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“なんとなく”のイメージで政治を捉える若者 ~18歳意識調査アンケートより~

日本の国旗を掲げ、政策リストを手にした女性リーダーが、制服姿の若者たちから注目と期待を寄せられている様子を描いたイラスト。中央の若者には日の丸、右の若者には期待を示すキラキラの吹き出しがある。
総理に期待することとは

取材:日本財団ジャーナル編集部

日本財団は、2025年11月、「総理大臣交代」(別タブで開く)をテーマに74回目の18歳意識調査を実施しました。有識者に印象に残った調査結果についてインタビューを通してお考えをお聞きしていきます。

「総理大臣交代」の調査で、日本の変革に関する高市(たかいち)総理への期待感を尋ねたところ、「変えてくれると思う」「少しは変えてくれると思う」との回答の合計が80パーセントを超えました。

質問:総理大臣就任からこれまでの高市氏の動きを見て、高市氏は日本を変えてくれると思いますか。(単一回答)

18歳意識調査の棒グラフ。「総理大臣就任からこれまでの動きを見て、高市氏は日本を変えてくれると思うか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体 (n=1,000)のうち、「変えてくれると思う」と回答した人は45.5%。「少しは変えてくれると思う」と回答した人は37.4%。「あまり変えてくれないと思う」と回答した人は3.0%。「変えてくれないと思う」と回答した人は2.1%。「わからない」と回答した人は9.8%。「答えたくない」と回答した人は2.2%。
男性 (n=513)のうち、「変えてくれると思う」と回答した人は45.4%。「少しは変えてくれると思う」と回答した人は37.4%。「あまり変えてくれないと思う」と回答した人は3.5%。「変えてくれないと思う」と回答した人は2.9%。「わからない」と回答した人は8.8%。「答えたくない」と回答した人は1.9%。
女性 (n=487)のうち、「変えてくれると思う」と回答した人は45.6%。「少しは変えてくれると思う」と回答した人は37.4%。「あまり変えてくれないと思う」と回答した人は2.5%。「変えてくれないと思う」と回答した人は1.2%。「わからない」と回答した人は10.9%。「答えたくない」と回答した人は2.5%。
出典:日本財団18歳意識調査 第74回 テーマ「総理大臣交代」

初の女性総理大臣誕生に対する印象を尋ねた質問では、44.4パーセントの女性が「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」と回答し、男性の27.7パーセントよりも16.7ポイント多くなりました。また、「性別は関係ないと感じた」との回答は男性が38.8パーセントであった一方、女性では24.0パーセントで14.8ポイントの差がつきました。

質問:日本で初めて女性の総理大臣が誕生したことについて、あなたの印象に最も近いものを選んでください。(単一回答)

18歳意識調査の棒グラフ。「初の女性総理大臣誕生に対する印象」という質問に回答した人の項目別割合(%)。
全体 (n=1,000)のうち、「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」と回答した人は35.8%。「性別は関係ないと感じた」と回答した人は31.6%。「日本社会の歴史的な前進を感じた」と回答した人は20%。「世界的に見ても自然な流れだと感じた」と回答した人は6%。「女性だからこそ不安を感じた」と回答した人は1.3%。「わからない」と回答した人は4%。「答えたくない」と回答した人は1.3%。
男性 (n=513)のうち、「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」と回答した人は27.7%。「性別は関係ないと感じた」と回答した人は38.8%。「日本社会の歴史的な前進を感じた」と回答した人は18.9%。「世界的に見ても自然な流れだと感じた」と回答した人は7.8%。「女性だからこそ不安を感じた」と回答した人は1.8%。「わからない」と回答した人は3.3%。「答えたくない」と回答した人は1.8%。
女性 (n=487)のうち、「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」と回答した人は44.4%。「性別は関係ないと感じた」と回答した人は24%。「日本社会の歴史的な前進を感じた」と回答した人は21.1%。「世界的に見ても自然な流れだと感じた」と回答した人は4.1%。「女性だからこそ不安を感じた」と回答した人は0.8%。「わからない」と回答した人は4.7%。「答えたくない」と回答した人は0.8%。
出典:日本財団18歳意識調査 第74回 テーマ「総理大臣交代」

これからの日本の政治で注力してほしいテーマに関しては、「経済・景気対策」「少子化・子育て支援」「税制改革」「教育」「移民・難民」が上位5位となりました。

質問:これからの日本の政治で、特に力を入れて取り組んでほしいテーマを3つまで教えてください。

18歳意識調査の棒グラフ。「これからの日本の政治で注力してほしいテーマ」について回答した人の項目別割合(%)。
全体 (n=1,000)のうち、「経済・景気対策」と回答したのは38.1%。「少子化・子育て支援」と回答したのは35.4%。「税制改正」と回答したのは26.5%。「教育」と回答したのは22.2%。「移民・難民」と回答したのは20.3%。「社会保障(年金、保険料等)」と回答したのは18.5%。「働き方改革」と回答したのは17.6%。「外交・安全保障」と回答したのは16.4%。「ジェンダー平等・性の多様性」と回答したのは9.6%。
「環境・気候変動・エネルギー」と回答したのは8.8%。「防衛」と回答したのは8.5%。「衆院議員定数の削減」と回答したのは6.1%。「地方創生」と回答したのは5.3%。「科学技術・イノベーション促進」と回答したのは5.0%。「憲法改正」と回答したのは4.8%。「防災」と回答したのは4.5%。「デジタル化」と回答したのは4.3%。「復興支援」と回答したのは3.4%。「副首都構想の実現」と回答したのは1.0%。「その他」と回答したのは1.1%。「特にない」と回答したのは6.1%。「答えたくない」と回答したのは1.6%。
出典:日本財団18歳意識調査 第74回 テーマ「総理大臣交代」

これらの若者の「高市総理への期待感」や「外国人への意識」について、有識者にお話をお聞きします。

今回は、大阪経済大学准教授の秦正樹(はた・まさき)先生にお話を聞きました。秦先生は、政治心理学・政治行動論・現代日本政治分析を専門とし、若年層の政治意識や投票行動の研究もされています。

秦正樹先生

高市総理への高い期待感は“なんとなく”のイメージによるもの

今回の調査では、高市総理が日本を「変えてくれると思う」「少しは変えてくれると思う」と回答した方が8割を超えており、若者の高い期待感が読み取れます。

この背景として、ハネムーン効果の影響は一定程度あると考えられます。環境変化や新しい施策の直後に、一時的な期待感や新鮮さから満足度や支持が非常に高くなる多くの国で共通して見られる現象です。2025年11月の調査当時、高市総理は就任したばかりであるため、過去の業績の評価もなく、将来に対する期待を純粋なイメージだけで評価した結果と言えるでしょう。

ただし、ハネムーン効果以外の要素もあります。2024年の総裁選の際に、石破(いしば)氏と高市氏の評価を調査したデータがあるのですが、特に若者の間で高市氏の評価は高かったのです。高市氏に対する支持はもともと高く、その傾向が続いていると見なせるのではないかと思います。

特定の派閥に所属しておらず強い政策も持たない高市氏が支持されていたのは、安倍(あべ)元総理に支持されていたというイメージも大きいと考えています。

当時の若者の安倍氏支持は非常に強く、岩盤支持層とまでいわれていました。安倍氏の長期政権とそれによる安定的な状況を多くの若者が記憶しており、それが岸田(きしだ)・石破政権で崩れてきたなかで、再び安定を求めて安倍氏と同様の政治を行ってくれそうな高市総理へ期待している、という構図です。

つまり、高市総理への高い期待感は、若者の考えや価値観を反映したものというよりも、ハネムーン効果や安部政権のイメージによるものだと思います。

本調査の別の質問で、「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」との回答が女性で44.4パーセント、男性では27.7パーセントとなっていますが、一般的な傾向とは異なる結果であったことに驚いています。

朝日新聞の同時期の世論調査では、支持割合は男性が73パーセント、女性で65パーセントでした。男女差も朝日新聞の調査のほうが少ないうえに、男性のほうが支持割合は多い結果となっています。

「期待」と「支持」で調査項目が異なるので厳密な比較はできないのですが、本調査は17~19歳という若い年代が対象であるため、“なんとなく”のイメージで回答をした人が一定数いた、ということなのかもしれません。また、女性のほうが期待を感じた割合が多いというのは、やはり女性は女性の政治家にシンパシーを感じやすいということなのだと思います。

一方で、「性別は関係ない」と回答した割合は男性のほうが多いことから、男性の若者にとっては、総理大臣は男性・女性とは関係のない存在と見ているのに対して、女性は女性か男性かを重視しているように本調査のデータからは読み取れます。

断定はできませんが、女性は”女性の代表”として、男性は”仕事人”として高市総理を見ているのかもしれません。

政治への関心が高くないからこそ、排外主義は顕在化していない

高市氏に注力してほしいテーマとして、「移民・難民」が5位になっています。

リベラルの立場から「移民・難民を受け入れるべき」という方向で関心を持っている人もいるとは思うのですが、今回の調査対象の年代でそのような人が多いとは考えにくいので、むしろ「制限をかけるべき」という立場の人が多数だと予想されます。

自由記述欄の回答でも、外国人に対するネガティブなコメントが見られます。

実際に外国人と接する機会が多いのは大学生であり、主にアルバイト先です。大学の学生に、外国人に対する印象を聞いたことがあるのですが、「アルバイト等で外国人の対応に苦慮している」と回答する人が多いです。

例えば、居酒屋で働く学生は、お通しの料金に文句をつけられたり、店内を散らかされたりした経験があり、「外国人が嫌いというわけではなく、実態として治安が悪くなってしまっているように感じる」と答えました。

私が普段関わる外国人は大学の先生や役職の高い企業の方ですが、一般的な外国人に関しては、実は大学生がインターフェースになっている場合が非常に多いことを理解すべきかもしれません。普段から外国人と触れ合い、対応に苦慮している若い人からすれば、ネガティブな感情を抱いてしまうことは当然のようにも思います。

外国人への問題意識は、2025年参院選で参政党が「日本人ファースト」を掲げたことで、争点として広がったといえると思います。

ただし、外国人へのネガティブな反応が排外主義に直接つながっているというより、純粋に利害の問題であると捉えています。つまり、外国人への対応について、従来よりも、金銭的・時間的・労力的なコストが上がっているという認識があるため、問題として意識しており、そのコストを下げてほしいというふうに考えている、ということです。

日本では、ヨーロッパの極右政党ほどの運動にはなっておらず、排外主義的な主張する政党が少し台頭しているというところに留まっているのが実態です。これは、多くの若い人が政治にそこまで関心を抱いていないがゆえであり、もしも関心やエネルギーがあれば、海外のような排外主義などの極端な政治運動が顕在化してしまうリスクはあるでしょう。

すると、長期的に見て、自分たちの首を絞めるようなことを自分たちで選ぶ可能性も高くなります。

投票するかどうかは若者の自由。するなら長期的な視野も持つべき

若い人は政治への関心が低いとよくいわれます。

2026年2月の衆議院選挙で中道改革連合が議席を大幅に減らしました。当時、私が行った世論調査で中道改革連合の印象について尋ねたところ、「好き嫌い以前に、政党の存在を知らない」という回答が多くなりました。

つまり、そもそも認知されておらず、印象を抱くに至っていなかったのです。実際、私が大学で受け持っている300人程度の授業でも、普段からテレビを見ているのは1~2割程度で、両親が見ているバラエティー番組を片手間に見るといった状態です。

中道改革連合は結成から選挙までの期間が短かったこともあり、若者の間で認知が進まなかったことは仕方ないともいえるのですが、普段から政治のニュースに触れている人が少ないということも確かだと思います。

ですが、「政治を身近に感じましょう」といった言説に対しては個人的には否定的な立場です。特にSNSを通じて政治を身近に感じるとき、増税や外国人問題や不正など身近にあるネガティブなことから入ってしまい、陰謀論などに陥るというパターンも考えられます。

選挙に関しても、全員が必ず投票には行くべきだとはあまり思っていません。2025年の参議院選挙では、25歳から29歳、30歳代の投票率は過去より上がり、かつ、参政党への投票率の上がり幅は特に大きかったです。

もちろんどの政党に票を投じるかは自由ですが、同時に、その投票行動が日本の将来にどのような意味を持つのかという点も改めて社会全体で考える必要があると思います。

知り合いの外国人の先生たちは、「日本にもトランプのような排外主義の波が来たのではないか」という懸念を表明されており、「普通の日本人が怖くなってきた」と発信されている方もいます。先人たちが積み重ねてきた日本の評判を落としてでも得られるメリットは何かを少し立ち止まって考えるべきでしょう。

また、外国人の流入は、人口減少への対応策としても位置付けられています。つまり、外国人を排斥することは、将来の日本にとってマイナスの影響を及ぼす可能性が高い、ということです。

長期的な視点でしっかりと考えた上で、「国力が低下しても、日本が貧しい国となっても、外国人がいない純粋な日本人だけの国の方が住み心地良い」と感じるのであればそうした政党に票を投じれば良いとは思いますが、「なんとなくアルバイト先にいる外国人が鬱陶しいから」という理由で投票するのであれば、一歩立ち止まって、冷静に日本のあるべき姿を考えたほうが良いということです。

それを考えることが面倒だとか今はわからないと感じるのであれば投票に行かず、様子見をしても良いと思っています。

「日常の中に政治がある」とよくいわれますが、同時に、政治とは基本的に社会全体に影響を与えるものでもあります。自分の一票は自己満足のためだけに投じるのではなく、社会のために投じる一票でもあります。その一票が現在の、そして将来の日本社会に大きな影響を与えること、すなわち何十年後の自分の子どもに影響を与えることでもあるという視点を今こそ持つべきです。

若者の皆さんは、20年後、30年後に自分たちが社会の主役になったときへの影響についても想像力をもって、自分の一票を投じてほしいなと思います。

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