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一般社団法人を設立するまでの流れは? 必要な書類や費用も解説
- 一般社団法人は、法務局への登記申請のみで設立でき、行政の許認可は必要ない
- 定款には、「絶対的記載事項」という7つの項目を記載しなければ設立できない
- 設立に必要な書類は、定款認証時と設立登記申請で異なる
執筆:日本財団ジャーナル編集部
一般社団法人の設立には、社員の確保や必要書類の作成など、いくつかのステップを踏む必要がある。株式会社と比較すると簡単に設立することができるが、専門的な知識を要する部分もある。
本記事では、一般社団法人を設立するまでの流れや、設立に必要な書類などについて解説する。
1. 一般社団法人設立のメリット
一般社団法人を設立するメリットは、次の通りである。
- 設立手続きが簡単 → 法務局への登記申請のみで設立でき、行政の許認可が不要
- 小規模での運営ができる → 最低2名の社員で設立できる
- 設立にかかる費用が比較的安い → 資本金が不要で、設立費用も株式会社などと比べて安い
- 事業内容に制限がない → NPO法人と比べ、幅広い事業活動を行える
- 行政等による監督が少ない → 行政からの監督や報告義務が少ないため、運営の自由度が高い
- 社会的信用が高まる → 法人格を持つことで社会的な信用力が高まる
- 税制上の優遇措置が受けられる → 非営利型の場合、収益事業以外の所得には課税されない
- 一般社団法人だけに認められる基金制度がある → 寄付が集めやすくなる
将来的な事業の拡大や円滑な社会活動を進める上で、一般社団法人設立のメリットを十分に感じられるだろう。
関連記事:一般社団法人とは? NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介(別タブで開く)
2. 一般社団法人を設立するまでの8ステップ
一般社団法人を設立するまでの流れを8つのステップに分けて紹介しよう。
STEP1:2名以上の社員を確保する
STEP2:定款を作成する
STEP3:公証役場で定款認証を受ける
STEP4:設立に必要な書類を作成する
STEP5:法務局に設立登記を申請する
STEP6:登記事項証明書や法人の印鑑証明書を取得する
STEP7:役所で法人設立届出の手続きを行う
STEP8:設立後に必要な手続きを行う
2-1. STEP1:2名以上の社員を確保する
一般社団法人を設立するためには、2名以上の社員と1名以上の理事が必要だが、社員と理事は同一人物でも構わない。ただし、設立時に理事会を設置する場合は、理事3名以上と監事1名以上、つまり最低4名が必要となる。
理事会を設けるかどうかは任意である。一般社団法人では、重要事項の決定は社員総会で決める必要があるが、理事会を設置すれば、社員総会を開かなくても意思決定が行えるため迅速な対応が可能となる。
ここでいう「社員」は、一般的な会社の社員とは異なり、株式会社にとっての株主に近い立ち位置で、社員総会で議決権を持つ人のことを指す。
2-2. STEP2:定款を作成する
定款とは、「法人の憲法」とも呼ばれ、一般社団法人の根本原則となるものである。一般社団法人の定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」として、次の7項目がある。

絶対的記載事項は1つでも欠けていると、定款が無効になる。また絶対的記載事項がなければ法人設立が認められない。
定款の記載事項には、このほかに「相対的記載事項」「任意的記載事項」がある。
相対的記載事項は、記載しなくても定款自体の効力は有効だが、定款に記載しない限り、その事項の法的効力が認められない事項のこと。例えば、理事会の設置、監事の設置、残余財産の帰属先などがこれにあたる。
任意的記載事項は、公序良俗や法令に反しない限り、法人が自由に定めることができる事項。定款に記載しなくても有効だが、あえて記載することで内容の変更に定款変更の手続き(社員総会の特別決議)が必要になり、ルールの法的根拠を強める効果がある。例えば、役員の数、会員の種別、事業内容の詳細などがこれにあたる。
2-3. STEP3:公証役場で定款認証を受ける
定款認証とは、法的な手続きに則って定款が作成されたことを公証人が証明すること。
作成した定款は、公証役場(※)で認証を受ける必要があり、認証を受けなければ法務局で設立登記をする際に受理されない。定款認証を受ける公証役場は、主たる事務所を設置する都道府県内にある公証役場であれば、どこでも構わない。
- ※ 「公証役場」とは、法務局が管轄する機関で、公証人が公正証書の作成や私文書の認証などを行っている。参考:日本公証連合会「公証役場一覧」(外部リンク)
2-4. STEP4:設立に必要な書類を作成する
定款の認証を受けた後は、法務局で設立登記申請を行う必要がある。
必要な書類は定款認証時と設立登記申請で異なる。具体的な書類内容については、次の章「一般社団法人の設立に必要な書類」で紹介する。
2-5. STEP5:法務局に設立登記を申請する
設立登記の申請は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行う。
一般社団法人の設立日は、申請が承認された日ではなく、法務局に設立登記の申請をした日となり、この日から活動を行うことが可能だ。
登記が完了するまでには1〜2週間ほどかかる。

2-6. STEP6:登記事項証明書や印鑑証明書を取得する
登記事項証明書(登記簿謄本)や法人の印鑑証明書は、法人用の銀行口座開設や税務署などへの各種届出の際に必要となる。
登記事項証明書(登記簿謄本)や法人の印鑑証明書を取得するには、法人印鑑カードが必要である。法人印鑑カードは、登記完了後に法務局で発行できる。発行の際には、法人の実印と代表者の身分証明書等が必要となる。
2-7. STEP7:各役所で法人の設立届出を行う
登記事項証明書(登記簿謄本)や印鑑証明書を取得後は、次の役所で法人設立届出の手続きを行う。
- 税務署
- 都道府県税事務所
- 市区町村役場
特に、税務署への届出は期限内(設立の日以後2カ月を経過する日まで)に行わなければ、税金面で不利になる可能性がある。
また、年金事務所やハローワーク、労働基準監督署でも届出の手続きが必要なケースもある。
2-8. STEP8:法人設立後に必要な手続き
一般社団法人の設立登記が完了し、各役所への届け出を終えたら、事業を開始するために必要な手続きを行う。

3. 一般社団法人の設立に必要な書類
一般社団法人を設立するためには、定款認証と設立登記申請のために書類を作成しなければいけない。この章では、それぞれ必要な書類を解説する。
3-1. 定款認証
定款認証の方法には、紙定款と電子定款の2種類があり、若干必要書類が異なる。
- 定款(3部:原本、謄本、保存用)
- 設立時社員全員分の印鑑証明書(発行後3カ月以内)
- 設立時社員全員の実印(電子定款の場合は電子署名)
- 実質的支配者(※)となるべき者の申告書
- 身分証明書(運転免許証など)
- 委任状(代理人が定款認証を行う場合) ・実印(当日、原本還付等の手続きで使用)
- ※ 実質的支配者」とは、法人の事業経営を実質的に支配する権限を持つ個人(一般社団法人の場合は通常、設立時社員など)を指す
定款は、会社保存用・公証役場用・法務局用の3部用意する。
管轄となる公証役場によって指定の書類が異なる可能性があるため、あらかじめホームページなどで事前に確認しておくとスムーズに進められるだろう。
3-2. 設立登記申請
登記申請に必要な書類は、次の通りである。
- 定款
- 委任状
- 設立登記申請書
- 登記事項を記録したCD-R(またはオンライン申請・QRコード付き書面申請も可)」
- 設立時代表理事・理事・監事の就任承諾書
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 設立時代表理事選定書
- 設立時社員の決議書
- 印鑑届書
法務局のウェブサイト「商業・法人登記の申請書様式」(外部リンク)で申請書様式をダウンロードできるので、ぜひ活用しよう。
4. 一般社団法人の設立にかかる費用
一般社団法人の設立には、定款認証や登記申請などの手続きに伴い、次の費用がかかる。

そのほか、印鑑証明書交付の手数料や登記簿謄本や印鑑証明証の取得費用がかかり、自分で手続きをした場合は15万円ほど必要になる、
専門的な知識が必要な場面も多いため、設立手続きの代行を司法書士や行政書士に依頼する場合もある。その場合は、5万円から10万円程度かかる。
まとめ
一般社団法人の設立には、2名以上の社員の確保、定款の作成、公証役場での定款認証、法務局への設立登記申請などの手続きが必要。定款には、目的、名称、主たる事務所の所在地などの絶対的記載事項を記載しなければならず、1つでも欠けると定款は無効となる。
また、定款認証には、定款、設立時社員全員分の印鑑証明書、実質的支配者となるべき者の申請書などが必要だ。
一般社団法人を設立する費用としては、定款認証手数料(5万円)、登録免許税(6万円)などがかかる。司法書士や行政書士などにも5万円から10万円で設立手続きの代行を依頼できるから、スムーズに設立を望むなら活用をおすすめする。
参考文献:
法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」(外部リンク)
法務省「公証人による定款認証について」(外部リンク/PDF)
- ※ 掲載情報は記事作成当時のものとなります。