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日本の子ども・若者に関する社会課題
日本で暮らす子どもや、学校や保育園で彼らと向き合う先生・保育士は日々、さまざまな問題に直面しています。それぞれどのような課題があるのか、問題を解決するにはどうすればよいのか。
まずは日本のこども・教育にまつわる社会課題について知るところから始めましょう。
目次
教育格差・体験格差
「教育格差・体験格差」とは、貧困や家庭環境、言語背景などが重なって起こる複合的な社会課題で、子ども・若者の将来の進路や成長に影響を与えています。
格差の原因として主に挙げられるのは、家庭の経済的要因。内閣府が2021年に調査した「令和3年子供の生活状況調査の分析報告書」(外部リンク)によると、世帯の収入が低いほど、学校がある日に授業以外の勉強を「全くしない」と回答した割合や、クラスの中での成績について「下のほう」と回答した割合、学校の授業について「分からない」と回答した割合が高いということが分かっています。

また、日本語指導が必要な外国ルーツの子どもは、日本語や学校文化に不慣れなまま通常学級に入ると、授業理解や友人関係で不利になりやすく、そうした支援の薄さも問題視されています。
このような格差は各々の努力だけでは解消しにくく、含む公的・民間の連携施策が不可欠とされています。
[教育格差・体験格差をテーマにした記事]
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いじめ・不登校・自殺
いじめや不登校は、子どもたちの学校生活において深刻な問題となっており、精神的に追い詰められた結果、最悪の場合、自殺という選択をしてしまうことも。
「いじめ防止対策推進法(※)」施行後も、令和6年度の文部科学省の調査では、小・中学校におけるいじめの認知件数は約75万件、不登校の生徒数は約35万人と、いずれも過去最多となりました。
- ※ いじめから子どもの尊厳と心身を守るため、国や地方自治体の責務を定め、防止・早期発見・対処の対策を総合的に推進することを目的とした法律。2013年に制定。参考:文部科学省「いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)」(外部リンク)

さらに、最近の小・中・高校生の年間自殺者数は500人を超えており、年々増加し続けています。こうした状況が続くのは、子どもが相談しにくく、周囲がその変化に気づきにくい環境が一因とされています。また、深刻化する前に支援につなげる体制づくりも十分とはいえません。

これから求められるのは、子どもが安心して気持ちを打ち明けられる場を広げること。学校や家庭、地域が協力し、気づいた人がすぐに声をかけられる環境整備が重要といえるでしょう。
[いじめ・不登校・自殺問題をテーマにした記事]
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発達障害傾向、不登校——困りごとを抱えた子どもたちの居場所づくり。必要なのは「自己理解」を促す支援(別タブで開く)
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子どもの言葉に深く耳を傾け、気持ちに寄り添う。子どもの自殺予防のために親ができること(別タブで開く)
深刻化する「SNSいじめ」から子どもたちを守るには?(別タブで開く)
児童虐待
「児童虐待」とは、親や親に代わる保護者、養育者、そのほか子どもに関わる大人が子どもの心身を傷つけ、健全な成長や発達を妨げる行為を指します。例えば、暴力をふるう、怒鳴る、食事を与えず放置する(ネグレクト)などが児童虐待にあたります。
全国の児童相談所への虐待相談件数は年々増加し、2023年度には過去最多の約22万件が報告されました。

その背景には家庭内だけの問題ではなく「貧困」や「孤立」といった社会的要因が深く関わっていると考えられています。また、家庭内の問題は表面化しづらく、子ども自身もなかなか助けを求めることができません。
そのような状況を改善するためには、身近な大人が子どもの小さな変化に気づき、必要に応じて専門機関へつなげることが重要。さらに、子どもが安心して相談できる環境づくりや、地域社会全体で子どもたちを見守り、支援する体制をつくることが求められています。
[児童虐待をテーマにした記事]
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教育現場の疲弊
「教育現場の疲弊」とは、学校の先生が過度な業務負担によって、心と体のゆとりを失ってしまう状態です。先生たちは授業の準備はもちろん、行事の計画や部活動の指導、保護者対応、事務作業など、多くの業務を担当しています。
その結果として残業が増え、長時間労働が日常化し、過重労働という深刻な問題を引き起こしています。文部科学省の調査では、1カ月に45時間以上の残業がある教師は20パーセントを超えています。

このような環境が続くと授業の質を保てなくなり、生徒一人一人に向き合う時間も減ってしまうでしょう。また、労働環境が悪いと教員不足や若い先生の離職につながり、学校運営自体が危うくなる可能性もあります。
今後は労働環境や待遇の改善とともに、業務の見直しや多様な人材の活用を進め、持続可能な教育現場を築いていくことが求められます。
[教育現場の疲弊をテーマにした記事]
免許の有無にかかわらず、多様な人材を教室へ。Teach For Japanの挑戦(別タブで開く)
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インクルーシブ教育
「インクルーシブ教育」とは、障害の有無や国籍、性的マイノリティー(※)などさまざまな違いを超えて、全ての子どもが同じ場で共に学ぶ環境を指します。幼い頃から多様な仲間と過ごすことで自分とは異なる個性や価値観を受け入れる心が育まれ、将来みんなで支え合い、誰もが活躍できる共生社会につながると期待されています。
- ※ 「こころの性・からだの性・表現する性が一致している異性愛者」ではない人の総称。参考:JobRainbow MAGAZINE「【「LGBTQ+」と違う?】セクシュアルマイノリティ・セクマイとは?【定義や種類まとめ】」(外部リンク)

ですが、日本では実践事例が少なく、インクルーシブ教育がまだ十分に進んでいるとはいえません。その要因には、周囲や保護者の理解をはじめ、専門の支援員や教員研修の不足、バリアフリー環境の未整備といった学校施設の問題などが挙げられます。
誰もが安心して学べる環境を整え、一人一人に応じた柔軟な支援を充実させるべく、今後は、教育現場だけでなく、自治体、医療・福祉機関などとも連携し、社会全体で取り組む必要があるでしょう。
[インクルーシブ教育をテーマにした記事]
教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは?(別タブで開く)
教室から広がるインクルーシブ社会。パラリンピック教材開発者の一人、マセソン美季さんの想い(別タブで開く)
多様な子どもたちが共に学ぶ「インクルーシブ教育」は、いまなぜ必要か?(別タブで開く)
障害者だけじゃない。子ども視点で考える「学校のバリアフリー」(別タブで開く)
ヤングケアラー
「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うべき家事、介護、家族の世話などを日常的に行っている子ども・若者のことです。晩婚化、核家族化、高齢化といった社会背景から、家族のケアを担う子ども・若者が増加しており、厚生労働省と文部科学省の調査では、中高生のおよそ17人に1人がヤングケアラー状態にあるとされています。

こうした子どもたちは、自分の時間や学習機会が制限され、進路選択や人間関係にも影響が出ることがあります。しかし、家庭内の問題として捉えられがちで、周囲の理解不足も相まって、その実態は表面化しにくい状況です。2022年の法改正により、ヤングケアラー支援が法律に明記され、自治体やNPOなどによる実態調査や相談体制の整備といった支援の取り組みは進みつつありますが、必要な支援が全ての子どもに行き届いているとはいえません。
今後、社会全体でヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援を行うとともに、子ども・若者たちが自分らしく生活できるよう、周囲の理解と協力体制を強化していくことが求められています。
[ヤングケアラーをテーマにした記事]
精神疾患の親を持つ子どもたちに本当に必要な支援とは?(別タブで開く)
子どもの権利を守る第三者機関「子どもオンブズマン」が目指す、子どもが声を上げやすい地域づくりとは?(別タブで開く)
[参考資料]
内閣府「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」(8ページ)(外部リンク/PDF)
文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(8ページ)(外部リンク/PDF)
厚生労働省自殺対策推進室警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年中における自殺の状況」(16ページ)(外部リンク/PDF)
こども家庭庁「令和5年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」(2ページ)(外部リンク/PDF)
文部科学省「令和6年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査【結果概要】」(4〜6ページ)(外部リンク/PDF)
こども家庭庁「ヤングケアラーって、実はけっこう身近なのかも」(外部リンク/PDF)
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