※当事業は2024年6月をもって助成を終了いたしましたが、日本財団では引き続き支援を続けてまいります。

障害者支援の取り組み
日本財団は1962年の設立以来、国内外における障害者支援を活動の柱の一つとして位置づけてきました。近年では、特に東南アジア諸国において、視覚・聴覚・肢体に障害のある方々を対象に、能力開発(奨学金や職業訓練)、障害当事者を支える専門家や団体への支援を実施しています。
また、これらの地域では、障害を理由に学校卒業後の就職に困難を抱えるケースが多く見られるため、日本財団は障害当事者に対する面接トレーニングなどのスキル支援や、企業の人事担当者を対象とした視覚障害者の雇用に関するセミナーなども展開しています。しかし、障害者が社会の一員として働き、活躍するためには、障害当事者側の努力だけでは不十分であり、企業側の理解と行動が必要不可欠です。世界銀行によると、世界の人口の15%が何らかの障害を抱えています。このような背景から、日本財団は障害者インクルージョンに特化した世界最大の経営者ネットワークであるValuable 500との連携を始めました。
Valuable 500とは
Valuable 500は、「ビジネスにおける障害者の排除に終止符を打つ」ことを目的として活動する、500社以上の企業およびパートナーが加盟するグローバル経営者ネットワーク組織です。加盟企業は、障害インクルージョンを加速するという目的に向けて結束しています。ビジネスセクターから変革を起こすことによって社会変革をもたらしていくことを目指しています。加盟企業は業種も多岐にわたり、Apple、Google、Microsoft、P&G、Salesforce、Sonyといったグローバル企業合計15社が「アイコニック・パートナー」としてこの取り組みを財政的に支えています。Valuable 500加盟企業ネットワーク全体での時価総額は23兆ドル以上(約3,400兆円)、年間収益は8兆ドル超(約1,180兆円)、総雇用者数は全世界で2,200万人以上にのぼります。創設者は、視覚障害当事者の社会起業家であり、世界経済フォーラムにてヤング・グローバル・リーダーズに選出されたキャロライン・ケーシー氏。ユニリーバ元CEOのポール・ポルマン氏が理事を務めており、Deloitteのアンナ・マークス氏、Salesforceのマーク・ベニオフ氏など、世界を代表する経営者たちがValable500の活動を支援しています。
Valble500の加盟企業には、以下の3つの重要分野において具体的な行動を求めています。
- リーダーシップ:経営者が障害者インクルージョンを経営課題として掲げること
- 情報開示:障害者就労に関する各企業のデータを集め、現状を明確にすること
- 表現と参加:障害のある人々の声を反映し、全ての意思決定の過程に参加できるようにすること
日本財団によるValuable 500への支援
(1)直接支援(2020~2022年度)
日本財団はV500が障害者インクルージョンに特化した世界最大の企業ネットワークを目指していた点、CEO自らのコミットメントを必須としていた点を評価し、企業側の理解と行動を加速させるため、Valuable 500のグローバル・インパクト・パートナーとして、2020~2022年度の3年間にわたり約9億円の支援を行いました。この支援により、Valuable 500は以下の成果を達成することができました。
- Valuable 500の成長とCEOの巻き込み:500社のグローバル企業およびそのCEOから、障害者インクルージョンに関する明確なコミットメントを引き出し、世界最大のCEOコミュニティを構築しました。
- 障害者インクルージョンKPIの策定:ESGと障害に関する包括的な調査を基に、世界経済フォーラムにて「ESGと障害者データ:インクルーシブな報告に向けて」を発表し、5つのグローバルKPI(目標とガバナンス、労働力の代表性、従業員リソースグループ、トレーニング、デジタルアクセシビリティ)を提示しました。
- 人材育成プロラム:世界中の若手リーダー75名を対象とした障害インクルーシブ・リーダー育成プログラムを開発し、世界水準の研修・戦略モジュールを提供しました。また、2025年にはさらに3グループへのプログラム実施が予定されており、準備を進めています。
- 戦略的フレームワークの策定:2025年に向けて世界的なビジネス変革を起こすために、報告、リーダーシップ、代表性の3つを柱としたシンクロした行動(Synchronized Collective Action)の枠組みを作りました。
(2)連携の継続(2023年度以降)
Valuable500への直接支援は終了しましたが、日本財団はValuable500との連携を継続しています。
2025年12月3日〜4日、日本財団はValuable 500および日本経済新聞社と共催で、東京にて国際サミット「SYNC25」を開催します。SYNCは、Valuable 500が掲げる行動原則「シンクロした行動(Synchronized Collective Action)」を意味しています。この国際サミットには、加盟企業CEOをはじめととする経営幹部や世界の障害者コミュニティからの代表者たちが一堂に会し、ビジネスにおける障害者インクルージョンを目指すして社会にメッセージを発信することが最大の目的としています。サミットでは、基調講演、分科会、企業間ダイアローグ、企業による展示などが行われ、障害インクルージョンの事例紹介や意見交換の場としても活用される予定です。
日本財団は、日本発のグローバルな障害者インクルージョンの推進に向けた社会変革の機会として、SYNC25に大きな意義を感じています。SYNC25をより実のある会議とするために開催に向けて日本国内の加盟企業を対象とした勉強会等を行っていく予定です。
ニュース
障害インクルーシブなビジネスを目指す組織V500の国際サミット東京開催が決定
日本財団は、障害者の排除をなくすための世界的なパートナーシップ組織V500を支援しています。この度、V500・日本経済新聞社と共に「SYNC(シンク)25アカウンタビリティ・サミット」を2025年12月
V500の第1回 企業間事例共有会をコクヨの“ダイバーシティオフィス”で開催
日本財団は、ビジネスにおける障害者インクルージョンの推進を目指す世界最大規模の企業ネットワークであるThe Valuable 500(V500)の趣旨に賛同し、2021年よりグローバル・インパクト・パー

世界最大規模の障害者雇用促進を目指す経営者ネットワーク組織「The Valuable 500」が始動
日本財団が支援する、ビジネスにおける障害者インクルージョン (雇用・製品サービスが障害者にも不自由なくアクセスできる)推進に取り組む経営者ネットワーク組織「The Valuable 500(V500)」

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お問い合わせ
日本財団 特定事業部 障害インクルージョンチーム
- メールアドレス:100_shougai_inclusion@ps.nippon-foundation.or.jp