック製品(せいひん)を購入(こうにゅう)しない」「古着を着る」など、気候変動(きこうへんどう)に対して、子どもたちにもできる具体的(ぐたいてき)なアクションが30個(こ)しょうかいされています。
自分にできることから始めてみたい人におすすめです。
『最近(さいきん)、地球が暑くてクマってます。』(外部リンク)
北極(ほっきょく)に住むシロクマの親子が、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)について楽しく分かりやすく説明(せつめい)してくれる本です。
温暖化(おんだんか)のえいきょうや、私たちにできる対策(たいさく)などを、もりだくさんな写真を見ながら学べます。
まわりの人に話を聞いてみよう!
- お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんに、昔と今で季節(きせつ)や気温に変化(へんか)を感じるか聞いてみよう
- 学校の先生に、気候変動(きこうへんどう)の問題について、どんなことが心配だと思うか聞いてみよう
- 地球温暖化(ちきゅうおんだんか)を防(ふせ)ぐために何ができると思うか、大人に質問(しつもん)してみよう
自分にできることからやってみよう!
- エネルギーの無駄(むだ)使いをしないよう、電気やガス、水の使い方を工夫(くふう)して二酸化炭素(にさんかたんそ)を減(へ)らそう
- ごみを減(へ)らしたり、分別(ぶんべつ)やリサイクルをしたりして、資源(しげん)を大切にしよう
- 植物を育てて、緑を増(ふ)やそう
- 地球温暖化(ちきゅうおんだんか)や気候変動(きこうへんどう)の問題について調べたことを、家族や友だちに伝(つた)えてみよう
自分で解決方法(かいけつほうほう)を見つけるのにおすすめ!
体験(たいけん)の機会(きかい)の場(外部リンク)
環境省(かんきょうしょう)が運営(うんえい)する、環境問題(かんきょうもんだい)を考えるためのウェブサイトです。
森林や里山などで自然環境(しぜんかんきょう)にふれる「自然体験(しぜんたいけん)」、環境(かんきょう)に気を配りながら運営(うんえい)している工場や施設(しせつ)などの「社会体験(しゃかいたいけん)」ができる体験プログラムをしょうかいしています。
動画でその一部を見ることができます。
A-PLAT KIDS(エー・プラット・キッズ)(外部リンク)
国立環境研究所(こくりつかんきょうけんきゅうじょ)がつくった、気候変動(きこうへんどう)への適応(てきおう)について学べるウェブサイトです。
変化(へんか)する気候(きこう)に、生活(せいかつ)や社会(しゃかい)などを合(あ)わせていくための方法(ほうほう)を、紙芝居(かみしばい)やクイズで楽しく学べます。
自由研究や工作のヒントもしょうかいされています。
すごろく気候変動(きこうへんどう)適応(てきおう)への道(外部リンク)
国立環境研究所(こくりつかんきょうけんきゅうじょ)気候変動適応(きこうへんどうてきおう)センターが作ったすごろくゲーム。遊びながら気候変動(きこうへんどう)への対策(たいさく)について学べます。
A4サイズのコピー用紙にプリントし、サイコロとすごろくのコマにするものを用意すれば、家庭や学校で気軽に環境学習(かんきょうがくしゅう)ができます。
小学4年生から大人まで遊ぶことができます。
イラスト:KIKO
[参考文献]
気候変動適応情報プラットフォーム「気候変動の要因」(外部リンク)
全国地球温暖化防止活動推進センター「温暖化とは?地球温暖化の原因と予測」(外部リンク)
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン「カナダ、ハワイ・マウイ島、ギリシャー森林火災はなぜ起きた? 2023年、世界中で森林破壊が記録を更新する理由」(外部リンク)
気象庁「日本沿岸の海面水位上昇のやさしい解説」(外部リンク)
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