未来のために何ができる?が見つかるメディア
NPO法人が抱える収入源の課題とは? 安定した活動資金を確保する方法を解説
- 多くのNPO法人では「収入源の多様化」が課題となっている
- 多様な収入源がある中で、安定した収入が見込めるのは「寄付金」「会費」「事業収入」
- 安定した収入を確保するためには、活動内容の発信や寄付者に対するフォローが重要になる
執筆:日本財団ジャーナル編集部
「NPO法人にはどのような収入源がある?」
このような疑問をお持ちの人もいるだろう。
NPO法人として活動するためには、株式会社同様、さまざまなコストがかかる。そのため、安定した収入源を確保できるかどうかが活動をし続けるために重要となる。しかし、収入面での課題を抱えるNPO法人は多い。
この記事では、NPO法人の主な収入源と共に、安定した収入源を作るためのヒントを紹介する。
1.NPO法人の主な収入源
NPO法人には、株式会社と比べて多様な収入源があり、団体によって何を主な手段としているかは異なる。内閣府が実施した「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査」(外部リンク/PDF)では、次のような結果が出ている。

NPO法人(認証NPO法人※)で最も多いのは「会員からの会費収入」で23.7パーセント、続いて「行政からの委託、または指定管理者として業務」が20パーセント、「行政から助成金・補助金」が19.1パーセントという結果になっている。
一方で認定NPO法人(※)・特例認定NPO法人(※)は、「個人や民間(企業)からの寄付金」が25.3パーセントと最も多く、寄付をする側とされる側ともに税制上の優遇措置があることが大きな理由と考えられる。
2番目に多いのは「行政からの委託、または指定管理者として業務」で20パーセント、「行政からの助成金・補助金」が14.3パーセントとなり、NPO法人と同様だ。
- ※
認証法人は、所轄庁で認証を受けたいわゆる一般的なNPO法人。認定NPO法人は、NPO法人の中でも厳しい条件をクリアし所轄庁より認定を受けた法人で、さまざまな税制優遇措置が適用される。特例認定NPO法人は設立5年以内のスタートアップを対象にした制度で、認定NPO法人と認定基準や税制優遇措置の範囲、有効期間などが異なる
関連記事:認定NPO法人とは? NPO法人との違いや申請するメリットを解説(別タブで開く)
では、NPO法人の主な収入源の内容とそのメリット・デメリットについて見ていこう。
1-1.寄付金
寄付金とは、団体や個人から、見返りなしで提供される金銭のこと。NPO法人が受け付けていれば、物品や土地、建物などを寄付することもできる。寄付者が亡くなった際に、遺言書によって財産を譲る「遺贈」も寄付の1つだ。
なお、寄付者が特定の事業や活動などを指定した場合は、用途が制限される。
1-2.会費収入
会員から支払われる費用のこと。「寄付金」は特定の活動に賛同し提供される傾向にあるが、「会費」はNPO法人の事業活動そのものに共感し提供されるもの。用途に制限なく、自由度が高い。月会費や年会費といった形で安定した収入が見込めるのもメリットが大きい。
また、会員は、主に次の2種類に分類される。
- 正会員:総会で議決権を持つ構成員のこと(「社員」ともいう)
- 賛助会員:議決権を持たない会員のこと
1-3.事業収入
非営利活動や、物品の販売やサービスの提供などの収益事業によって得られる収入で、重要な資金源の1つ。NPO法人は、一般企業(営利団体)のように利益を追求するのではなく、収入を得ることで活動資金や人件費を賄っている。
NPO法人が行う事業には、基本的に法人税や事業税などは発生しないが、法で定められた34業種の収益事業を行う場合は、法人税が課せられる。
関連記事:NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる? 計算方法やその他税金を解説(別タブで開く)
1-4.助成金・補助金
国や自治体、企業や財団などの支援団体などが実施する資金援助制度のこと。設立直後や新たな事業を始める際の資金調達として役立つ。申請後、それぞれに設けられた所定の条件を満たせば支給される。
あくまで一時的な資金のため、安定した収入源とはいえない点を理解しておこう。
関連記事:NPO法人が活用できる助成金は? 情報収集の手段や、受給条件・申請方法を解説(別タブで開く)
1-5.委託事業による収入
国や自治体から委託されて行う事業で得られる収入のこと。行政では手が回らない保健や福祉といった分野で委託する場合が多く、例えば、子どもや困窮者などを対象とする支援活動のような直接収入を得ることが難しい事業を行う際に、重要な活動資金となる。
金額は大きい傾向にあるが、単年で委託が終わってしまうケースもあるため、継続した事業を行う場合は頼り過ぎないよう注意したい。
2.NPO法人の収入源に関する課題
内閣府が実施した「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査」(外部リンク/PDF)によると、NPO法人が抱える課題として「収入源の多様化」を挙げた団体が39.8パーセントに上った。また、NPO法人の収益内訳では「事業収益」が81.4パーセントを占めており、収入源に偏りが見られる。


また、活動を継続させるための資金調達に課題を抱えるNPO法人も少なくない。株式会社のように設立資金は不要だが、事業を運営のための資金は必要だ。運営資金が不足し、個人からの借り入れで賄っている場合もある。
3.NPO法人が安定した収入源を確保するために
前段で触れた資金面での課題を解決するためには、安定した収入源を複数確保することが重要だ。NPO法人でどのような活動を行うかによって、中心となる収入源は異なる。
例えば、子どもや困窮者を対象とした支援活動では、直接収入を得ることは難しい。しかし、活動内容に共感が得やすいため会費や寄付金が募りやすかったり、助成金に申請したりして収入源を確保することができる。
一方で、ものづくりの技術支援や保育事業などはサービスを提供することで直接収入が得やすい。この場合は事業収入が基盤となるだろう。
このように、取り組む活動が「寄付型」なのか、あるいは「事業型」なのかを理解して、基盤となる収入源を決める。その上で、他の資金調達を行うことで、バランスよく収入源を確保することができるだろう。
ここからは、主に寄付金や会費、事業収入について、安定して確保するためのポイントを紹介しよう。
3-1.寄付金や会費を集めるためには
内閣府NPO、が実施した「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査」(外部リンク/PDF)によると、NPO法人の69.2パーセントが寄付に対して「特に取り組んでいることはない」と回答。また55パーセントは個人からの寄付がない状況であり、取り組みを行う重要性がうかがえる。


一方で、認定NPO法人と特例認定NPO法人は、前述の「収益内訳」の図にある通り収入のうち寄付金の占める割合が48.2パーセントで、事業収入のみに依存していない。実際に、寄付を集めるためにさまざまな取り組みを行っており、それが成果につながっていると考えられる。
同調査では、認定NPO法人、特例認定NPO法人が次の4つの取り組みを主に行っていることが分かった。
- 寄付金の受け入れ状況や用途に関する資料を作成し、公表している
- SNSを活用し情報を発信している
- 紙媒体やインターネットなどの広告で、寄付金を呼びかけしている
- イベント実施等による対面などで、直接寄付を呼びかけている
また、寄付金のお礼として、お礼状や活動報告、無料の会報を渡している認定NPO法人も多い。そうすることで、継続した寄付につながる可能性が高くなる。
このような取り組みは、会員を増やす取り組みとしても有効といえる。
3-2.寄付金の決済方法を増やす
決済手段が豊富なことで、多くの人から寄付を集めやすくなる。例えば、現金払いにしか対応していない場合、手数料がかからないといったメリットはあるが、遠方の人は寄付することができない。
ホームページに寄付専用ページを設けて、銀行振込やクレジットカード、電子マネー、コンビニ払いなど複数の決済方法に対応させると、より多くの人が支援しやすくなるだろう。
3-3.寄付できる方法を増やす
時代の変化に伴い、寄付の形も多様化している。より多くの人に届けるために、寄付できる方法を増やすのもおすすめだ。
ここからは、いま注目される寄付の仕組みについていくつか紹介する。
3-3-1.クラウドファンディング
プロジェクトを立ち上げた人や団体に対して、それに共感した不特定多数の人が資金を提供する仕組みだ。社会貢献性の高い事業を行うNPO法人にとって相性の良い資金の調達方法といえる。
資金提供者に対して、物品や権利を提供する「購入型」、利子や配当を提供する「金融型」が一般的だが、対価を提供しない、あるいは少ない「寄付型」もある。
例えば、非営利のための寄付募集サービスである、「コングラント」(外部リンク)や社会課題の解決に特化したクラウドファンディングサービス「READYFOR」(外部リンク)などがよく知られており、領収書の自動生成システムや寄付金の管理機能など、寄付を集めるのに便利な機能も設けられている。
関連記事:寄付者にはお礼が重要? 寄付金管理を楽にする「コングラント」に、NPOに必要なことを聞いた(別タブで開く)
3-3-2.マンスリーサポーター制度
毎月、定額の寄付でNPOやNGOの活動を継続的に支援するのが「マンスリーサポーター制度」だ。安定した収入源として見込めるだけでなく、定期的なお知らせや報告を行うことで支援者との関係を深めることができるのも魅力といえる。
ほとんどの団体で、クレジットカードや口座振替など自動引き落としを採用しているため、支援者にとっても負担なく寄付が続けられ、若年層にも受け入れられやすい傾向にある。活動に参加している実感や一体感も生まれやすいため、ボランティアや職員といった将来的に団体の運営に関わる人材の入り口としても活用できる。
3-3-3.ふるさと納税制度
広島市(外部リンク)や鳥取県(外部リンク/PDF)のように、ふるさと納税の寄付先として申請できる自治体がいくつかある。
ただし、自治体によって申請条件が異なる場合があるため、ホームページを確認しよう。例えば、渋谷区(外部リンク)では「認定NPO法人」が対象となっている。
また、申請から寄付の募集開始までに数カ月かかる場合もある。そのほか、申請書類や寄付募集の方法がいくつかあり、手続きが複雑なため、各自治体の担当窓口へ相談するのもおすすめだ。
まとめ
NPO法人が抱える課題として、「収入源の多様化」を上げる団体が多い。継続して活動に取り組むためには、安定した収入源を複数にわたって確保することが重要といえる。
特に、寄付金や会費はNPO法人が主体となって行動しなければ集まらない。そのために、SNSやホームページで活動内容の発信や報告、寄付への呼びかけを積極的に行うことが、安定的な組織の運営につながるだろう。
参考文献:
内閣府NPOホームページ「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査」(外部リンク/PDF)
- ※ 掲載情報は記事作成当時のものとなります。