【現地レポート】長野市、浸水した高校 体育館も道具も被害
長野県内は千曲川周辺で広範囲な水害があり、学校が相次いで被害を受けました。長野市の長野俊英高校も被害を受けた学校の一つです。川からあふれた水は約1キロ離れた敷地に押し寄せました。

長野俊英高校は篠ノ井地区にあります。この一帯は、川が堤防を越えて、約370ヘクタールが浸水しました。付近の水路からも水があふれ、被害は校内全体に及びました。校舎1階や体育館、グラウンドには泥も流れ込み、1週間にわたり休校となりました。

水に浸かった体育用具を新調
「何から手をつけていいのか、どこに助けを求めればいいのか」。高校を運営する学校法人篠ノ井学園の職員中澤圭吾さん(31)は被災直後、頭を抱えました。グラウンドが一面泥水につかり、水が引いた後に消毒をする必要がありました。そこで地域の住民や生徒がグラウンドや駐車場に消石灰をまくボランティア作業を担い、なんとか1週間で授業の再開にこぎつけました。

体育館では、フロアの床上浸水だけでなく、倉庫にあった体育道具が水浸しになりました。中澤さんは「卒業までの単位は決まっており、体育の授業として成り立たせるには道具が必要でした。屋内競技をするにしても、体育館が使えない状態になっていました」と説明します。

そこで日本財団の支援を受け、被災した体育道具を新たにそろえることにしました。マットやロイター板、ソフトボールに使うグローブ、サッカーボールなどを買いました。

反り返ったフロア 残った爪痕
取材した2月上旬、真新しいマットが倉庫に置いてありました。「迅速な対応がとてもありがたかったです」と中澤さん。

体育館では生徒が授業に臨んでいました。泥水につかったフロアの一部は反り返ったままで、年内には全面張り替えになるそうです。校内の廊下で床下が見えるふたを開けると、まだ水分を含んでいる地下の様子を確認できました。

「今回の台風で被害を受けることはノーマークでした。事前の情報に対して、もっと警戒をする必要があると思いました」。中澤さんは今回の災害をそう振り返りました。