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SDGsを達成(たっせい)するには、みんなでみんなを支(ささ)えることが大切
小学生のためのSDGs入門記事。最終回(さいしゅうかい)となる第17回は、目標(もくひょう)17「パートナーシップで目標(もくひょう)を達成(たっせい)しよう」について考えてみましょう。
みなさんは「パートナーシップ」という言葉を聞いたことがありますか? パートナーシップとは、ひとりではできないことを、仲間(なかま)と力を合わせて取り組むことです。
SDGsには17の目標(もくひょう)があります。これらを達成(たっせい)するためには、世界中の全ての国や地域(ちいき)、都道府県(とどうふけん)や市町村などの自治体(じちたい)、企業(きぎょう)、そして私(わたし)たち一人一人が協力(きょうりょく)し合うことが必要(ひつよう)です。
なぜなら、貧困(ひんこん)や気候変動(きこうへんどう)、教育の問題など、SDGsであつかう課題(かだい)は、どれも世界中の国々がつながっていて、一つの国や地域(ちいき)だけでは解決(かいけつ)できないからです。
連載(れんさい)【小学生SDGsジャーナル】記事一覧(きじいちらん)
途上国(とじょうこく)を中心としたさまざまな問題
SDGsを達成(たっせい)するためには、産業(さんぎょう)が十分に発展(はってん)していない開発途上国(かいはつとじょうこく)が貧(まず)しさからぬけ出すことが必要(ひつよう)です。
しかし、開発途上国(かいはつとじょうこく)は次のような課題(かだい)をかかえています。
●国を発展(はってん)させるお金が足りない
開発途上国(かいはつとじょうこく)が学校や病院、道路といったインフラをつくるのを助けるために、日本やアメリカ、イギリスといった産業(さんぎょう)が発展(はってん)した先進国は政府開発援助(せいふかいはつえんじょ)と呼(よ)ばれる、お金や技術(ぎじゅつ)の面でのサポートをしています。
しかし、それでもまだお金が足りていません。
インフラをつくるために借金(しゃっきん)をしなければならなくなり、その結果(けっか)、世界でもっとも貧(まず)しい69カ国のうち、37カ国が借金(しゃっきん)を返すのに苦しんでいます。
●先進国との技術(ぎじゅつ)格差(かくさ)
先進国と開発途上国(かいはつとじょうこく)の間には大きな技術(ぎじゅつ)の差(さ)があり、電気や水道といった生活に必要(ひつよう)なインフラが整っていない地域(ちいき)がたくさんあります。
また、インターネットは新しい技術(ぎじゅつ)を生み出すのに欠(か)かせないインフラですが、いまだ世界では3人に1人がインターネットにアクセスできていません。
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貿易(ぼうえき)による格差(かくさ)
先進国と開発途上国(かいはつとじょうこく)で、物の値段(ねだん)がちがうのも貧(まず)しさの原因(げんいん)です。
例(たと)えば、開発途上国(かいはつとじょうこく)で売っているTシャツは、日本で買うよりもずっと安いことがあります。物の値段(ねだん)が全体的(ぜんたいてき)に安いからです。
しかし、そのTシャツを輸入(ゆにゅう)して、日本のような先進国で売ると、もっと高い値段(ねだん)で売ることができます。
なぜなら、日本では開発途上国(かいはつとじょうこく)よりも物の値段(ねだん)が全体的(ぜんたいてき)に高いからです。
このように開発途上国(かいはつとじょうこく)で作った商品を先進国で売る場合、物の値段(ねだん)のちがいがあることで、開発途上国(かいはつとじょうこく)の人々が自分の国で得(え)る利益(りえき)よりも、先進国の人が、発展途上国で作られた商品(しょうひん)を輸入(ゆにゅう)して先進国で売るほうがたくさんお金を得(え)ることができます。
こういった仕組(しく)みのせいで、開発途上国(かいはつとじょうこく)の人々は貧困(ひんこん)からぬけ出しにくい状態(じょうたい)が続(つづ)いています。
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SDGsに関(かん)する統計(とうけい)データが足りない
SDGsの目標(もくひょう)がどれだけ達成(たっせい)できているかを調べるには、信頼(しんらい)できる統計(とうけい)データが必要(ひつよう)です。
しかし、開発途上国(かいはつとじょうこく)ではそういったデータが足りないことがあり、特(とく)に子どもに関(かん)するデータが少ないことが問題になっています。
データがないと、どこにどんな問題があるのかが分からず、対策(たいさく)を立てたり活動を計画したりするのが難(むずか)しくなります。
SDGsを達成(たっせい)するためのいろいろなパートナーシップの形
SDGsの目標(もくひょう)を達成(たっせい)するために、さまざまな形のパートナーシップが行われています。
国と国の取り組み
SDGs達成(たっせい)のために国と国とが行う取り組みのひとつに「南南協力(なんなんきょうりょく)」があります。
これは、開発途上国(かいはつとじょうこく)同士(どうし)が、おたがいに支援(しえん)し合うこと。多くの開発途上国(かいはつとじょうこく)が地球の南半球にあることから付(つ)いた名前です。
ある分野の知識(ちしき)や技術(ぎじゅつ)が進んでいる開発途上国(かいはつとじょうこく)が、ほかの開発途上国(かいはつとじょうこく)を支援(しえん)します。
また、「三角協力(さんかくきょうりょく)」と呼(よ)ばれる取り組みは、先進国や国際機関(こくさいきかん)が開発途上国(かいはつとじょうこく)同士(どうし)の協力(きょうりょく)をお金や技術(ぎじゅつ)などの面から支援(しえん)することです。
国と企業(きぎょう)の取り組み
日本では「地方創生(ちほうそうせい)SDGs」という取り組みがあります。
これは、国と地方自治体(ちほうじちたい)、企業(きぎょう)が協力(きょうりょく)して、地方の問題を解決(かいけつ)しながらSDGsの目標達成(もくひょうたっせい)を目指すものです。
また、「マルチステークホルダー・パートナーシップ」という、国や自治体(じちたい)、企業(きぎょう)、NPOなど、さまざまな立場の人たちが協力(きょうりょく)する取り組みもあります。
企業(きぎょう)と企業(きぎょう)の取り組み
経済産業省(けいざいさんぎょうしょう)が進める「パートナーシップ構築(こうちく)宣言(せんげん)」という取り組みがあります。
これは、大企業(だいきぎょう)と中小企業(ちゅうしょうきぎょう)が協力(きょうりょく)して、おたがいの企業(きぎょう)がともに栄(さか)えていくことを目指すものです。
企業(きぎょう)と個人(こじん)の取り組み
投資(とうし)とは、自分の持っているお金を使って、何かに役立てることです。例(たと)えば、みなさんがお小づかいを使って本を買うのも、知識(ちしき)を得(え)るための投資(とうし)といえます。
投資(とうし)のひとつである「ESG投資(イー・エス・ジーとうし)」は、環境(かんきょう)を大切にしたり、社会のためになることをしたり、正しいやり方で会社を運営(うんえい)したりしている会社にお金を使うことを指しています。
「ESG」とは、E:環境(かんきょう)、S:社会、G:企業(きぎょう)の運営(うんえい)、を英語(えいご)で表したときの頭文字を合わせたものです。
このような投資(とうし)が増(ふ)えると、会社はよりSDGsを意識(いしき)した活動をするようになります。
そうすることで、みんなで力を合わせてSDGsの目標達成(もくひょうたっせい)に近づくことができるのです。
日本財団(にっぽんざいだん)の取り組み
「みんなが、みんなを支える社会 」の実現(じつげん)を目指した取り組み(別タブで開く)
日本財団(にっぽんざいだん)は、ひとりひとりができるアクションで社会を変(か)えることを目指して活動している団体(だんたい)です。
自分たちだけで活動するのではなく、多くの団体(だんたい)や個人(こじん)とパートナーシップを組んで活動しています。
例(たと)えば、海をきれいにする活動や、子どもの貧困(ひんこん)をなくす活動など、さまざまな分野で多くの人々と協力(きょうりょく)し、どうすれば解決(かいけつ)に向かっていけるか考えながら取り組んでいます。
このSDGs17の目標(もくひょう)について私(わたし)たち一人一人ができることはなんでしょうか? その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。
本や図書館、インターネットで調べてみよう!
- 学校や地域(ちいき)で、みんなで力を合わせて行っているSDGsの活動を見つけてみよう
- 日本がどのような国際協力(こくさいきょうりょく)をしているか調べてみよう
ESG投資(とうし)について調べてみよう。どんな会社が注目されているのか、その理由は何かも調べてみよう
「パートナーシップの問題」について学べるおすすめの本
『おはなしSDGs パートナーシップで目標(もくひょう)を達成(たっせい)しよう シオンの花言葉 (おはなしSDGs 17)』(外部リンク)
現代(げんだい)を代表する一流童話作家がSDGsをテーマに書き下ろしたシリーズです。
小学5年生の実花と、実家のコンビニで働(はたら)くアルバイトのランさんをはじめ、日本にいる外国人との交流を通じて、パートナーシップの大切さを考える物語です。
『こどもSDGs達成(たっせい)レポート SDGs達成(たっせい)に向けて、何を取り組むべきかがわかる本』(外部リンク)
2030年の達成(たっせい)を目指して、2015年に始まったSDGs。しかし、半分の時間が過(す)ぎた2023年の時点で、17の目標(もくひょう)のうち世界全体で達成(たっせい)できている目標(もくひょう)はまだひとつもありません。
この本では、それぞれの目標(もくひょう)がどのくらい達成(たっせい)できているか、これから私(わたし)たちが何をすべきか、について理解(りかい)を深めるのを助けてくれます。
まわりの人に話を聞いてみよう!
- お父さんやお母さん、学校の先生に、自分の仕事や活動の中で、他の人や団体(だんたい)と協力(きょうりょく)していることはあるか聞いてみよう
- おじいさんやおばあさんに、昔と今とを比(くら)べて、人々の助け合いや協力(きょうりょく)の仕方に変化(へんか)があるか聞いてみよう
- 友だちと話し合って、学校や地域(ちいき)で、SDGsにどんな協力(きょうりょく)ができるか考えてみよう
- いろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう
自分にできることからやってみよう!
- 調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう
- 学校や地域(ちいき)のボランティア活動に参加(さんか)してみよう
- 友だちと協力(きょうりょく)して、SDGsの目標達成(もくひょうたっせい)に向けた小さな活動を始めてみよう。たとえば、ごみ拾(ひろ)いや節電(せつでん)の呼(よ)びかけなど、自分たちがすぐできることを考えてみよう
自分で解決方法(かいけつほうほう)を見つけるのにおすすめ!
SDGs(持続可能〈じぞくかのう)な開発目標〈かいはつもくひょう〉)を学べる教材(外部リンク)
世界の問題や国際協力(こくさいきょうりょく)について学べる、JICAが提供(ていきょう)するSDGsの教材集(きょうざいしゅう)です。
例(たと)えば、SDGsの各目標(かくもくひょう)についての説明(せつめい)や、世界の現状(げんじょう)を知るためのクイズ、そして国際協力(こくさいきょうりょく)の取り組みをしょうかいする資料(しりょう)や動画などがあります。
これらの教材(きょうざい)を使って、みんなで話し合ったり考えたりしながら、SDGsについて楽しく学ぶことができます。
SDGs CLUB(外部リンク)
日本ユニセフ協会(きょうかい)が運営(うんえい)する、子どもたちがSDGsのことを知ったり、SDGsが示(しめ)す課題(かだい)について学んだりできるサイトです。
17の目標(もくひょう)それぞれについて、分かりやすい説明(せつめい)や、自分にできることのヒントが書かれています。
目標(もくひょう)17のパートナーシップについても、具体的(ぐたいてき)な例(れい)を挙(あ)げて説明(せつめい)しています。
小学生SDGsジャーナル(別タブで開く)
日本財団(にっぽんざいだん)が運営(うんえい)する公式(こうしき)メディア「日本財団(にっぽんざいだん)ジャーナル」の小学生向けSDGs入門記事です。
SDGsの17の目標(もくひょう)を分かりやすい言葉で解説(かいせつ)しながら、世界や日本の問題、それに対する取り組みなどを知ることができます。
また、自分でできることや、さらにくわしく学べる方法(ほうほう)などもしょうかいされています。
[参考文献]
United Nations SDGs Report 2024「17.Partnerships for the Goals」(外部リンク)
国際開発センター「SDGsハンドブック:目標17 パートナーシップで目標を達成しよう」(外部リンク)
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