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NPO法人が活用できる助成金は? 情報収集の手段や、受給条件・申請方法を解説

イメージ:助成金と書かれた積み木
助成金を上手に活用すれば、資金繰りの改善や活動の幅を広げることも可能に
この記事のPOINT!
  • 助成団体や助成金の種類によって対象となる事業、条件、助成金額などが異なる
  • 受給可能な助成金を探すには、CANPANや内閣府ホームページなどが便利
  • 助成金をスムーズに申請・受給するために、書類作成は準備を整え、スケジュールに余裕を持つ

執筆:日本財団ジャーナル編集部

NPO法人や一般社団法人などの非営利団体にとって助成金は、貴重な財源の1つ。法人を設立する際の負担軽減や活動をサポートするために、さまざまな助成金が用意されている。

本記事では、NPO法人や一般社団法人が活用できる助成金の種類や事例、受給条件や申請する際のポイントについて解説する。

1. NPO法人・一般社団法人が受給できる助成金の種類や条件

助成金とは、NPO法人の活動を支援するために、一時的に支給されるお金のこと。財団や企業などの民間の支援団体が実施する場合が多く、原則、融資とは違い返済する必要がないため、助成金を受給できれば、活動の幅を広げたり、キャッシュフローを改善することが可能だ。

一方で助成金の多くが、申請後、一定の審査を経て助成の可否が決定されるため、しっかりとした資料作りが重要となる。

助成金の対象となる活動分野は、医療・福祉、国際協力、地域振興など多岐にわたり、活動分野における社会課題の解決に取り組む組織や団体が実施している場合が多い。その他、ボランティアの活動や、情報発信などを支援目的とする助成金や、起業する際の初期費用補助など、設立後間もない団体を支援するものもある。

また、助成金は、活動分野や団体の規模、活動目的によって適用できるものが異なる。自分の団体に適したものを探すには、情報収集が必要になり、そのために基本的な知識は身につけておきたい。

関連記事:NPO法人の活動内容は? 法律によって決められた分野や活動事例を紹介(別タブで開く)

2. NPO法人・一般社団法人が受給できる助成金事例

ここでは、NPO法人・一般社団法人が受給できる助成金の一例を幅広い分野からピックアップ。既存団体を対象にしているものや、これから法人を立ち上げるスタートアップ向けのものなどを紹介する。

助成制度名:金融相談等活動助成事業(外部リンク)
実施団体:
一般財団法人ゆうちょ財団
対象:高齢者、大規模災害の被災者、障害のある人などを対象とした金融相談および金融教育などに関する活動を行うNPO等団体を対象に、活動費の一部を助成
助成内容:1団体あたり60万円が限度額。活動を構成する各イベント(半日または1日程度の催し)あたりの上限額は12万円。助成対象活動期間は1~3年間

助成制度名:アジア生協協力基金(外部リンク)
実施団体:公益財団法人生協総合研究所
対象:アジア地域における社会的に脆弱な立場や経済的に困難な状況に置かれた現地の人々を支援する事業、あるいは現地の人々の社会的自立・経済的自立を目的とした事業を行う団体を対象に活動費の一部を助成。※2年以上の活動実績、年度収入が1億円未満であることなどの制限あり
助成内容:1件あたり100万円を上限として事業にかかる金額を助成。助成対象活動期間は1〜3年間

助成制度名:重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成(外部リンク)
実施団体:公益財団法人ベネッセこども基金
対象:重い病気により長期の入院や療養をしている子どもたちの意欲を高め、学びに取り組むための手助けとなる事業を行う団体を対象に活動費の一部を助成
助成内容:1,000万円程度の活動資金の助成。助成対象活動期間は1年間

助成制度名:スタートアップ助成(外部リンク)
実施団体:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京
対象:東京の芸術シーンで活動を展開していこうとする新進の芸術家や芸術団体がチャレンジする新たな芸術創造活動を助成。東京都内または海外で実施される公演、展示、アートプロジェクト、国際フェスティバルへの参加、国際コラボレーションなどが対象
助成内容:個人に最大30万円、団体に最大100万円(助成対象経費の範囲内)

3. NPO法人・一般社団法人が受給可能な助成金を探す方法

ここでは、NPO法人や一般社団法人が受給できる助成金を探すときにおすすめのポータルサイトを紹介する。

3-1.内閣府のホームページ

内閣府では、各省庁や自治体の協力を得て、全国のNPOなどの非営利活動団体を対象とした支援・協働施策に関するデータベース「NPO施策ポータルサイト」(外部リンク)を公開している。

補助金や助成金といった「資金に関する支援」をはじめ、「人材育成・人材交流に関する支援」「設備・備品に関する支援」、行政とNPOの協働事業やイベントの企画・運営などを支援や情報発信に関する支援など、さまざまな支援策の情報を検索することが可能だ。

内閣府が運営する「NPO施策ポータルサイト」

3-2. CANPAN

日本財団が運営するコミュニティサイト「CANPAN(カンパン)」は、市民やNPO、企業などの活動を支援し、連携を促すことで、より良い社会づくりを目指するプロジェクトだ。

サイトのメニューにある「助成制度」(外部リンク)では、「新着順」「募集開始時期」「募集終了時期」で、助成制度の情報が閲覧できるほか、詳細検索では、「助成制度名」「実施団体名」「対象事業」「募集期間」「助成金額」など、豊富な選択肢の中から絞り込んでの検索も可能だ。

これから募集予定の助成金情報も掲載しているため、幅広く情報収集ができることも利点といえる。

日本財団が運営する「CANPAN」の助成制度紹介ページ
「CANPAN」の詳細検索画面

3-3. 助成・奨学金情報navi

公益財団法人助成財団センターが運営する「助成・奨学情報navi」(外部リンク)「では、助成する側と助成を求める側の情報交流の場」の提供をミッションに、助成金・奨学金の募集情報の検索サービスや、助成財団が実施する募集情報のリアルタイム発信、助成財団の事業活動のニュースの配信などを行なっている。

助成金の募集情報の検索サービスでは、「研究」や「事業・活動」「組織運営支援」といった事業形態や「保健・医療」「環境」「教育・スポーツ」といった事業分野、「募集期間」などの条件を指定して検索できる。

公益財団法人助成財団センターが運営する「助成・奨学金情報navi」の助成金検索画面

4. 助成金の申請から受給するまでの流れ

全国規模の助成金の募集期間は、5・6月、10・11月の主に2つのシーズンに分かれる。シーズンを迎える前の準備から受給されるまでの流れを、手続きする上でのポイントと共に紹介する。

  1. 団体情報の整理
    • どの助成金申請にも共通して必要になるのが団体の情報だ。活動内容や目的を分かりやすく、かつ魅力的に紹介できるように、事前に整備しておこう。
  2. 助成金の情報収集
    • ネットを活用して、団体の目的や活動内容に適した助成金を探そう。募集要項や受給条件はもちろん、過去の採択案件なども参考にするとよい。
  3. 応募書類の準備
    • 申請書のほかに、事業計画書や決算書や予算書、団体概要など必要な書類は助成元によって異なる。審査では、助成財団の事業目的と合致しているか、プログラムによる効果や成果、将来性は見込めるか、事業の実現性やそもそも団体として信頼できるか、などが重視されるので、それらの点を意識してできるだけ論理的に書類を作成しよう。
  4. 申請
    • 指定された方法で期日までに余裕を持って申請しよう。あらかじめ申請までのスケジュールを作成しておくと安心だ。
  5. 審査・採択
    • 書類選考のみの場合もあるが、面接やプレゼンテーションなどが行われる場合も多い。その際にも、できるだけ簡潔かつ論理的に説明できるよう準備するようにしよう。
  6. 交付決定・受給
    • 助成金は、すぐに取得できるものもあるが、助成対象期間中や事業完了後に、報告書類の作成・提出を経て交付されることが多い。

4-1.助成金についての詳細は専門家へ相談する

助成金の申請には、情報収集から書類作成、提出、受給後の手続きまで多くの労力を要する。助成金の種類によっては、申請要件や手続きが複雑なものもある。特に、NPO法人については事業の公益性や情報公開のあり方、一般社団法人に関しては定款の解釈や収益事業との関係など、高度な専門性を必要とする項目もある。

そのため、助成金の申請や書類作成においては、社会保険労務士・税理士・コンサルタントなどのサポートを受けることもおすすめだ。専門家に依頼することにより、適切な助成金の選定、申請書作成のサポート、手続きの効率化などのメリットが得られる。

まとめ

NPO法人・一般社団法人が助成金を活用できれば、資金繰りの改善や、活動の幅を広げることができる。

助成金を受給するには、助成団体が提示する条件を満たした上で、書類を作成し、審査を通過すること。条件・募集時期・決定時期などは、助成団体ごとで異なる。

法人を運営している、または立ち上げを検討している人は、各ポイントを押さえた上で、自分の団体に合った助成金の情報を集めて整理しよう、

日本財団では、公益活動団体に対して、幅広い分野で助成金による支援を実施している。複数の助成プログラムで申請募集を行っているため、助成金の申請を検討中の方は日本財団の助成ポータルサイト(外部リンク)もチェックしてみてほしい。

参考文献:

内閣府NPOホームページ「NPO施策ポータルサイト」(外部リンク)

内閣府NPOホームページ「認定NPO法人制度の概要」(外部リンク/PDF)

内閣府NPOホームページ「助成機関が NPO 法人を選考する際の視点(国内事例) 」(外部リンク/PDF)

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