【現地レポート】長野県小布施町、ボランティア向けに重機講習
川の水があふれ、大量の泥が流れ込んだ被災地で、ニーズがあったのはショベルなどの重機でした。ただ、重機はあっても運転できる人が足りないという課題がありました。そこで、現場に入るボランティアでも重機を扱えるようにするための講習会が開かれました。

2月上旬、長野県小布施町。雪が舞う草地に小型ショベルが並んでいました。ヘルメット姿の男女21人が3人ずつ1組になり、穴の掘り方などを学ぶ講習を受けました。学科もあり、受講者は小型の重機を扱えるようになります。
主催したのは近くにある浄光寺住職の林映寿さん(43)。林さんは東日本大震災の後に「日本笑顔プロジェクト」と名付けた被災地支援を始め、被災した宮城県女川町などの支援に取り組みました。

それだけに「自分が住んでいるところが被災地になるとは思わなかった」と話します。今回の千曲川の水害は、堤防が決壊した長野市の被害が注目されましたが、小布施町も被害を受けています。リンゴや特産の栗を含めた農産物の被害額は約1億4,500万円にのぼりました。県によると、143ヘクタールの農地には約20万立方メートルの泥がたまってしまったのです。

講習に115人 参加者手応え
林さんはなんとか農家の力になりたいと考えました。でも、泥をかき出したくても重機が足りない、さらに重機があっても動かせる人がいない、という事態に直面しました。重機を扱える人を増やす方が被災地のためになると考え、講習会を開くことにしたのです。2月までに6回を開くと、目標の100人を上回る115人が参加しました。
2月上旬の講習会では特別にバギーカーも用意しました。東日本大震災でがれきの中では車が役に立たなかったのを林さんは見ました。その後バギーカーを購入。普段は除雪に使っていましたが、今回の被災地では大活躍しました。水を含んだ泥の現場に消防車などが近づけない一方、バギーカーが威力を発揮したのです。

長野県須坂市の篠塚明美さん(52)は仕事を休んで参加。「触るのも、乗るのも、動かすのも初めてでした。扱えるようになって、お手伝いができれば、と思いました。数をこなせば、自分でもできるような気がします」と手応えを感じた様子でした。
長野市の福島礼史さん(53)は「まだまだ畑の片付けが必要で、ボランティアでも重機のオペレーターができると聞いて参加しました。現場は変化していて、ニーズがどんどん掘り起こされていると思います」と話しました。

平時から次への備えを
林さんが今回の被災を通じて感じたのは、平時からいかに災害に備えるか、ということです。そこで、ふだんから重機の扱いを体験できる環境づくりを提案しています。「平時を楽しみ有事に備えることが大切です。被災した地域だからこそ、次への備えとして取り組んでいく必要があります」と語りました。
