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日本の若者における皇室の存在感は? ~18歳意識調査アンケートより~

日の丸が掲げられた伝統的な建物の前で、頭に「?」マークを浮かべている制服姿の若者のイラスト。若者が皇室に対して「よく知らない」「関心が薄い」といった現状や疑問を抱いている様子を表現している

取材:日本財団ジャーナル編集部

日本財団の18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」(別タブで開く)では、皇室への関心・関心が高まる取り組み、皇室への親しみ等について、若者の意識を調査しています。

調査によると、皇室への関心については、全体の約4割が「関心がある」と回答しています。

質問:あなたは、皇室に関心がありますか。(単一回答)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは、皇室に関心がありますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。

全体(n=1,000)のうち、「関心がある」と答えたのは9.8%。「どちらかといえば関心がある」と答えたのは34.5%。「どちらかといえば関心がない」と答えたのは28.8%。「関心がない」と答えたのは26.9%。
男性(n=513)のうち、「関心がある」と答えたのは11.9%。「どちらかといえば関心がある」と答えたのは30.6%。「どちらかといえば関心がない」と答えたのは29.0%。「関心がない」と答えたのは28.5%。
女性(n=487)のうち、「関心がある」と答えたのは7.6%。「どちらかといえば関心がある」と答えたのは38.6%。「どちらかといえば関心がない」と答えたのは28.5%。「関心がない」と答えたのは25.3%。
出典:日本財団18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」

皇室への親しみについても、約半数が「親しみを持っている」と回答しています。

質問:あなたは、皇室に親しみを持っていますか。(単一回答)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは、皇室に親しみを持っていますか」という質問に回答した人の項目別割合(%)。

全体(n=1,000)のうち、「親しみを持っている」と答えたのは12.1%。「どちらかといえば親しみを持っている」と答えたのは34.5%。「どちらかといえば親しみを持っていない」と答えたのは25.5%。「親しみを持っていない」と答えたのは27.9%。
男性(n=513)のうち、「親しみを持っている」と答えたのは13.6%。「どちらかといえば親しみを持っている」と答えたのは33.5%。「どちらかといえば親しみを持っていない」と答えたのは25.0%。「親しみを持っていない」と答えたのは27.9%。
女性(n=487)のうち、「親しみを持っている」と答えたのは10.5%。「どちらかといえば親しみを持っている」と答えたのは35.5%。「どちらかといえば親しみを持っていない」と答えたのは26.1%。「親しみを持っていない」と答えたのは27.9%。
出典:日本財団18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」

他の世代ではどうでしょうか。

NHKが2019年に行った「皇室に関する意識調査(※1)」(外部リンク/PDF)では、40代~70歳以上において、7割以上が「関心がある(※2)」、「親しみを感じている(※3)」と回答しています。相対的に、若者の方が皇室への関心や親しみは低いのかもしれません。

  • 1.2019年9月28日から2日間、全国の18歳以上の男女に対し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、2,790人のうち、55パーセントにあたる1,539人から回答を得た
  • 2.「大いに関心がある」「多少は関心がある」の合計
  • 3.「とても親しみを感じている」「ある程度親しみを感じている」の合計

では、若者の皇室への関心や親しみは、どのようにすれば高まるのでしょうか。

皇室への関心が高まる取り組みを調査した項目では、約半数は「わからない/特に考えられるものがない」と回答しました。これを除くと、約2~3割の人が「自身と年齢の近い皇室の方々によるSNSでの発信」「天皇皇后両陛下によるSNSでの発信」「宮内庁によるSNS」と回答しています。

質問:どのような取り組みがあれば、あなたの皇室に対する関心が高まると思いますか。最大3つ、当てはまるものを選択してください。

※上記質問「あなたは、皇室に関心がありますか。」で「どちらかといえば関心がない」「関心がない」と回答した人のみに表示
※SNSとは、YouTube、X、Instagramを指す

18歳意識調査の横棒グラフ。「あなたは皇室に関心がありますか」という前の質問に対し、「どちらかと言えば関心がない」「関心がない」と回答した人のみに質問。
質問内容は、「どのような取り組みがあれば、あなたの皇室に対する関心が高まると思いますか。最大 3つ、当てはまるものを選択してください。」というもの。

「自身と年齢の近い皇室の方々によるSNS(YouTube 、X 、Instagram など)での発信」を選んだのは、全体(n=557)で27.1%。
「天皇皇后両陛下によるSNS (YouTube 、X 、Instagram など)での発信」を選んだのは、全体(n=557)で26.0%。
「宮内庁によるSNS (YouTube 、X 、Instagram など)での発信」を選んだのは、全体(n=557)で22.1%。
「テレビでの皇室に関する情報の特集・発信」を選んだのは、全体(n=557)で13.8%。
「その他の皇室の方々によるSNS (YouTube 、X 、Instagram など)での発信」を選んだのは、全体(n=557)で7.2%。
「雑誌での皇室に関する情報の特集・発信」を選んだのは、全体(n=557)で1.6%。
「その他」を選んだのは、全体(n=557)で0.5%。
「わからない/特に考えられるものがない」を選んだのは、全体(n=557)で48.1%。
出典:日本財団18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」

「わからない/特に考えられるものがない」が半数を占めている点は着目すべきです。

これは、皇室に対し「関心のある・なし」の問題以前に、「そもそも皇室のことを考えたことがない」若者が一定数いる、ということを示唆していると推察されます。つまり、「そもそも皇室のことを考えたことがない」からこそ、「どうすれば関心を高められるかもわからない」ということなのかもしれません。

皇室のことを考える機会がないということは、一定の若者の間で、皇室は「話題にすらならない」存在になっている可能性も否定できません。

では、どのような対策を講じれば、皇室は若者に「考えてもらえる・話題にしてもらえる」存在になるのでしょうか。

上記調査結果では、関心の高まる取組として、「SNSでの発信」が上位3項目を占めています。SNSをうまく活用できれば、「そもそも皇室のことを考えたことがない」若者にもアプローチできるのかもしれません。

すでに、2024年4月から宮内庁がInstagramを使った情報発信を始めています。若者はこの動きをどれくらい把握しているのでしょうか。

宮内庁がInstagramを使った情報発信を始めたことについて、約7割は「知らなかった」と回答し、「知っていて、フォローしている」と回答した人はわずか約5パーセントにとどまる結果となりました。

質問:あなたは、宮内庁が2024年4月から、Instagramを使った情報発信を始めたことを知っていましたか。(単一回答)

18歳意識調査の100%積み上げ横棒グラフ。「あなたは、宮内庁が2024年4月から、Instagramを使った情報発信を始めたことを知っていましたか。」という質問に回答した人の項目別割合(%)。

全体(n=1,000)のうち、「知っていて、フォローしている」と答えたのは4.6%。「知っていたが、フォローはしていない」と答えたのは29.2%。「知らなかった」と答えたのは66.2%。
男性(n=513)のうち、「知っていて、フォローしている」と答えたのは5.7%。「知っていたが、フォローはしていない」と答えたのは27.9%。「知らなかった」と答えたのは66.5%。
女性(n=487)のうち、「知っていて、フォローしている」と答えたのは3.5%。「知っていたが、フォローはしていない」と答えたのは30.6%。「知らなかった」と答えたのは65.9%。
出典:日本財団18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」

一方で、NHKのニュースによると、宮内庁のInstagramアカウントのフォロワー約180万人のうち、17パーセントが13歳から34歳までの若年層とのことです(2024年12月時点)。

18歳意識調査の対象は17歳から19歳なので、単純な比較はできませんが、「知っていて、フォローしている」の5パーセントという結果からすると、NHKの17パーセントは少し多いようにも感じます。

また、海外王室が運用するInstagramアカウントを見ると、ウィリアム皇太子夫妻は約1,680万人、英国王室は約1,322万人にフォローされています(2025年2月21日時点)。宮内庁の約180万人と比較すると、非常に多くの国民から関心を持たれていることが分かります。

若者における皇室の存在感を高めるという観点で、海外王室のSNS運用は今後の広報戦略を検討する上で何かしらのヒントにはなりそうです。

駒澤大学で皇室や海外王室について研究をされている君塚直隆(きみづか・なおたか)先生に、若者における皇室の関心や親しみの低さの背景、存在感を高めるために必要な施策等を聞きました。

君塚直隆先生

学校教育において、”皇室”は学習対象から欠落している

日本財団の調査結果では、「皇室に関心がある」と答えた若者は全体の4割程度で、「親しみがある」は半数を切っており、これは危機的な状況だと感じます。

こうした関心や親しみの低さの背景には、明らかに教育の問題があります。中学校や高校で、どれほど「天皇」や「皇室」について学ぶ機会があったでしょうか。ほとんどの人が「ほぼない」と答えるはずです。

マルクス主義に傾いた戦後歴史学の影響により、教育の中で皇室について「教える必要がない」とされてきたからです。

また、憲法教育でも、象徴天皇制が定められた第1条は学ぶものの、第6条や第7条の国事行為(首相の任命、国会召集、法律の公布など)は無視されがちで、戦争や戦力に関する9条ばかりが注目されます。こうした状況では、「天皇」が何をしているのかを国民が正しく理解できるはずがありません。

実際、「天皇」は首相を任命し、法案が成立する際にも署名を行うなど、極めて政治的な意味合いを持つ国事行為を担っています。しかしながら、多くの人が「天皇は美味しいものを食べて、ニコニコしているだけ」といった誤解を持っています。

本来は国家元首に近い働きをしているにもかかわらず、憲法上は象徴とされており、その乖離が国民の理解を曖昧にしています。国際的には、天皇皇后陛下が諸外国の元首と対等に接遇していることからも、国家元首としての認識が実務上根付いています。

ちなみに、若者が皇室に関心を示さないのは、日本に限ったことではありません。イギリスや他のヨーロッパ諸国でも同様に、若者の王室への関心は低下しています。

低下の背景は日本と同様で、昔は歴史学として学ぶ内容のうち、ほぼ100パーセントが王室に関するものだったのですが、現在は下の階級やジェンダー、人種に配慮した歴史学となっており、王室の比率が歴史学のうちの数パーセント程度になっているためです。

イギリスでも、65歳以上の人は80パーセント以上が王室に関心があり「君主制を残すべき」と思っているが、これが50代、40代、30代でだんだん下がり、一番若い世代でさらに関心が低くなります。王様・天皇に関する教育比率の低下傾向については、日本もヨーロッパ諸国も同じような状態といえると思います。

いずれにしても、日本の若者の皇室に対する関心の低さは深刻であると感じます。「天皇」や「皇室」の活動について正しく知る機会がなければ、そもそも関心を持つこともできないので、まずは「天皇」や「皇室」の役割を体系的に学ぶことができるよう、教育の在り方を変えていくことが重要です。

皇室に関する情報発信に改善の余地あり

教育以外に、「天皇」や「皇室」の活動が国民にしっかりと伝わっていない、という広報の問題があります。

宮内庁は2024年4月から、Instagramを使った情報発信を始めています。日本財団の調査結果では、情報発信について「知っていてフォローしている」と回答した人は約5パーセントですが、NHKの調査では、フォロワーのうち「17パーセントが13歳から34歳までの若年層」とのことです。

双方の調査の対象年齢が異なることを考慮すると、17歳から19歳におけるInstagramの認知度は、日本財団の結果が実態に近いと感じています。つまり、多くの国民は宮内庁のInstagramを認知していないということです。

SNSでの広報活動で最も進んでいるのはイギリス王室です。イギリス王室では、「ダイアナ事件」(1997年)を契機に広報を抜本的に見直しました。当時「王室は税金を食いつぶしている」「チャリティはダイアナだけ」という誤解が国民の間で広がっており、これに対抗するためエリザベス女王やチャールズ皇太子(当時)が自ら積極的に活動し始めたのです。

1997年に王室のホームページを立ち上げてから、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube等のSNSで、公務やプライベートの様子を発信してきました。その努力の結果、国民の支持は回復し、2022年のエリザベス女王即位70周年式典(プラチナ・ジュビリー)は大いに盛り上がりました。

また、70周年式典(プラチナ・ジュビリー)直後にエリザベス女王が崩御された際は、国民の多くが悲しみ、24時間並んで弔意を表す人も見られました。その人に「なぜ並んでいるのか」と聞くと、「女王は自分たちのために人生を捧げてくれたので、お礼がいいたい」と言ったそうです。

このように、女王が何をしてくれたのかを一般の国民が言えるという状況こそが、非常に大切です。

SNSやマスメディアを駆使して、皇室の公務やプライベートの様子を発信すべき

日本の皇室においても、公務の様子を積極的に発信し、国民にわかりやすく伝えることが重要です。

宮内庁のInstagramの投稿内容は、淡々と公式行事の写真や映像を載せる程度で、特に若者が関心を持ちやすいコンテンツの見せ方ができていないように感じます。全てのコンテンツをInstagramに投稿するのでなく、Instagramは過去の行事の記録、X(旧Twitter)は未来の予定、YouTubeでは長尺の映像を投稿するなど、SNSを機能で棲み分けることが重要です。

例えば、宮中晩餐会や公務の様子をYouTubeに上げることで、「皇族ってこんなに忙しいんだ」と若者にも伝えることができます。今年は戦後80年という節目(取材当時の2025年)でもあり、沖縄や広島・長崎への訪問などの予定もあるので、このような公務の様子を積極的に発信すべきです。

公務だけでなく、プライベートの写真もSNSで投稿すべきです。キャサリン妃は子どもの誕生日に自分たちで撮った写真をInstagramに載せています。天皇陛下も写真を撮るのがお好きなため、ご自身で撮られた写真をたくさん投稿されても良いのではないでしょうか。

また、皇室のSNSのアカウント名についても、工夫の余地があると思います。

現在は「宮内庁」という行政機関の名称となっており堅い印象があるので、親しみをもってもらうためにも「皇室」に変更したほうが良いと思います。他国では「ロイヤルファミリー(イギリス王室)」「プリンス&プリンセスオブウェールズ(ウィリアム皇太子夫妻)」「クイーンラーニア(ヨルダン王妃)」等のパーソナルな名称でSNSが運用されています。

さらに、海外の方に皇室の理解を深めてもらうためにも、ホームページの英語版の作成も急務です。

SNSだけでなく、その他マスメディアとの連携も重要です。皇室の活動を紹介する番組として、「皇室日記(日本テレビ:毎月第4日曜 6時00分~6時15分)がありますが、早朝に放送されているため、若者は視聴し辛いと思います。

また、イギリスやフランス、ドイツでは、国王や大統領、首相によるクリスマスメッセージやニューイヤーメッセージが毎年放送されますが、日本では過去に二度だけ新春メッセージがホームページにアップされたのみで、継続的に放送されているわけではありません。

例えば、天皇陛下による新春メッセージを、毎年元旦の午後7時から10分間だけ、全局が輪番制で放送するということもできると思います。同時に、YouTubeでも同じ映像を流せば、多くの国民に天皇陛下のお言葉を届けることができます。

特に若い皇族による等身大の姿の発信が重要

若者からの支持を得るには、皇族の若い世代をアピールすることが重要です。

皇族や王族に対しての「特別扱いだ」という見方はどこの国でも存在します。日本人は、「男女同権」のような「権」を単なる権利のことだと認識している人が多いのですが、これは勘違いです。権利を得られるということは、相対する義務を果たさなければならない、ということを意識する必要があります。

今後20年から30年で、愛子さまと同じ世代の王族たち(例:ベルギーのエリザベート皇太子、ノルウェーのイングリッド・アレクサンドラ王女、スペインのレオノール皇太子)がみんな女王になりますが、彼女たちは18歳を過ぎてから、陸軍士官学校や海軍士官学校に通い、陸軍の特殊部隊に在籍したりしています。今後、国軍を担う存在になるからです。

士官学校では、実際に射撃や匍匐前進(ほふくぜんしん)といった訓練に従事しており、その姿をSNSに投稿しています。これにより、「この人たちは全然特別じゃない」や「いざとなれば司令官・総司令官として軍に参加する覚悟があるんだ」というのが国民にちゃんと伝わり、若者からの支持を得ています。

単なる事実ではなく、人物像が伝わるような投稿をする、というのが重要なポイントです。

日本でも、悠仁さまのような若い皇族の、等身大の姿を発信していくべきだと思います。大学の活動に取り組まれている姿を積極的に見せることで、同世代である若者に関心を持ってもらうきっかけになると思います。

皇室を存続させるためにも、未来を担う若者が関心を持つべき

他国では、王族が政治を正常化する役割を担っている場合があります。

例えばベルギーでは、フランス語を話す民族とオランダ語を話す民族が対立した際、政権がとん挫して541日間新しい政権をつくれなかった時があったのですが、その際に調整役として対応したのがドイツ出身の今の王室でした。また、イギリスでは、毎週水曜の夕方に王様と首相が2人だけで会談を行う時間を設けており、おかしな政策を施行しようとすると、その会談で却下されます。

そのような、政党政治が混乱した際に調整してくれるような、もしくは、事前に混乱を防いでくれるような、超越した存在がいてくれることは、今後の日本にとっても重要になってくるのではないでしょうか。

皇室は今、後継者不足や支持基盤の縮小という「じり貧」状態に陥っており、国民の関心の低下が続けば、皇室自体が自然消滅してしまう可能性すらあります。

これまで述べてきた通り、皇室の存在は日本や国民にとって重要な意味を持ちます。皇室を長きにわたり存続させるためにも、未来を担う若者が、「天皇」や「皇室」に関心を持ち、その必要性について認識することが重要となるのです。

以上

  • 掲載情報は記事作成当時のものとなります。