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【解剖実習(かいぼうじっしゅう)】食(た)べ物(もの)を無駄(むだ)にせず、食(た)べて応援(おうえん)! イカを解剖(かいぼう)してみよう

[対象(たいしょう):小学校1年生~6年生]
「フードロス」という言葉(ことば)を知(し)っていますか? まだ食(た)べられるのに捨(す)てられてしまう「食(た)べ物(もの)」のこと、「食(た)べ物(もの)を無駄(むだ)にしてしまうこと」をいいます。
世界(せかい)では、たくさんの食(た)べ物(もの)が捨(す)てられていて、大きな問題(もんだい)になっています。
例(たと)えば、お家(うち)でイカのお刺(さ)し身(み)を作(つく)るとき、ゲソ(足)や内臓(ないぞう)はどうしているか知(し)っていますか?
実(じつ)は、イカはほとんど捨(す)てるところがない食(た)べ物(もの)。工夫(くふう)すれば、1匹(ぴき)まるごと、おいしく食(た)べられるんです。
この自由研究(じゆうけんきゅう)では、イカを解剖(かいぼう)して、ほとんど1匹(ぴき)まるごと食(た)べるレシピにもチャレンジ!
この「フードロス」にあわせて、自分(じぶん)が住(す)むまちや、応援(おうえん)したい地域(ちいき)の食(た)べ物(もの)を選(えら)んで、「食(た)べて応援(おうえん)」することも学(まな)んでみましょう。
【自由研究(じゆうけんきゅう)お助(たす)けプロジェクト】記事一覧(きじいちらん)
教(おし)えてくれる先生
早武忠利(はやたけ・ただとし)さん
早武(はやたけ)さんは、魚(さかな)のことならなんでも知(し)っているお魚(さかな)博士(はかせ)。いつもは、一般社団法人(いっぱんしゃだんほうじん)大日本水産会(だいにっぽんすいさんかい)の「魚食普及推進(ぎょしょくふきゅうすいしん)センター」(外部(がいぶ)リンク)で働(はたら)いていて、「魚(さかな)を食(た)べる楽(たの)しさを広(ひろ)げ、水産業界(すいさんぎょうかい)を元気(げんき)にする活動(かつどう)」をしています。

先生の書(か)いた本『ハヤタケ先生の魚食大百科(ぎょしょくだいひゃっか)』(外部(がいぶ)リンク)では、海や魚(さかな)にまつわる知識(ちしき)や、いろいろな魚(さかな)のさばき方、食(た)べ方(かた)などを知(し)ることができます。
「フードロス」と「食(た)べて応援(おうえん)」について調(しら)べてみよう
●「フードロス」は、なぜ起(お)きる?
「フードロス」は、「まだ食(た)べられるのに捨(す)てられてしまう食(た)べ物(もの)」のこと。それでは、どうしてそんなことが起(お)きてしまうのでしょう?
例(たと)えば、こんなものも「フードロス」になります
- お店(みせ)で売(う)れ残(のこ)ってしまったお弁当(べんとう)や食(た)べ物(もの)
- お家(うち)やお店(みせ)で食(た)べ切(き)れなかったごはん
- 見た目がちょっと悪(わる)くて捨(す)てられる野菜(やさい)や果物(くだもの)
- 魚(さかな)の皮(かわ)や、イカの内臓(ないぞう)など、食(た)べられるのに捨(す)てられることが多(おお)い食材(しょくざい)
環境省(かんきょうしょう)の調査(ちょうさ)(※)によると、2023年度(ねんど)のフードロスの量(りょう)は約(やく)464万(まん)トンで、そのうちの半分(はんぶん)は家庭(かてい)から出ているんです。
これは、日本の人口1人あたり毎日(まいにち)おにぎり1つ(103グラム)を捨(す)てているのと同(おな)じくらい。
食(た)べ物(もの)を作(つく)るには、水や土地(とち)、電気(でんき)を使ったり、農家(のうか)さんや漁師(りょうし)さん、工場(こうじょう)で働(はたら)く人たちといった、たくさんの人や資源(しげん)・エネルギーが関(かか)わっ ています。
また、捨(す)てることは、もったいないだけでなく、ごみを運(はこ)ぶための燃料(ねんりょう)を使(つか)う他 (ほか)、ごみを燃(も)やすと二酸化炭素(にさんかたんそ)が出て、特(とく)に水分(すいぶん)が多(おお)い生(なま)ごみは、燃(も)やすために燃料(ねんりょう)を足すこともあるのです。
地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の原因(げんいん)にもなってしまうのです。
●「食(た)べて応援(おうえん)」とは
「食(た)べて応援(おうえん)」とは、特定(とくてい)の地域(ちいき)の食(た)べ物(もの)を買(か)って、その地域(ちいき)や人を応援(おうえん)することです。
自分(じぶん)のまちで作(つく)られた野菜(やさい)や魚(さかな)を買(か)って食(た)べることや、旅行(りょこう)で行(い)ったことがある場所(ばしょ)の特産品(とくさんひん)を買(か)って食(た)べることも、「食(た)べて応援(おうえん)」になります。
「食(た)べて応援(おうえん)」することで、物(もの)が売(う)れると、生産者(せいさんしゃ)さんの仕事(しごと)が増(ふ)える事(こと)につながります。「またおいしい食(た)べ物(もの)を届(とど)けよう」と思(おも)えたり、お店(みせ)やまちが元気(げんき)になったりします。
ほかにも、2024年1月に起(お)きた「能登半島地震(のとはんとうじしん)」の後(あと)、被災地(ひさいち)の食(た)べ物(もの)を買(か)うことで、応援(おうえん)している人たちがたくさんいます。
そうすることで、被災地(ひさいち)に行(い)ってお手伝(てつだ)いができなくても、寄付(きふ)ができなくても、しっかりと力になることができます。
話題(わだい)になっている間(あいだ)だけではなく、ずっと応援(おうえん)を続(つづ)けることも大切(たいせつ)。応援(おうえん)したいまちを選(えら)んで、そのまちの食材(しょくざい)が使(つか)われているお店(みせ)に行くのもいいですね。
食(た)べながら、少(すこ)しいいことをしているな。元気(げんき)がない地域(ちいき)が元気(げんき)になるといいな。そんなことを思(おも)うと、うれしくなって、続(つづ)けることにつながります。
イカについて調(しら)べて、魚屋(さかなや)さんに行(い)ってみよう
●地元(じもと)で買(か)えるイカを知(し)る
世界(せかい)には500種類(しゅるい)以上(いじょう)のイカがいるといわれています。日本で買(か)えるイカだけでも、スルメイカ、ヤリイカ、アオリイカ、コウイカ、ホタルイカなど、いろいろな種類(しゅるい)があります。
スーパーや魚屋(さかなや)さんに並(なら)ぶイカは、季節(きせつ)によって変(か)わります。海(うみ)が近(ちか)い地域(ちいき)なら、取(と)れたてのイカが並(なら)ぶこともあります。
まずは自分(じぶん)のまちのお店(みせ)では、どんなイカが売(う)られているのかを調(しら)べてみましょう。

●近所(きんじょ)の魚屋(さかなや)さんでイカを買(か)ってみる
お家(うち)の近(ちか)くにある魚屋(さかなや)さんに行(い)ってみよう。魚屋(さかなや)さんは、毎朝(まいあさ)市場(いちば)へ行(い)き、新鮮(しんせん)でおいしい魚(さかな)を仕(し)入れている、魚(さかな)の専門家(せんもんか)です。
魚屋(さかなや)さんで売っている魚(さかな)は、少(すこ)し高(たか)いこともありますが、それには理由(りゆう)があるのです。
手間(てま)がかかる取(と)り方(かた)で釣(つ)られていたり、魚(さかな)にストレスをかけないように、やさしい方法(ほうほう)で釣(つ)られていたり、丁寧(ていねい)に扱(あつか)われたりするので、ちょっと高くても、新鮮(しんせん)なのが特徴(とくちょう)です。
ウロコが残(のこ)っていたりすると、網(あみ)ではなく釣(つ)られたのかな? とわかります。
おいしい魚(さかな)やさばき方、食(た)べ方を教(おし)えてくれることもあるので、気になることがあったらお店(みせ)の人に質問(しつもん)してみましょう。喜(よろこ)んで教(おし)えてくれるはずです!
イカを解剖(かいぼう)してみよう
●用意(ようい)するもの
- イカ
- キッチンばさみ
- まな板(いた)
くわしく観察(かんさつ)したい人は、「能登里海教育研究所(のとさとうみきょういくいけんきゅうじょ)」(外部(がいぶ)リンク)が公開(こうかい)している「スルメイカ観察(かんさつ)シート」を見てみましょう。
イカの種類(しゅるい)によって少(すこ)しずつちがいはあるけれど、基本的(きほんてき)な体(からだ)のつくりや仕組(しく)みは同(おな)じ。解剖(かいぼう)をするときに参考(さんこう)にしてみてください。
能登里海教育研究所(のとさとうみきょういくいけんきゅうじょ)「スルメイカ観察(かんさつ)シート」(外部(がいぶ)リンク)

●手順(てじゅん)
[1]まな板(いた)の上に、「ロウト」というイカ墨(すみ)や水が出る部分(ぶぶん)を上にして置(お)きます。
そして、イカの胴体(どうたい)にはさみを入(い)れて、先まで切(き)ります。イカ墨(すみ)が入っている袋(ふくろ)「墨袋(すみぶくろ)」を傷(きず)つけないように、はさみを寝(ね)かせて切(き)るのがポイントです。


[2]イカの胴体(どうたい)を開(ひら)いてみましょう。
真(ま)ん中の一番(いちばん)大きい部分(ぶぶん)が肝臓(かんぞう)、その上に銀色(ぎんいろ)の墨袋(すみぶくろ)、さらにその上に半透明(はんとうめい)の直腸(ちょくちょう)が並(なら)んでいます。
直腸(ちょくちょう)を上から下にロウトの方(ほう)になでると、イカのうんちが出てくるので、よく観察(かんさつ)しましょう(水洗(すいせん )トイレ!)。
この出口の部分(ぶぶん)を指(ゆび)でつまんで上に引(ひ)っ張(ぱ)ると、墨袋(すみぶくろ)がきれいに取(と)れます。

[3]イカの胴体(どうたい)から内臓(ないぞう)を取(と)り出します。
片手(かたて)でイカの胴体(どうたい)をおさえ、もう片方(かたほう)の手で足をしっかりつかみ、エンペラ(三角形(さんかくけい)のヒレ)がある方向(ほうこう)に引(ひ)っ張(ぱ)ると内臓(ないぞう)がきれいに取(と)れます。

[4]食(た)べられない部分(ぶぶん)を取(と)り除(のぞ)いていきます。
イカの足の真(ま)ん中には口があり、さらに口の中には、カラストンビ(くちばし)があります。カラストンビは硬(かた)くて食(た)べられないので、引(ひ)っ張(ぱ)り出しましょう。
このとき、口を引(ひ)っ張(ぱ)るときについてくるイカの食道(しょくどう)も観察(かんさつ)してみましょう。
そして、イカのエラも取(と)り除(のぞ)きます。エンペラがある方向(ほうこう)にエラ心臓(しんぞう )があるので、エラ心臓(しんぞう)を引(ひ)っ張(ぱ)るとツルっととれます。


[5]これでイカを解剖(かいぼう)できました。
食(た)べられないのは肝臓以外(かんぞういがい)の内臓(ないぞう)、とエラ、カラストンビだけです。胴体(どうたい)はもちろん、足やエンペラ、内臓(ないぞう)も食(た)べられます。
タコはエラを食(た)べますし、ホタルイカは内臓(ないぞう)をすべて食(た)べます。そう考(かんが)えると、食(た)べられないと考(かんが)えなくてもいいのかもしれませんね。
真(ま)っ黒(くろ)で食(た)べられなさそうイカ 墨(すみ) も、パスタやリゾットなどの料理(りょうり)に使(つか)われることもあります。

早武(はやたけ)先生による、イカのくわしい解説(かいせつ)動画(どうが)(「魚食普及推進〈ぎょしょくふきゅうすいしん〉センター」公式(こうしき)YouTube内(ない))が公開(こうかい)されています。イカについてもっと知(し)りたいという人は、ぜひ参考(さんこう)にしてみてください。
動画【おうちで食育(しょくいく)『イカ編(へん)①』じっくり観察(かんさつ)してみよう!】
イカのゴロ焼(や)きを作(つく)ってみよう
「ゴロ」とはイカの内臓(ないぞう)のこと。イカは、はさみを使(つか)って切(き)るので包丁(ほうちょう)は使(つか)いません。
オリーブオイルと塩(しお)、しょうゆがあれば、簡単(かんたん)に作(つく)れます。
●材料(ざいりょう)
- イカ
- オリーブオイル 適量(てきりょう)
- 塩(しお) 適量(てきりょう)
- しょうゆ 適量(てきりょう)
●作(つく)り方(かた)
[1]体(からだ)、エンペラ、足など、食(た)べられる部分(ぶぶん)をキッチンばさみで食(た)べやすい大きさに切(き)ります。


[2]フライパン(※)にオリーブオイルを入れて温(あたた)め、イカをいためます。
- ※ 写真(しゃしん)では鍋(なべ)を使用(しよう)しています

[3]イカの色(いろ)が変(か)わったら、内臓(ないぞう)を包(つつ)んでいる薄(うす)い皮(かわ)を指(ゆび)などで破(やぶ)って、中身(なかみ)を搾(しぼ)り出しながらフライパン(※)に入れます。
- ※ 写真(しゃしん)では鍋(なべ)を使用(しよう)しています

[4]フライ返(がえ)しで混(ま)ぜながらよくいためます。

[5]塩(しお)、しょうゆで味(あじ)を整(ととの)えたら完成(かんせい)です。

自由研究(じゆうけんきゅう)まとめ方(かた)の工夫(くふう)
イカの解剖(かいぼう)をして食(た)べてみたら、次(つぎ)のようなポイントをまとめた用紙(ようし)も作成(さくせい)して提出(ていしゅつ)してみよう。
「フードロス」と「食(た)べて応援(おうえん)」について、先生や友(とも)だちにもっと伝(つた)わりやすくなります。
- 自由研究(じゆうけんきゅう)のタイトル
- 例(れい):「イカを解剖(かいぼう)して、『フードロス』と『食(た)べて応援(おうえん)』について学ぼう」
- 買(か)ったイカの種類(しゅるい)や自分(じぶん)のまちのお店(みせ)で売(う)られていたイカの種類(しゅるい)を調(しら)べてわかったこと
- 近所(きんじょ)にあるスーパーや魚屋(さかなや)さんでは、どんな種類(しゅるい)のイカが売(う)られているのかをまとめよう
- ちがう種類(しゅるい)のイカを買(か)ってきて、色(いろ)や大きさ、形(かたち)のちがいをまとめよう
- イカの解剖(かいぼう)の仕方(しかた)をまとめてみよう
- 難(むず)かしい工程(こうてい)について、アドバイスを考(かんが)えてみよう
- イカを観察(かんさつ)して、特(とく)におもしろかったところを考(かんが)えてみよう
- イカのゴロ焼(や)きの作(つく)り方(かた)をまとめてみよう
- 料理(りょうり)の感想(かんそう)も書(か)いてみよう
- 「フードロス」や「食(た)べて応援(おうえん)」のことを調(しら)べてわかったこと
- 日本で発生(はっせい)している「フードロス」、自分(じぶん)の家(いえ)で発生 (はっせい)している「フードロス」について、まとめてみよう
- 自分(じぶん)が「食(た)べて応援(おうえん)」したい地域(ちいき)と特産品(とくさんひん)について、まとめてみよう
- 自分(じぶん)たちにできること
- 「フードロス」を減(へ)らすために、私(わたし)たち一人一人がどのような生活(せいかつ)を送(おく)ればよいか、考(かんが)えてまとめてみよう
- 続(つづ)けられる工夫(くふう)を考(かんが)えてみよう
- ちょっと大変(たいへん)だったり、苦(くる)しみながら続(つづ)けることは難(むず)かしい。無理(むり)なく続(つづ)けられる工夫(くふう)を考(かんが)えてみよう

イベントに参加(さんか)して学びを深(ふか)めよう
魚食普及推進(ぎょしょくふきゅうすいしん)センターでは、魚(さかな)や水産業(すいさんぎょう)について知(し)ることができるさまざまなプログラムや、体験(たいけん)イベントを開催(かいさい)しています。
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また、日本財団(にっぽんざいだん)の海(うみ)と日本プロジェクトでは、海(うみ)にまつわるイベントを開催(かいさい)しています。ホームページでイベントを検索(けんさく)できるので、ぜひ近(ちか)くのものがあれば足を運(はこ)んでみてください。
海(うみ)と日本プロジェクト「海(うみ)のイベント検索(けんさく)」(外部(がいぶ)リンク)
撮影(さつえい):永西永実(えにし・えみ)
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