沿革 2011年〜現在

2011年|アール・ブリュット支援プロジェクトを開始

障害の有無を超えた豊かな才能が生みだすアート作品の魅力を、多くの人に届け、多様な価値観を認め合う社会の実現を目指すプロジェクト。美術として作品を評価し、展示する展覧会の開催や、古民家や蔵を改修した美術館の整備等を推進している。

写真:鞆の津ミュージアムの外観

2011年|東日本大震災への支援

2011年3月11日に発生した東日本大震災での支援活動を行う「ROADプロジェクト」を開始。死亡者・行方不明者の遺族・家族への弔慰金・見舞金の給付、NPOへの緊急助成、被災者をNPOとつないで考える合同プロジェクト(つなプロ)、足湯ボランティアなどを次々に実施、一般の皆さまや企業・団体からの寄付金と、ボートレースの交付金によって、民間ならではの支援活動を行った。

写真:被災地での支援活動の様子

2011年|正式名称「日本財団」に

2011年4月1日、公益財団法人に移行し、これまで通称として使用していた「日本財団」を正式名称として登記。

2012年|笹川陽平会長「ミャンマー少数民族福祉向上大使」に

2012年6月、笹川会長は日本政府から「ミャンマー少数民族福祉向上大使」に任命された。同年10月には「日本財団ミャンマー少数民族支援会議」を東京で開催、ミャンマーの少数民族武装勢力10グループの代表が出席した。翌2013年2月には「ミャンマー国民和解に関し関係国政府等と交渉するための日本政府代表」に任命された。

写真:日本財団から提供された米を笑顔で受け取る様子

2012年|日本財団50周年

2012年10月1日、日本財団は設立50周年を迎え、「人の痛みや苦しみを誰もが共にし、『みんなが、みんなを支える社会』を日本財団はめざします」とする活動理念を公表。1996年以来親しまれてきたシンボルマーク(シェアマーク)を生かした新ロゴマークも発表。クリエイティブディレクターは佐藤可士和氏。

ロゴ:日本財団 THE NIPPON FOUNDATION For Social Innovation

2012年|「振り込め詐欺救済法」に基づく資金で犯罪被害者等を支援

2012年4月、金融庁、内閣府、財務省で構成するプロジェクトチームは、振り込め詐欺の被害者に返金されることなく預金保険機構に納付された資金(預保納付金)で犯罪被害者等を支援する事業の「担い手」として日本財団を選定。2013年度から犯罪被害者の子弟を対象とした「まごころ奨学金」、犯罪被害者等支援を行う団体への助成事業がスタート。

ロゴ:振り込め詐欺救済法に基づく助成事業

2013年|福祉車両が新デザインに

1994年から配備事業を実施している、高齢者や障害者の移送や就労支援のための福祉車両のデザインが一新。
イタリアのアパレル企業「ベネトン」の日本法人、ベネトンジャパン株式会社と共同で「日本財団×ベネトン デザインアクションプロジェクト」を発足。ベネトンが主宰する若手クリエイターの集団「ファブリカ(FABRICA)」から、デザインを無償提供された。

写真:ワゴン車タイプの福祉車両

2013年|国際ハンセン病サミット開催

日本財団と世界保健機関(WHO)が主催で「国際ハンセン病サミット」をタイで開催。3日間にわたり、ハンセン病の対策強化についての会議が行われた。サミットには年間の新規患者数が1,000人以上発見されているアジア・アフリカ・南米地域など17カ国から、保健大臣や政府代表者、ハンセン病の専門家、ハンセン病回復者など約100人が出席した。

写真:サミット出席者の集合写真

2013年|クリオン島へ学生ボランティア派遣

フィリピン中部を襲った2012年11月の台風30号により、世界最大のハンセン病患者の隔離施設があったクリオン島でも、甚大な被害があった。日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)が東日本大震災の被災地にも学生ボランティアを多数派遣し、復興支援に携わってきた実績があることから、日本財団とGakuvoは、現地住民と協力して被災家屋の修繕等を行う学生ボランティア計約82人を派遣した。

写真:被災地での復興支援作業の様子

2014年|「異才発掘プロジェクト ROCKET」の開校

東京大学先端科学技術研究センターと共に「異才発掘プロジェクト ROCKET」を開校。突出した能力はあるが、不登校傾向で学習の機会を失っている小・中学生を選抜し、継続的な学習の機会を提供することで、将来の日本をリードし、革新をもたらすような人材の養成を目指す。学びの多様性を認め、異才と呼ばれる人が活躍しやすい社会の実現がねらい。

写真:一期生の集合写真

2014年|パラリンピック研究会を立ち上げ

長野冬季パラリンピックなどで障害者スポーツを支援してきた実績から、2020年に東京で開催されるパラリンピックのあり方を民間の立場で検討するため「日本財団パラリンピック研究会」を立ち上げた。パラリンピックの資料やデータを整理し、障害者スポーツが抱える課題を調査・研究する。

写真:パラリンピック研究会メンバーの集合写真

2014年|広島土砂災害に対する支援

8月20日の局地的な豪雨により発生した広島市の土砂災害を受けて、死者・行方不明者のご遺族・ご親族(2親等内)に対し、1人当たり10万円を弔慰金・見舞金として配付(65名分)。このほか、災害救助犬の派遣、ボランティア輸送のバス運行、支援のニーズ調査とマッチング、学生ボランティア派遣などの緊急支援事業を実施した。

写真:被災地で支援事業を行う日本財団スタッフ

2015年|「日本財団パラリンピックサポートセンター」設立

2020年の東京パラリンピックに向け、競技団体の支援や大会ボランティアの育成、パラリンピックの周知啓発などを行うため、「日本財団パラリンピックサポートセンター(略称パラサポ)」を設立した。また日本財団ビルのワンフロアには、パラリンピック競技団体が入居・利用する共同オフィスを設け、無償で提供した。

写真:「日本財団パラリンピックサポートセンター」設立発表会見での記念写真

(※2022年1月1日より団体名を日本財団パラリンピックサポートセンターから日本財団パラスポーツサポートセンターへ改称)

2015年|台風18号豪雨水害への支援

2015年9月9日に発生した台風18号による関東・東北豪雨水害で、茨城県常総市を中心に大きな被害が出た。日本財団は緊急支援として災害FM局や現地のボランティアセンターの運営を支援したほか、避難生活における災害関連死等の被害拡大を防ぎ必要なサービスや物資の提供を行うため、避難所や在宅避難者のニーズを調査した。

写真:道路が冠水した被災地の様子

2015年|「子どもの貧困」に関する経済的影響を推計

深刻化する「子どもの貧困」を経済的視点から捉えるため、子どもの貧困を放置した場合の経済的影響を推計したレポートをまとめ、発表した。現在15歳の子ども約120万人のうち、生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭の子ども約18万人だけでも経済損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加することが分かった。

2016年|日本財団 遺贈寄付サポートセンター設立

遺贈による寄付をはじめ終活に関する相談を受け付け、無料でサポートするセンター。遺贈者が希望する社会貢献活動をオーダーメイドで企画し、弁護士や税理士ら専門家と連携しながら、終活上の問題解決・遺言の執行・事業実施までを行う。

写真:日本財団 遺贈寄付サポートセンター設立発表会見の様子

2016年|平成28年熊本地震への支援

2016年4月14日に発生し、熊本県を中心に九州全域に大きな被害をもたらした平成28年熊本地震の被災地域に対し、復興支援活動を実施。ニーズ調査のうえ、障害者や高齢者など特別な配慮が必要な人に対する支援や、現地で活動するNPO、ボランティアの活動支援、家屋損壊等への見舞金支給などを行った。

写真:被災地での復興支援作業の様子

2016年|日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016開催

複雑化する社会課題を解決するための具体策を探る目的で開催。様々な分野の専門家100人以上が講師として参加し、30もの分科会を行った。3日間の入場者は延べ約2,200人。特別ソーシャルイノベーター(最優秀賞1人、優秀賞2組)を選出し、年間1億円を上限に3年にわたり支援することを発表した。

写真:ポーズを取る参加者たち

2017年|東京2020組織委員会と協定を締結

2017年6月15日、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と大会ボランティアの研修や機運の醸成に向けたイベントの実施など、連携・協力に関する協定を締結した。

写真:協定書を持つ東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗氏と日本財団の笹川陽平会長

2017年|九州北部豪雨災害支援

2017年7月5日から6日に発生した豪雨により、福岡県、大分県を中心に大きな被害が出た。日本財団は被災状況や被災者のニーズ調査のための先遣隊を現地に派遣し、NPO・ボランティア活動支援、避難生活環境の改善支援、などを実施した。

写真:被災地の様子

2017年|日本財団DIVERSITY IN THE ARTS 企画展開催

2017年10月13日~31日まで、日本財団DIVERSITY IN THE ARTS 企画展「Museum of Together」を開催した。会場はあらゆる人がアクセス可能な展示のあり方をテーマに構成され、障害者や現代美術家など22人のほか、香取慎吾さんも作品を出展、会期中約4万人が来場し、大きな話題となった。

ロゴ:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS

2018年|SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYAを渋谷区と共催

2017年に渋谷区と締結した包括協定に基づき、「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」をはじめとする様々なイベントを渋谷区内で開催した。「ソーシャルイノベーション」をキーワードに、青山学院大学構内や渋谷ヒカリエなど22カ所で行い、延べ3万人が参加した。

写真:イベントの登壇者たち

2018年|相次ぐ災害に復興支援

大阪北部地震、西日本を中心に大きな被害をもたらした平成30年豪雨災害、平成30年北海道胆振東部地震と自然災害が相次いだ。日本財団は発生直後から寄付を呼びかけ、被災地のニーズに合わせた支援を行った。

写真:被災地の様子

2018年|東京アルビニズム会議開催

生まれつきメラニン色素の減少・欠損が原因で肌の色などが薄くなるアルビニズムの人々に対する人権侵害の問題について話し合う「東京アルビニズム会議」を開催した。日本でこのような会議が行われるのは初めてのことで、この問題を国内に啓発する機会となった。

写真:「東京アルビニズム会議」参加者たちの記念写真

2019年|環境省と「海ごみ」対策共同プロジェクトを開始

国民の一人ひとりが海ごみの問題を自分事化し、“これ以上海にごみを出さない”という社会全体の意識を高めるため、産官学民が協力し合う取り組み「CHANGE FOR THE BLUE(チェンジ・フォー・ザ・ブルー)」を推進。環境省が推進する海洋プラスチック問題の解決に向けた取り組み「Plastics Smart(プラスチック・スマート)」キャンペーンと共同して事業を開始した。

写真:海ごみを拾うイベント参加者の様子

2019年|令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風への支援

2019年9月9日、千葉県を中心に関東地方を直撃した令和元年房総半島台風、2019年10月12日から13日にかけて東海と関東、甲信越、東北地方を襲った令和元年東日本台風への緊急支援を展開。NPO・ボランティアに対する活動支援や、被災した学校への教材(図書や楽器等)支援を実施した。
新しい地図による「7.2新しい別の窓 ななにー基金」が設置されるなど、災害復興のために2億5千万円以上の支援が寄せられ支援の輪が広がった。

写真:台風19号の被害を受けた被災地の様子

2019年|18歳意識調査「国や社会に対する意識」を実施

2019年9月下旬から10月上旬にかけてインド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本の9カ国17~19歳各1,000人を対象に国や社会に対する意識調査を実施。
日本の若者は「自分で国や社会を変えられると思う」18.3%「自分の国の将来は良くなる」9.6%など、他国と比較して国や社会に対する展望を持てない日本の若者の実態が明らかになった。

写真:18歳意識調査セッションの様子

2020年|新型コロナウイルス感染症拡大に伴う支援

2020年1月、中国武漢市を発端にした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本国内でも感染が拡大し、4月には緊急事態宣言が発令。医療崩壊の危機が取り沙汰される中、以下の4つを実施。

  1. 日本財団災害危機サポートセンターの設置・運営
  2. 感染拡大防止のための医療従事者及び感染者の移送支援
  3. 日本救急医学会指導医指定施設へのドクターカーや医療機器等の支援
  4. 日本財団PCR検査センターの設置・運営

なお、迅速に支援を実施する日本財団に向けて集まった寄付金額は27.4億円(2020年4月~2021年3月)

写真:新型コロナウイルス感染症対策 療養施設

2020年|電話リレーサービスの制度化

“電話リレーサービス”を公共サービスへをスローガンに聞こえに困難がある人に向けて、2013年から日本財団がモデル事業を開始した手話通訳士らを介して電話ができる「電話リレーサービス」。
その活用例から2020年10月に「電話リレーサービス法」が成立し2021年7月より公共サービスとして運用が開始。

電話リレーサービスの仕組みを表したイラスト。通訳オペレーターが手話や文字と音声を通訳することにより、聴覚障害者と相手先を電話で即時双方向につなぐサービス。利用者(聴覚障害者)は、ネットを利用して、電話リレーサービスセンターに連絡。利用者が話したい相手先にオペレーターが電話でつなぐ。利用者は手話もしくは文字チャットでオペレーターに用件を伝え、オペレーターはその用件を音声に訳して相手先に伝える。相手先からの返答をオペレーターが手話もしく文字チャットに訳して利用者に伝える。

2020年|世界初、無人運航船の実証実験を開始

船上のハードな仕事を要求される内航海運の船員の半分以上が50歳以上と高齢化、また日本にある約400の有人離島との生活航路の維持継続も大きな課題となっている。更に海難事故の原因の7~8割がヒューマンエラーといわれ、事故減少が求められている。
無人運航船は、こうした社会課題の解決策の一つになると考えており、プロジェクトを通じ海事産業、関連産業の競争力強化、活性化につながることを期待し、2021年度末までに実証実験を行い、2025年までに無人運航船の実用化を目指す。

CG:無人運行船イメージ画像

2021年|世界最大規模の障害者雇用促進を目指す経営者ネットワーク組織「The Valuable 500」が始動

The Valuable 500を支援し、日本企業50社を含む500社と共に、障害者が社会、ビジネス、経済における潜在的な価値を発揮できるよう様々な取り組みを実施予定。障害のある消費者のニーズ調査を実施し商品開発を後押しするほか、企業の障害者インクルージョン度合いを測る指標づくりや、アクセシビリティに配慮した求人ポータルサイトの設置を行う。また、国際機関等や加盟企業同士をつなぐネットワーク会議等を主宰し、知見の共有を目指す。

The Valuable 500ロゴマーク

2021年|「日本財団・大阪大学 感染症対策プロジェクト」~感染症総合研究拠点の設置に向けて~事業計画を発表

当プロジェクトは新型コロナウイルス感染症の流行により、パンデミック発生時の「経済・社会活動の維持」「感染症の予防と治療」「医療崩壊の阻止」などの社会課題に対して、大阪大学に国際的なハブとなる研究拠点を形成。今後も起こり得る感染症危機に向け「感染症研究基盤の構築」や「情報発信及び感染症知識の普及・向上」等を進める計画。また、大阪大学が2021年4月に開設した感染症総合教育研究拠点の研究環境と医療人材育成環境をさらに整備し、世界最高水準の研究基盤の構築を目指す。

写真:共同記者発表会の様子(左:当財団会長 笹川陽平 右:大阪大学 総長 西尾章治郎 氏)

2022年|ウクライナ避難民支援

2022年2月に開始されたロシアによるウクライナ侵攻。
同年3月に「日本財団ウクライナ避難民支援室」を設置し、来日するウクライナ避難民に対し3年間で50億円(予定)の支援策(渡航費、生活費、日本国内で活動するNPO団体等への助成)を発表した。
また同年4月には、ウクライナに残る障害者への支援およびウクライナ隣国への日本人学生ボランティア派遣を発表し、同年5月~10月の間に計7回・101名を派遣。

写真:ウクライナ避難民支援に派遣される学生ボランティアたち

2022年|日本財団60周年

2022年10月1日、日本財団は創立60周年を迎えた。50周年から10年の間に、未曾有のパンデミック、他国からの避難民、海洋汚染、気候変動に起因する災害の大型化、子どもを取り巻く環境の変化など社会の課題は益々複雑化。
「痛みも、希望も、未来も、共に。」というスローガンのもと、次世代のためにアイデアとスピードをもってこれらに取り組んだ。

日本財団職員集合写真

2023年|「こども1万人意識調査結果」発表

2023年4月に施行された「こども基本法」の着実な施行に向け、全国の10〜18歳の男女を対象に「こども1万人意識調査」をインターネットで実施。調査結果では、国や社会がこどもたちのために優先的に取り組むべきこととして「高校・大学教育を無料で受けられること」「教育にかかる費用の無償化や授業料や入学金の軽減」等の声が寄せられた。また、「こども基本法」と「子どもの権利条約」の認知度は低く、こどもたちへの更なる普及啓発が必要であることが明らかになった。

画像:2023年9月発行「こども1万人意識調査」報告書表紙。画像上部に「こどもの権利って知ってる?」、画像下部に「いまのくらしをどう感じてる?」の文字。)

2023年|渋谷で「スポGOMI」W杯開催

日本財団が企画・統括・支援する、ごみ拾いにスポーツの要素を掛け合わせて競技化した日本発祥スポーツ“スポGOMI”。初となる世界大会「スポGOMIワールドカップ2023」の決勝大会が2023年11月に渋谷区内で開催された。21カ国から代表チームが出場し、イギリス代表が優勝、日本代表は準優勝した。この大会は、海ごみ削減への機運向上となる大会となった。2025年には第2回開催を目指している。

写真:スポGOMIワールドカップ2023計21カ国の代表と主催者、アンバサダー、関係者の集合写真